新婚旅行から戻ったフアン・カルロス王子とソフィア王女ご夫妻は、
フランコ総統のお住まいであるマドリード郊外のパルド宮
(Palacio del pardo)から程近い、サルスエラ宮殿(Palacio de
Zarzuela)に居を構えられます。両宮殿は、パルドの丘と言う、
自然に恵まれた土地に位置し、サルスエラ宮殿も、元々
1635年にフェリペ4世の命によって建てられた狩りの際の
休息用の小宮殿でした。当時は、ベネチアの建築の影響を
受けたバロック様式の建物だったようですが、カルロス4世が、
18世紀風の建物に改築し、その後、スペイン市民戦中に
破壊された建物を、フランコ総統が、フアン・カルロス王子の
お住まい用にと修理を命じられたそうです。
↑ フランコ総統の官邸として使われていたパルド宮。
現在は迎賓館として使用されており、一般の見学も可能。
↑ 現在まで国王夫妻の常の住まいとして利用されている
サルスエラ宮殿。一般に写真撮影などが行われ、人の目に
移るのは、宮殿のこの正面のみのため、一見とても小ぢんまり
した宮殿に見える。しかし実際は、奥行きもあるし、両サイドに離れ
も建て増しされており、奥には、大きなプールもある。(下写真)
↑ サルスエラ宮殿のスイミングプール。
フランコ総統の存命中は、敢えて日陰者を装っていらしたフアン;
カルロス王子ですので、上の写真のように、わざわざ総督が用意
された宮殿に両翼を増築されたり、プールを作られたりされたのは、
もちろんフランコ総統が亡くなって、国王として即位されてからです。
まあ、皇太子時代は、そんなにたくさんの部屋も必要ではなかった
でしょうが。
パルド宮殿のある村へは、首相府であるモンクロア宮殿(Palacio de
Moncloa)からバスが出ています。サルスエラ宮殿は、その途中に
あるのですが、距離的に、本当にパルド宮殿に近いです。
それだけ、フランコ総統は、フアン・カルロス王子は、自分の目の
届く所に置いておきた買ったと言うことでしょうか?
サルスエラ宮殿は、3階建てで、1階は半地下となっており、台所、
事務室、などが、2階には国王及び秘書のオフィス、図書室、
食堂、応接間が、3階には寝室、客間、書斎が、90年代に
建て増しされた両翼の片側には、国王一家が私的な目的で利用
されるお部屋が、もう片側には、警備員の詰め所及びオフィスと
なっているそうです。
両翼の片側には、一説には、もう寝室を共にされていない王妃や
王妃の妹で国王一家とかなり前から同居されているイリニ王女が
お住まいなのでしょうか?? 飽くまで推測ですが・・・
国王として即位されてから後は、公式のお住まいは、マドリード市内
の王宮(Palacio Real/Palacio de Oriente)とされ、各国大使の信任状
提出や勲章の授与などは、王宮で行われますが、新大臣の任命や
外国からの来賓を迎えたレセプションなどはサルスエラ宮殿を
利用されることが多いようです。
↑ 王宮内で行われる、各国大使からの新任状提出の儀式
↑2012年のユーロカップサッカーで優勝したスペインナショナルチーム
を迎えてのレセプションは、サルスエラ宮殿で行われた。
同じ敷地内に、2002年に完成した皇太子の公邸もあり、こちらは、
Pabellón del Príncipeの名前で呼ばれています。
こちらについては、また後ほど詳しくご紹介しますね。