この日の夜、激しい頭痛に襲われた。そして、目が見えなくなった。

(まただ・・・)不安と恐怖との戦いが、また始まった。

光の無い、真っ暗な中を、音と、触ることだけを頼りに動く。

右耳も聞こえなくなっていた。音が遠い。感覚がくるう。

彼がずっと励ましてくれる。

「大丈夫。すぐに治るから。だから今は休養をしっかりして。」

仕事をしながら、私の面倒を看る毎日。

すごく大変で、疲れてると思うけど、彼は明るい声で、今日あった出来事や、面白いこと、ずっといろんな話をしてくれた。

「TV見ていいよ」と言っても、「喋ってるほうが楽しい」と言って、TVをつけようとしなかった。

彼の好きな番組も、見なかった。


そして今朝、起きると光とともに、景色が目に飛び込んできた。

「見える!」

彼はとても嬉しそうな表情をして、

「今日はお祝いだね!」 と言ってくれた。

今朝はあんまり時間が無くって、それでも私は彼の顔を、じぃ~っと見ることが出来た。

ずっと見たかった彼の顔。

出掛けに彼は、

「今日はまだ安静にしててね。光に慣れるまでね。」

そう言って仕事に行った。


今日から彼に何をしてあげようか、とりあえず、料理をしよっかな。