2016年5月の読書メーター
読んだ本の数:25冊
読んだページ数:6557ページ
ナイス数:8782ナイス

卒業式まで死にません―女子高生南条あやの日記 (新潮文庫)卒業式まで死にません―女子高生南条あやの日記 (新潮文庫)感想
読友さんのオススメから。一体どんな理由があって病魔は彼女を蝕んでいたのだろう。軽妙な語り口ゆえに、本書はさらっと読めてしまうけれど、書かれている内容はとても重たくて痛い。彼女の痛切な叫びと孤独、覆い尽くす憂鬱たち。全てに絶望して死へと突き進む彼女の姿が見えるようだ。錯覚かもしれないけれど、でもその顔はふっと笑っているようにも見えて、とても切ない。繰り返すリストカット、瀉血依存、OD、自殺未遂--まるで数年前の自分を見てるみたいで泣けてくる。彼女は死んでしまった。その瞬間何を思ったのだろう。どうか安らかに。
読了日:5月31日 著者:南条あや
鍵のない夢を見る (文春文庫)鍵のない夢を見る (文春文庫)感想
辻村さん3冊目。第147回直木賞受賞作品。私としてはファンタジー要素がないこう言った作品が好みだと再確認。ここに登場する様々な女性達の心理描写がとてもリアルで共感の嵐でした。特に「石蕗南地区の放火」は私にも覚えがあるような物語で、自意識過剰で不器用、男慣れしてない笙子はまるで自分のよう。私は子供を産んだことはないけれどつい最近甥っ子が出来たことで「君本家の誘拐」の良枝の母親としての育児への不安や喜びが手に取るように解る。母親業はある意味では神経が図太くないと勤まらないのかもしれないなぁとぼんやり思いました
読了日:5月30日 著者:辻村深月
でーれーガールズ (祥伝社文庫)でーれーガールズ (祥伝社文庫)感想
Twitterでのオススメ。爽やかな青春小説でした。主人公と同じ世代の人だったらより楽しめたと思います。読みながら自分の高校生時代を懐かしく思い出しました。忙しかった勉強に部活動、のめり込んでいた趣味や上手くいかなかった恋愛、時には喧嘩した友達との楽しい思い出、そして親友との出会い。あの頃の記憶は何時までも色褪せずに煌めいています。いつか私も大切な友達と別れる時がやってくると思うと涙が出ました。ラストは切なかったけれど、心はほっこり暖かい。友達は大切な宝物。久しく顔を合わせてない友達に会いたくなりました。
読了日:5月29日 著者:原田マハ
ツナグ (新潮文庫)ツナグ (新潮文庫)感想
読友さんのオススメから。一生に一度だけ死者との再会を叶えてくれる「使者」。生者と死者の邂逅はある意味では残された者の悲しみにピリオドを打つだろう。しかしその結果は全て前向きで幸せに結び付くとは限らない--知らなければ良かった真実もあるのだと本書を読んで感じました。私も会いたい人がいる。一目だけでもいいから会えたらどんなにいいだろうと夢を見ていたけれど、本書を読んで考えが変わりました。あの人は今でも私の中で--記憶の中で生き続けている。それで充分だと。そして今いる私の大切な人達を大事にしていこうと思いました
読了日:5月28日 著者:辻村深月
生まれる森 (講談社文庫)生まれる森 (講談社文庫)感想
好きになってはいけない人を好きになってしまった。こんなにも好きなのに貴方に近づけない--短い物語だし、内容も淡々としてるけれど、鮮烈な印象を残す。それは傷跡に似ているかもしれない。引っ掻けば簡単に血を流すような。失恋の傷を癒すのは時間だ。人を愛した記憶が薄れていく切なさもあるけれど、忘却の彼方へ去っていくそれはとても優しいものでもあるのだ。そして周囲の人々との温かな触れあいも傷の痛みを和らげてくれる。傷付いた「わたし」が新しい恋をするまであと一歩。過去の傷を乗り越えることで彼女は強く、大きく成長するだろう
読了日:5月27日 著者:島本理生
ロリヰタ。 (新潮文庫)ロリヰタ。 (新潮文庫)感想
「ロリヰタ。」に出てくるファッションブランドが懐かしい。本作は野ばらさん自身を思わせるロリータファッションを愛する作家の「僕」が9歳の美少女に恋する話。こうして書くと邪な、インモラルな関係だと思ってしまうけれど二人の間あったのは限りなくピュアな感情だった。そして「言葉」とは時として伝えたい思いとは乖離して誤読され、歪められてしまう怖さがあるのだと感じた。併録の「ハネ」も切ない物語。この2つの物語にあるのは異端ゆえに迫害され、苦悩、葛藤する姿だ。それでも己のスタイルを貫き通す主人公達の精神は気高く、美しい。
読了日:5月26日 著者:嶽本野ばら
シルエット (講談社文庫)シルエット (講談社文庫)感想
島本さんのデビュー作「シルエット」「植物たちの呼吸」「ヨル」3編収録。近年発表された作品と比べると、当然のことながら粗削りだし、未熟な部分もあるけれど、それでも十代でこのような作品を書けるのは本当に凄い。持ち前の言葉のセンスの良さ、瑞々しい感性がキラリと光る。表題作の、お互い想い合ってるのに、どうすることもできない感情のすれ違いがとても切ないです。こんな恋愛ができるのはまだ若いからかなとも思う。併録の「植物たちの呼吸」の雰囲気がとても好き。振り返ってみると、島本さんの作家としての成長振りが良く解る1冊。
読了日:5月25日 著者:島本理生
トミノの地獄 2 (ビームコミックス)トミノの地獄 2 (ビームコミックス)感想
待望の第2巻。丸尾さんの美麗で緻密な絵を見てるだけでもうっとり。この方の作品は漫画の領域を越えてるように思う。読んでると、まるで映画を見ているような感覚に襲われます。離ればなれになってしまったトミノとカタン。二人を取り巻く無慈悲で残酷な世界は怪しい見世物小屋そのもの。その精神は形を変えて現実の世界でも生き続けているように思われる。二人は無事に再会できるのだろうか。地獄巡りはまだ終わらない。巻末のスペシャル・インタビューも興味深く読みました。そこで挙げてた作品も是非漫画化していただきたいです。期待してます。
読了日:5月25日 著者:丸尾末広
ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)感想
Twitterでのオススメから。辻村深月さんは初めて読みました。不思議な力を持つ小学4年生の「ぼく」は大切な友達である、ふみちゃんの壊れてしまった心を救おうとする。人が人を裁くと言うこと、人を救うことの難しさ、正義とは何なのかなど、なかなか深いテーマがあり、読んでいて色々と考えさせられました。「ぼく」の強くて真っ直ぐな、ふみちゃんを想う気持ちに心打たれました。それは紛れもなく「愛」だったと。最後は涙なしには読めません。ラストは希望が見える終わり方で良かったです。辻村さんの他の作品も読んでいこうと思います。
読了日:5月24日 著者:辻村深月
十二の嘘と十二の真実十二の嘘と十二の真実感想
Twitterのフォロワーさんから。あさのあつこさんは初めて読みました。本書は何処かの国のお后様の話と日本のお婆ちゃんの世間話が交互に語られるユニークな構成。お后様が「ツル」という侍女に唆されて国が滅んでいく有り様は残酷だけれど、それ以上に怖かったのは「ツル」お婆ちゃん。人間の業の深さと言うか、憎悪や嫉妬、悪意が見事に描かれています。この世で一番恐ろしいのは人間だと再認識。読後の後味の悪さは絶品。併録の「崖の上」も面白く読みましたが、この物語はもう少し色々と膨らませて、長編で読んでみたいなと思いました。
読了日:5月23日 著者:あさのあつこ
幻想小品集幻想小品集感想
タイトルに惹かれて手に取りました。短編7編収録。見た目はふわふわとした綺麗な砂糖菓子だけど実際食べたら毒物だった、みたいな作品。彼が描く、痛みと狂気を孕んだ幻想耽美な世界は好き嫌いがはっきり別れそう。やや説明的な文章が多かったのが少し興醒めだったように感じるけど、扱ってる題材や発想は耽美やゴシックのそれで、そう言うのが好きな人は楽しめると思います。私は面白く読みました。光と闇、聖と俗、善と悪の対比が美しく官能的。「Sleeping Pill」「Pearl Parable」「Religion」がお気に入り。
読了日:5月22日 著者:嶽本野ばら
デウスの棄て児デウスの棄て児感想
Twitterのフォロワーさんより。嶽本野ばらさんの作品を読むのは10年振り。本書は天草四郎を題材にした歴史小説。ここで描かれる天草四郎は信仰心の篤い聖人ではなく、ポルトガル人の父と日本人の母との間に生まれた不義の子、神を憎み、この世を呪い、デウスに復讐を誓う「悪魔の子」として登場します。この発想が凄く斬新で面白い。貧困に喘ぎ、切支丹として迫害される農民達を煽動し、戦へ突き進む四郎。人間の汚濁ばかりを目にしてきた彼は終焉の時、周りに集う者達の無垢な信仰心に触れ、救済される。この鮮やかなコントラストが見事。
読了日:5月21日 著者:嶽本野ばら
女装して、一年間暮らしてみました。女装して、一年間暮らしてみました。感想
タイトルに惹かれて手に取りました。タイトル通り、実験としてノーマルな男性が女装して一年間暮らしてみた結果を綴った体当たりなレポ。本書を読むといかに人は性別に囚われてることが解ります。それはなんと窮屈なことだろう。女性差別、又は女装している男性への差別も体験する著者。「女らしさ」「男らしさ」ではなく、大切なのは「自分らしさ」なんだと思います。最初はきっと驚くだろうけれど、その人らしくいられるなら、女装しようが男装しようが私は別に構わないかなと。ジェンダーについて色々と考えさせられる1冊です。面白かったです。
読了日:5月20日 著者:クリスチャン・ザイデル
貴様いつまで女子でいるつもりだ問題貴様いつまで女子でいるつもりだ問題感想
読友さんの感想から。アラサーの私にはタイトルからして耳が痛いんだけど、色々と拗らせてる自分にとって「同じ人種だなぁ」と彼女の言葉がストレートに響きました。心の中にあったモヤモヤがすっと晴れるような爽快エッセイ。読んでいて共感の嵐でした。女性の誰もが所有している「女子」という「刺青」。それを無闇に他者に見せびらかせずに、慎むことが大人女子のマナー。必要なのは年相応に、TPOを弁えた振る舞いなのかなと。ブス、ババア、おばさんについての考察は目からウロコが落ちまくりでした。歳を重ねる事も悪くないなと感じた1冊。
読了日:5月19日 著者:ジェーン・スー
波打ち際の蛍 (角川文庫)波打ち際の蛍 (角川文庫)感想
かつての恋人からDVによって傷つけられた麻由はカウンセリングの相談室で蛍と出会う。次第に惹かれ合う二人。しかし麻由はフラッシュバックする恐怖から蛍を拒絶してしまう。愛したい、愛されたい、でも怖い--彼女の心を引き裂く相反する感情の揺れ動きが繊細に描写されていてとても共感しました。蛍が何とかして彼女を受け止めようと言う姿勢にも心打たれます。麻由の従兄弟さとるが凄いいいキャラ。全体的に切ない雰囲気だけれども光が見える終わり方で良かった。紆余曲折はあるだろうけれど麻由は蛍と共に過去を乗り越えていけると思います。
読了日:5月18日 著者:島本理生
エクソシストとの対話 (講談社文庫)エクソシストとの対話 (講談社文庫)感想
タイトルに惹かれて読みました。エクソシストとはどんな存在なのか、とある神父の半生を辿りながら、医者や学者へのインタビューを交えて現代のエクソシスト、エクソシズムの実像に迫るノンフィクション。なかなか興味深い内容でした。キリスト教の知識はなくても充分、楽しめます。エクソシストと言うと映画や書物の産物、眉唾物と思われがちですがエクソシズムによって救われた事例を読むと帯にある「エクソシストとは超一流のセラピスト」に納得。悪魔憑きと言われるその殆どが実は何らかの精神疾患であるというのも驚きでした。面白かったです。
読了日:5月17日 著者:島村菜津
週末は彼女たちのもの (幻冬舎文庫)週末は彼女たちのもの (幻冬舎文庫)感想
ルミネの広告として連載された連作掌編小説。切り取られた恋のある風景は鮮やかなスナップ写真のよう。島本さんが描く恋愛は切なくて心に染み入るようで、とても好きです。それと言葉のセンスが良い。「過去は懐かしくて暖かくて、いつまでも手元に置いておきたくなる。でもそこに寄りかかることになれたら、なにもできなくなってしまうし、これからの新生活で楽しいことがずっと一つも起きないなんて、ありっこないのだ。」この言葉に何だか背中を押された気分。島本さんはこれからも読んでいきたい作家さんです。
読了日:5月16日 著者:島本理生
世界から猫が消えたなら (小学館文庫)世界から猫が消えたなら (小学館文庫)感想
評判がいいので読んでみました。が、私には合わなかったです。扱ってるテーマは重たいけど書き方が軽妙なので、それほど深刻な雰囲気にならず、さらっと読みやすい印象でしたが、逆にそれが惜しいなって感じました。琴線に触れる言葉も無くはなかったけれど、もう少しシリアスな雰囲気があれば、ぐっと作品に深みが出たように思えます。これは作品が悪いって言うよりは、私の好みの問題だと思いますが。辛口な感想でごめんなさい。映画を見たらまた印象が変わるのかな。
読了日:5月16日 著者:川村元気
不機嫌な果実 (文春文庫)不機嫌な果実 (文春文庫)感想
ドラマになったと言うことで気になって手に取りました。夫に不満を抱いた麻也子は不倫に走るけれど、正直者、全然彼女には共感できませんでした。寧ろ凄く嫌な女だなと感じました。昔の恋人・野村と逢瀬を重ねる中で通彦と恋に落ちる麻也子。晴れて夫とは離婚をして通彦と一緒になるが、野村との関係は切れることはなく……一体彼女は何を求めていたんだろう?やっと手に入れた幸福なのに、それを手にした途端に覚めてしまう空しさ。幸せとは蜃気楼のようなものなのかもしれない。「私だけが損している」と言う呟きに何か薄ら寒い物を感じながら。
読了日:5月15日 著者:林真理子
帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)感想
テレビ出演したことで爆発的な人気を得たヒトラー。新聞社からの攻撃もものともせず、極右政党本部へ突撃取材もこなし、現代ドイツの問題にも徐々に目覚めていった彼はついには政治の世界へと足を踏み込んで行く。本書を読むと何だかヒトラーとても魅力ある人物に思えてくる。どうやら著者もそこを狙って書いたらしい。きっと実際の彼も人を惹き付ける何かを持っていた人物だったのだろう。ヒトラーは理想を追い求めるあまり狂気へ近づいてしまったのだと思う。面白く読める作品だけれど、ヒトラーとは何者だったのかを考える1冊に。映画も見たい。
読了日:5月14日 著者:ティムールヴェルメシュ
帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)感想
読友さんの感想から。ヒトラーが蘇って現代にタイムスリップ。周りからはヒトラーそっくりの物真似コメディアンとして扱われるヒトラー。彼のちぐはぐな言動が笑いを誘います。思っていた以上に面白くて凄く引き込まれました。ナチスやヒトラーについては詳しくないけれど、それらの知識があればより楽しめる内容かと思います。勿論、知らなくても充分楽しめますが。映画にもなったみたいなので、そちらも見たいです。続きが気になるので、早速下巻へ。
読了日:5月13日 著者:ティムール・ヴェルメシュ
イノセントイノセント感想
複雑な過去を持つシングルマザーの比紗也と彼女に惹かれるカソリックの神父・如月と経営者の真田。比紗也をどうにか救おうと奔走する二人の男。比紗也の行く先は果たして--面白くて一気読みでした。真田に比べると如月の影が薄いかなって感じましたが、これは彼の立場上、仕方ないのかな。でも彼の不器用さは嫌いじゃないです。彼なりに精一杯比紗也を愛していた姿は心打たれる所がありました。本気で誰かを愛した事がなかった真田も比紗也と出会った事で愛の意味を知ったのだと思います。心が焼け付くような恋愛小説。島本さんの作品は好みです。
読了日:5月12日 著者:島本理生
ダザイズム―太宰治不滅の至言451ダザイズム―太宰治不滅の至言451感想
読友さんの感想から。本書は太宰治の名言を収めたもの。先に読んだ「太宰治100の言葉」よりもシンプルな作りだけれど、引用が長めだから読みごたえがあります。こちらも太宰文学の入口として読むのもいいし、ファンとしても楽しめる1冊。本書を読むと、また太宰作品を読みたくなりますね。
読了日:5月9日 著者:
太宰治 100の言葉太宰治 100の言葉感想
読友さんの感想から。この手の本は他にも沢山出てるからそれほど目新しくはないけれど、ファンとしては買ってしまいますね、やっぱり。本書は手紙や作品からの引用とその解説、そして写真の構成です。太宰文学の入口とし読むのも良いし、改めて読むとまた太宰作品を再読したくなります。太宰さんのグラビアが多数掲載されてるので、パラパラ眺めてるだけでも面白いかな。太宰さん、やっぱりイケメン。
読了日:5月7日 著者:
グランネリエ(2) (Gファンタジーコミックス)グランネリエ(2) (Gファンタジーコミックス)感想
物語がじわじわと動き出した感じ。続きが気になります。
読了日:5月7日 著者:宝井理人

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