女装して、一年間暮らしてみました。/サンマーク出版

¥1,728
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タイトルに惹かれて手に取りました。タイトル通り、実験としてノーマルな男性が女装して一年間暮らしてみた結果を綴った体当たりなレポ。本書を読むといかに人は性別に囚われてることが解ります。それはなんと窮屈なことだろう。女性差別、又は女装している男性への差別も体験する著者。「女らしさ」「男らしさ」ではなく、大切なのは「自分らしさ」なんだと思います。最初はきっと驚くだろうけれど、その人らしくいられるなら、女装しようが男装しようが私は別に構わないかなと。ジェンダーについて色々と考えさせられる1冊です。面白かったです。


デウスの棄て児 (小学館文庫)/小学館

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Twitterのフォロワーさんより。嶽本野ばらさんの作品を読むのは10年振り。本書は天草四郎を題材にした歴史小説。ここで描かれる天草四郎は信仰心の篤い聖人ではなく、ポルトガル人の父と日本人の母との間に生まれた不義の子、神を憎み、この世を呪い、デウスに復讐を誓う「悪魔の子」として登場します。この発想が凄く斬新で面白い。貧困に喘ぎ、切支丹として迫害される農民達を煽動し、戦へ突き進む四郎。人間の汚濁ばかりを目にしてきた彼は終焉の時、周りに集う者達の無垢な信仰心に触れ、救済される。この鮮やかなコントラストが見事。



幻想小品集/角川書店

¥1,404
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タイトルに惹かれて手に取りました。短編7編収録。見た目はふわふわとした綺麗な砂糖菓子だけど実際食べたら毒物だった、みたいな作品。彼が描く、痛みと狂気を孕んだ幻想耽美な世界は好き嫌いがはっきり別れそう。やや説明的な文章が多かったのが少し興醒めだったように感じるけど、扱ってる題材や発想は耽美やゴシックのそれで、そう言うのが好きな人は楽しめると思います。私は面白く読みました。光と闇、聖と俗、善と悪の対比が美しく官能的。「Sleeping Pill」「Pearl Parable」「Religion」がお気に入り。