不機嫌な果実 (文春文庫)/文藝春秋

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ドラマになったと言うことで気になって手に取りました。夫に不満を抱いた麻也子は不倫に走るけれど、正直者、全然彼女には共感できませんでした。寧ろ凄く嫌な女だなと感じました。昔の恋人・野村と逢瀬を重ねる中で通彦と恋に落ちる麻也子。晴れて夫とは離婚をして通彦と一緒になるが、野村との関係は切れることはなく……一体彼女は何を求めていたんだろう?やっと手に入れた幸福なのに、それを手にした途端に覚めてしまう空しさ。幸せとは蜃気楼のようなものなのかもしれない。「私だけが損している」と言う呟きに何か薄ら寒い物を感じながら。


世界から猫が消えたなら (小学館文庫)/小学館

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評判がいいので読んでみました。が、私には合わなかったです。扱ってるテーマは重たいけど書き方が軽妙なので、それほど深刻な雰囲気にならず、さらっと読みやすい印象でしたが、逆にそれが惜しいなって感じました。琴線に触れる言葉も無くはなかったけれど、もう少しシリアスな雰囲気があれば、ぐっと作品に深みが出たように思えます。これは作品が悪いって言うよりは、私の好みの問題だと思いますが。辛口な感想でごめんなさい。映画を見たらまた印象が変わるのかな。



週末は彼女たちのもの (幻冬舎文庫)/幻冬舎

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ルミネの広告として連載された連作掌編小説。切り取られた恋のある風景は鮮やかなスナップ写真のよう。島本さんが描く恋愛は切なくて心に染み入るようで、とても好きです。それと言葉のセンスが良い。「過去は懐かしくて暖かくて、いつまでも手元に置いておきたくなる。でもそこに寄りかかることになれたら、なにもできなくなってしまうし、これからの新生活で楽しいことがずっと一つも起きないなんて、ありっこないのだ。」この言葉に何だか背中を押された気分。島本さんはこれからも読んでいきたい作家さんです。