東京公演を収録したとされる実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』ですが、複数の公演から、ベストなテイクを選ぶ形で編集された事が確認されました。リードギターが右側から聞こえる曲と左側から聞こえる曲があります。右側から聞こえる曲に関しては、左側から聞こえるドンのリズムギターの音にタタッ、タタッ、タタッという感じのリバーブ効果が感じられます。これは意図的に編集時に加工したのかと思っていましたが、どうやら収録時のマイクの位置の違いによって生じたと考えるようになりました。成毛滋氏による個人録音と同じテイクである「ワイプ・アウト」と「キャラバン」はリードギターが左側から聞こえます。「パイプ・ライン」と「バンブルビー・ツイスト」も左側から聞こえますので、1月10日の東京厚生年金会館(昼の部)での演奏を収録した可能性が高いです。
実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』は若干ピッチを上げて収録されています。「聞々ハヤえもん」というフリーソフトを使って加工して比較してみました。再生周波数を下げるので再生時間は長くなります。(レコードを遅回しにした状態) 一曲目のベンチャーズ・メドレーは加工前は再生時間が3・30ですが、加工後は3・34となっています。 僅か4秒の差ですが、結構雰囲気が変わります。
こちらはピッチを修正した後の状態です。
こちらピッチを修正する前の状態=レコードやCDとして販売された状態の実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』、1曲目であるベンチャーズ・メドレーです。 ピッチがズレているので聞いていると気持ちが悪くなってしまいますが、迫力が増しているように聞こえてきます。
そして最後に、1965年1月来日時の東京公演で使用された、グヤトーンのアンプGA-950の後継機種であるGA-960 BLACK 5と、フェンダーのスピーカーBOX、1963年製のmosriteの組合せによる試奏。この高音域が伸びないモワッとした音色は、実況録音盤「VENTURES IN JAPAN」その物ですね。
東京公演を収録したとされる実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』には収録されていないテイクが含まれていました。特に違いがあったのが「ブルドッグ」でのブリッヂ外奏法によるアドリブ。そして予定外にドン・ウィルソンが弾き始めてしまった「イエロー・ジャケット」の存在。ノーキーは???となり、Aの開放弦を弾き続けながらドン・ウィルソンの方を向いて、何の曲を弾くんだい?と確認していたと成毛滋氏は語っておられました。こちらはピッチが狂っていますがその音源のワイプアウトを含む完全版で、「ワイプ・アウト」と「キャラバン」は実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』に収録されていたテイクと同一でしたが、「ワイプ・アウト」は冒頭のドラムソロが4小節となっており、ギターの雑音が入っている3小節目をカットして3小節にしてレコードに収録した事が判りました。「キャラバン」が始まる直前のビン・コンセプションのMCが全く違っており、レコードに収録されたMCは別途作られた物である可能性が高まりました。これで実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』は複数の公演から、ベストなテイクを選ぶ形で編集された事が確認されました。
その他にも1月14日のリキスポーツパレスでの追加公演を収録し、翌1月15日に「成人の日特集」としてTVで放送された物の「キャラバン」だけですが、同様にエディ ウガタさんが発掘されております。こちらは実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』及び成毛滋氏による個人録音と同じ音色、つまりグヤトーンのアンプを使用していました。