THE VENTURES(ザ・ベンチャーズ)は1965年1月2日の午後5時25分羽田着PAA1便にて、4人のフルメンバーとしては初来日しました。

 

 

1月3日(日)12:30 PM 東京 新宿厚生年金ホール公演

            5:30 PM 渋谷 リキスポーツパレス ダンスパーティ

1月4日(月) 1:00 PM 渋谷 リキスポーツパレス ダンスパーティ

                4:30 PM 記者会見 (リキスポーツ2階レストラン)

                              5:30 PM 渋谷 リキスポーツパレス ダンスパーティ

1月5日(火)   2:00 PM 大阪 フェスティバルホール公演

                              6:00 PM 大阪 フェスティバルホール公演

1月6日(水)  2:00 PM 名古屋 愛知文化体育館

1月7日(木)   2:30 PM 東京 新宿厚生年金ホール

          6:30 PM 東京 サンケイホール

1月8日(金) 12:30 PM 東京 新宿厚生年金ホール

                               6:00 PM 横浜 文化体育館

1月9日(土)    1:00 PM 渋谷 リキスポーツパレス

                               5:30 PM 渋谷 リキスポーツパレス

1月10日(日)12:30   PM 東京 新宿厚生年金ホール

                                3:30    PM 東京 新宿厚生年金ホール

1月13日(水) 3:30 PM 札幌市公会堂

                  6:30 PM 札幌市公会堂

1月14日(木)時間帯不明    渋谷 リキスポーツパレス(追加公演)

 

「ザ・ベンチャーズ 衝撃の1965」という本に成毛滋氏のインタビュー記事があり、1月10日にご自身が東京厚生年金会館で客席から録音した音源に関して語っていました。



東京公演を収録したとされる実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』には収録されていないテイクが含まれていました。特に違いがあったのが「ブルドッグ」でのブリッヂ外奏法によるアドリブ。そして予定外にドン・ウィルソンが弾き始めてしまった「イエロー・ジャケット」の存在。ノーキーは???となり、Aの開放弦を弾き続けながらドン・ウィルソンの方を向いて、何の曲を弾くんだい?と確認していたと成毛滋氏は語っておられました。こちらはピッチが狂っていますがその音源のワイプアウトを含む完全版で、「ワイプ・アウト」と「キャラバン」は実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』に収録されていたテイクと同一でしたが、「ワイプ・アウト」は冒頭のドラムソロが4小節となっており、ギターの雑音が入っている3小節目をカットして3小節にしてレコードに収録した事が判りました。「キャラバン」が始まる直前のビン・コンセプションのMCが全く違っており、レコードに収録されたMCは別途作られた物である可能性が高まりました。これで実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』は複数の公演から、ベストなテイクを選ぶ形で編集された事が確認されました。
 

 

東京公演(リキスポーツパレスを含む)ではグヤトーンのアンプが使用されましたが、その他の地域ではフェンダーのアンプを使用していたとされています。サーフミュージックに大変詳しいエディ ウガタさんが、関西地区の当時の有力アマチュアバンドの方々から拝借した録音テープの中に、何と1月5日の大阪フェスティバルホールでの個人録音が入っており、音色の違いからグヤトーンのアンプではなくフェンダーのアンプを使用していると判断しました。Facebookにてエディ ウガタさんが公開されておりますので、是非聴き比べて下さい。

 

 

その他にも1月14日のリキスポーツパレスでの追加公演を収録し、翌1月15日に「成人の日特集」としてTVで放送された物の「キャラバン」だけですが、同様にエディ ウガタさんが発掘されております。こちらは実況録音盤『VENTURES IN JAPAN』及び成毛滋氏による個人録音と同じ音色、つまりグヤトーンのアンプを使用していました。

さて皆さん、グヤトーンのアンプを使用した東京公演と、フェンダーのアンプを使用した札幌公演を聴き比べてどう感じられましたでしょうか?私は札幌公演の音色が映画で使われている物に一番近いと感じました。前にも指摘しましたが、大きな会場(東京厚生年金会館?サンケイホール?)でアンプの間隔を広げて、マイクを立てて録音していると思われる場面があります。クルエルシー、テルスター、ブルドッグの3曲です。フェンダーのアンプを使用した札幌公演の音色に近いという事は、やはり映像の撮影と同時フェンダーのアンプを使用して録音もしたのだと思います。勿論映画ですから、何度もカメラを回して色々なアングルから撮影しています。それ以外の曲も似た音色なので、同じ状況で録音されたのだと思います。映画で使われていない曲、ウォーク・イン・ザ・ルーム、サーフライダー、悲しき闘牛等はリードギターとベースギターの音がかなり歪んでいますので、全く違った状況(環境)でグヤトーンのアンプを使用して録音された物なのかも知れませんね。
実際の東京公演と札幌公演の音源を聴いて分かった事があります。観客の歓声・拍手・指笛等がかなり入っています。TVで放送された物にもかなり入っています。この映画及び「ALL ABOUT THE VENTURES」はどうでしょうか?僅かに入っていますが、とても不自然な物で後から合成したような感じです。特に違いを感じるのはキャラバンの途中のベース叩きの辺りです。ドラムソロに入りメルだけが目立っている中、突然ボブがドラムの方へと近付いていきます。観客達は何が起きるのだろうと期待しながら大きな拍手と歓声が沸き上がります。そしていよいよベース叩きに入ると観客達の興奮度はさらに上がります。映画ではカットされてしまっていますが、少し後にノーキーがドラムソロをギターの雑音で邪魔する場面があります。ここでも観客達は何が起きるのだろうと期待しながら大きな拍手と歓声が沸き上がります。そしてメルが「ウルサ~イ!」と叫ぶとどっと受けて大きな笑い声が。TVで放送された物ではボブがベースの雑音で邪魔をし、メルは「ダマレ~イ!」と叫んでいます。このような観客達の拍手や歓声、そして笑い声等を拾わないように演奏だけを録音する事は、当時の器材・技術では無理だったのではないでしょうか?1965年1月に録音された東京公演の実況録音盤「VENTURES IN JAPAN」には自然な感じで観客達の拍手や歓声、そして笑い声等が入っていますし、成毛滋氏によって個人録音された音源により、観客達の拍手や歓声、そして笑い声や指笛等を含めて、実際の東京公演を録音した物である事が確認出来ています。とても臨場感溢れる仕上がりになっていますが、製作サイドはそれをあまり好まなかったのかも知れません。そして夏の公演の実況録音盤は無観客の状態で演奏だけを録音し、後から作り物の拍手や歓声、そして笑い声等を合成したのではないでしょうか?ビン・コンセプションのMCも、後にCD化する際に付け加えたような感じです。
この映画はそもそもアメリカ向けだったようですので、変な日本語を話すビン・コンセプションは全く映っていません。(;'∀')

 

参考までに成毛滋氏によって個人録音された1965年1月10日の東京厚生年金会館(昼の部)
最後のキャラバンは実況録音盤に収録された物と全く同じテイクです。
同じくワイプアウトも入っていたのですが、著作権保護により削除となったそうです。
 

さて、本題に入ります。

この映画で使われている演奏部分の音源は赤い箱入りの2枚組レコード『ALL ABOUT THE VENTURES』その物でした。公式的にはグヤトーンのアンプを使用していた東京公演を収録した事になっているのですが、どうもグヤトーンのアンプの音色ではないように感じられます。グヤトーンのアンプは東京公演とTV出演時に使用され、いくつかの音源が遺されています。グヤトーンのアンプは高音域の伸びというか響きがあまり良くありません。対してフェンダーのアンプは高音域が伸びてキンキンと響きます。特にブリッヂ外奏法の時に違いが良く判ります。

 

 

フェンダーのアンプ使用時の音色はシャープでメリハリがあるのに対して、グヤトーンのアンプ使用時の音色はどちらかと云えばマイルドです。フェンダーのアンプ使用時はキンキンという感じの響きで、グヤトーンのアンプ使用時はコンコンと詰まった響き、特に高音の響きが全然違います。5弦・6弦の音の響きも全然違います。

LP『ALL ABOUT THE VENTURES』は元々複数の会場で録音された物の寄せ集めである可能性が高いと思っていましたが、アンプもグヤトーンではなく殆どはフェンダーだったんじゃないでしょうか?観客がいない状態の会場でライブレコーディングした?映像的には観客がいる東京公演でグヤトーンのアンプを使用した時の物もあるはずですが、アンプが映らない角度から撮影したり、アンプが映っている部分を黒く塗りつぶしています。映画に詳しい方によるとオプチカル合成という手法で可能だそうです。

 

 

グヤトーンのアンプを使用した東京公演と、フェンダーのアンプを使用した札幌公演を聴き比べて下さい。

 

東京公演(サンケイホールで収録され、TVで放送された物)

 

 

 

東京公演(サンケイホールでの個人録音)

 

 

札幌公演(会場での個人録音)