さて皆さん、グヤトーンのアンプを使用した東京公演と、フェンダーのアンプを使用した札幌公演を聴き比べてどう感じられましたでしょうか?私は札幌公演の音色が映画で使われている物に一番近いと感じました。前にも指摘しましたが、大きな会場(東京厚生年金会館?サンケイホール?)でアンプの間隔を広げて、マイクを立てて録音していると思われる場面があります。クルエルシー、テルスター、ブルドッグの3曲です。フェンダーのアンプを使用した札幌公演の音色に近いという事は、やはり映像の撮影と同時フェンダーのアンプを使用して録音もしたのだと思います。勿論映画ですから、何度もカメラを回して色々なアングルから撮影しています。それ以外の曲も似た音色なので、同じ状況で録音されたのだと思います。映画で使われていない曲、ウォーク・イン・ザ・ルーム、サーフライダー、悲しき闘牛等はリードギターとベースギターの音がかなり歪んでいますので、全く違った状況(環境)でグヤトーンのアンプを使用して録音された物なのかも知れませんね。
実際の東京公演と札幌公演の音源を聴いて分かった事があります。観客の歓声・拍手・指笛等がかなり入っています。TVで放送された物にもかなり入っています。この映画及び「ALL ABOUT THE VENTURES」はどうでしょうか?僅かに入っていますが、とても不自然な物で後から合成したような感じです。特に違いを感じるのはキャラバンの途中のベース叩きの辺りです。ドラムソロに入りメルだけが目立っている中、突然ボブがドラムの方へと近付いていきます。観客達は何が起きるのだろうと期待しながら大きな拍手と歓声が沸き上がります。そしていよいよベース叩きに入ると観客達の興奮度はさらに上がります。映画ではカットされてしまっていますが、少し後にノーキーがドラムソロをギターの雑音で邪魔する場面があります。ここでも観客達は何が起きるのだろうと期待しながら大きな拍手と歓声が沸き上がります。そしてメルが「ウルサ~イ!」と叫ぶとどっと受けて大きな笑い声が。TVで放送された物ではボブがベースの雑音で邪魔をし、メルは「ダマレ~イ!」と叫んでいます。このような観客達の拍手や歓声、そして笑い声等を拾わないように演奏だけを録音する事は、当時の器材・技術では無理だったのではないでしょうか?1965年1月に録音された東京公演の実況録音盤「VENTURES IN JAPAN」には自然な感じで観客達の拍手や歓声、そして笑い声等が入っていますし、成毛滋氏によって個人録音された音源により、観客達の拍手や歓声、そして笑い声や指笛等を含めて、実際の東京公演を録音した物である事が確認出来ています。とても臨場感溢れる仕上がりになっていますが、製作サイドはそれをあまり好まなかったのかも知れません。そして夏の公演の実況録音盤は無観客の状態で演奏だけを録音し、後から作り物の拍手や歓声、そして笑い声等を合成したのではないでしょうか?ビン・コンセプションのMCも、後にCD化する際に付け加えたような感じです。
この映画はそもそもアメリカ向けだったようですので、変な日本語を話すビン・コンセプションは全く映っていません。(;'∀')

 

参考までに成毛滋氏によって個人録音された1965年1月10日の東京厚生年金会館(昼の部)
最後のキャラバンは実況録音盤に収録された物と全く同じテイクです。
同じくワイプアウトも入っていたのですが、著作権保護により削除となったそうです。
 

さて、本題に入ります。

この映画で使われている演奏部分の音源は赤い箱入りの2枚組レコード『ALL ABOUT THE VENTURES』その物でした。公式的にはグヤトーンのアンプを使用していた東京公演を収録した事になっているのですが、どうもグヤトーンのアンプの音色ではないように感じられます。グヤトーンのアンプは東京公演とTV出演時に使用され、いくつかの音源が遺されています。グヤトーンのアンプは高音域の伸びというか響きがあまり良くありません。対してフェンダーのアンプは高音域が伸びてキンキンと響きます。特にブリッヂ外奏法の時に違いが良く判ります。

 

 

フェンダーのアンプ使用時の音色はシャープでメリハリがあるのに対して、グヤトーンのアンプ使用時の音色はどちらかと云えばマイルドです。フェンダーのアンプ使用時はキンキンという感じの響きで、グヤトーンのアンプ使用時はコンコンと詰まった響き、特に高音の響きが全然違います。5弦・6弦の音の響きも全然違います。

LP『ALL ABOUT THE VENTURES』は元々複数の会場で録音された物の寄せ集めである可能性が高いと思っていましたが、アンプもグヤトーンではなく殆どはフェンダーだったんじゃないでしょうか?観客がいない状態の会場でライブレコーディングした?映像的には観客がいる東京公演でグヤトーンのアンプを使用した時の物もあるはずですが、アンプが映らない角度から撮影したり、アンプが映っている部分を黒く塗りつぶしています。映画に詳しい方によるとオプチカル合成という手法で可能だそうです。

 

 

グヤトーンのアンプを使用した東京公演と、フェンダーのアンプを使用した札幌公演を聴き比べて下さい。

 

東京公演(サンケイホールで収録され、TVで放送された物)

 

 

 

東京公演(サンケイホールでの個人録音)

 

 

札幌公演(会場での個人録音)

 

 

これは皆さん良くご存じの映画で、1965年夏の来日時に撮影されました。映画ですので、音と映像は基本的に別録りです。映画館で実際に使われていたフィルムに、元々の録音テープの音を合成する形で製品化されました。フィルムには所々コマ飛びがあり、音と微妙にズレが生じてしまっていました。1976年頃に、その年の来日公演のプロモーション用として約20分に編集された物が存在し、東京のYさんよりその動画を頂きました。それは英語版でオープニングからして製品化された日本語版とは違っていましたが、演奏の部分は同じ内容となっていました。こちらは日本語版と違って、映像と音の微妙なズレは殆ど感じられませんでした。

 

 
この動画で確認出来た事として、使われている演奏部分の音源は日本語版と同じく赤い箱入りの2枚組レコード『ALL ABOUT THE VENTURES』その物でした。
アンプの前に録音用のマイクが無い場面が多々ありますが、あらかじめ録音した音に合わせて、無観客の会場でメンバーが動いているのを撮影したのではないかと想像しています。「映画」ですから、そう考えるのが自然だと思います。大きな会場で、フェンダーのアンプの前に録音用のマイクがある曲は、音と映像を同時に収録した可能性があります。観客とメンバー達が同時に映る場面が全く無いので、こちらも無観客の状態だったと想像しています。こちらの映像には含まれていませんが、テルスターではアンプのトレモロが使用されています。これまでに発掘された複数の1965年夏の日本公演の音源を聞く限り、アンプのトレモロは全く使われていません。ベース側から撮影した映像では、ボブがフットスイッチを足で操作する仕草が確認出来ますので、この映画の撮影時には間違いなくアンプのトレモロは使われていたと思います。ただし、真正面からの映像にはフットスイッチは映っていません。アンプが映っていない場面が多い曲は、実際の東京公演でグヤトーンのアンプ使用時に撮影した可能性があります。この映画に収録されている音源が、元々「ALL ABOUT THE VENTURES」と同一であった事も確認出来ました。ということは、「ALL ABOUT THE VENTURES」の音源の多くは、無観客の会場でフェンダーのアンプを使用して収録された物である可能性が高いです。公式的にはグヤトーンのアンプを使用していた東京公演を収録した事になっているのですが。