昨日紹介した藤原辰史著『給食の歴史』の後半に、食育基本法についての評価が出てくる。

 

 食育基本法は小泉純一郎内閣時の2005(平成17)年6月17日に公布された法律である。かなり長い前文と「食育の在り方」を規定した法律である。

 周知のように、この2005(平成17)年度から、栄養教諭制度がスタートしている。同制度は前年の2004(平成18)年6月の学校教育法の一部改正法制度化された。

 同法第三十七条第13項の規定は「⑬ 栄養教諭は、児童の栄養の指導及び管理をつかさどる。」とある。

 

 しかし、栄養教諭は第2項の「副校長、主幹教諭、指導教諭、栄養教諭その他必要な職員を置くことができる。」にあるように必置職ではない。したがって、栄養教諭と従来型の栄養職員が存在することになる。

 

 それはともかく、栄養教諭制度とともに制定された食育基本法について本書では「食育基本法に基づく運動も(新自由主義の規制改革を推進した:筆者)小泉肝いりの官製運動だ。日本産の食材を使うことや、給食で食べるものの重要性を教えるなど、一見すると構造改革に反するように思える。だが、食育基本法の限界は、規制緩和の流れと国家や企業に制限を課すのではなく、各関係者に努力を求める奨励法でしかないことである。」と評価している。

 

「第3次食育推進基本計画」啓発リーフレット:農林水産省 (maff.go.jp)>より

 確か栄養教諭制度の確立を求める運動がかついだのはあの森喜朗元首相だったはずだ。このことと合わせ、再度、食育基本法制定の政治的意図を分析したい、と本書を読んで思った。