アホ・スープにやっと出会えたのは、明日、もう帰国するというマドリードの夜のことであった。それも確か4軒目くらいのレストランで「アホ・スープありますか?」と聞いて、やっとたどり着いた次第。出てきたスープはシンプルで美味だった。

 そう「アホ」とはスペイン語ではajoと書き、「にんにく」を意味する。つまり、アホ・スープ(sopa de ajo)はにんにくがたっぷりと入ったスープのことなのだ。

 日本で帰国後にこのレシピを調べてみると、日本語でもかなりの数のレシピが出てきた。そのなかで参考になったのはこのサイト(https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/recipe/100128/index.html

。その一部を引用しておきたい。

 

  スペイン語で「ソパ」はスープ、「アホ」はニンニク。スペインのカスティーリャ地方のポピュラーなスープです。貧しい羊飼いたちが、堅くなったパンを入れてボリュームを出したと伝えられています。今回はバゲットを使いましたが、もちろん堅くなった食パンなどでもOK。パン粉でも代用できます。ニンニクが好きな人は、薄切りにせず包丁で軽くつぶす程度にして入れるとニンニクの存在感がアップします。ニンニクの効能をバックアップするビタミンB1を豊富に含む豚肉(ベーコン)や玉子で、栄養面もバッチリです。 でも

 

 どうやらアホ・スープは家庭料理のようだ。だとするとレストランのメニューで見つけることは不可能だ。マドリードでやっとありついたのは、実はメニューにはなく、即席で作ってくれたものだった。でもこれなら日本に帰って自宅でも作ることができるのではないか。このなるシウンお店では、甘い、ココア風味の食後酒をごちそうになった。これも癖になるくらいおいしいものだった。

 帰国後、実際に作ってみた。本場の味には及ばなかったが、美味しく元気になりそうだった。

 マドリードにたどり着く前はアルハンブラにいた。セビリアからアルハンブラに向かう道の両側がずーとオリーブ林だった。こんなに広い土地にあるオリーブの実の収穫はいったいどうするのだろうと、悩みながら考えたことをスペイン最後の夜、アホ・スープは思い出させてくれた。