明け方までよく眠れなかった
翌朝早く、ベッドをそっと抜け出し

置き手紙などと野暮なことも思い付かず…

ゆっくり南大井の駅に向かった

(ここいらではセミが鳴かないな…ところであの中華屋はなんでこんな時間から開いてんだ!?)

赤い暖簾を横目で見ながらまだ涼しげな道を歩いた

新宿駅からは京王線の満員電車を窓の外に見ながら快適だ

仙川に戻ると凉子は出かけたあとで…いぶかしげなおばさんの視線をふりほどきベッドに向かう

服を脱ぐとフワッとした微風にマヨの匂いがした

ちょっと心が歳を取った気がしたが睡魔には勝てない

いつのまにか気絶のような顔をしていたんだろう

ふと…瞼の上が痛いのに気がつく

かすかに凉子の声が聞こえた

『ゆうべどこに行ってたぁ~』
『ゆうべどこに泊まったぁ~』
『なぜ連絡しなかったぁ~』

しばらくすると
どうも凉子が親指を目の上でグリグリしているらしいと気がついた…

『いてえよッ!!』

『ゆうべどこに…おッ!起きたか!?』

『なにやってんだよ…』

『別に!?…』

『グリグリ大魔王か!?お前は!』

『大魔王はない!女の子だから!』

『どうでもいいけどさ…普通するか!?そゆこと…小学生か…』

『私を普通だと思ってたのか!?』

『・・・。』

『なんか言え・・・。』

『何時だ!?今…』

『日本では4時36分。』
『今日からニューヨーク時間でいく…時差ぼけの邪魔すんな』

『不良学生がなにいってんだか…』

『澁谷でなつかしい友達とばったりあって盛り上がっちゃってさ…』

『朝まで!?』

『あんまり記憶ないんだけど…たぶん!…』

『友達って男!?』

『男子用のトイレに入ってたからね…』
ここで思わず目線をそらしてしまった

凉子の目線が光って見えたから

そしてやっぱり心が歳をとった気がした

いつものように夕食をすますが…

なんだか会話がぎこちない
というか…少ない

おばさんもなにも聞かないし凉子はテレビ見て無邪気に笑う

しばらく心が若返らないのかな


つづく・・・