さっきまでの喧騒をよそに

僕は
千歳発羽田行きのANAの機内にいる

まだベルト着用のサインは消えていないが

ちょっぴりわざとらしいキャビンアテンダントの笑顔を除けば

だいたい快適だ

『ああぁぁ~~!!』
その時に背中に汗が流れた気がした

『ゼッゼミの夏合宿ッ!!』
朝10時に地下鉄の駅に集合だった

すっかり忘れていた

どうしよう・・・

落ち着け・・・

とにかく
ここから連絡出来ないし・・・



『明後日さぁ~』

だいたい涼子の会話は唐突で

前置きがない

北海道なまりを使わないところにちょっぴりカチンとくる

『隅田川の花火大会なのよ!おいでよ!』

「なんだ!なんだ!花火見に行く相手もいねぇのか?」
と言いたいところをかろうじて飲み込んで

おばさんが会いたがってるってところにひっかかった
なにしろ涼子のおばさんのクリームシチューは天下一品だから・・・

でも夏だしなぁ・・・


機内はヘッドホンが使えないので1時間半がひどく長い

仕方がないので備え付けのイヤホンを装着し洋楽のチャンネルに合わせる

おっ♪ドゥービーブラザースだ!
ついてる!

座席の網ポケットに入っている機内誌も読みあきた頃
機体は羽田に滑り込んだ


空港に着くと松田先輩に連絡し参加出来ないこととお詫びを告げ

胸をつかえをおろす



久々の東京だ

身体が札幌なれしているので生ぬるい空気が肌にまとわりつく

動く歩道に乗り

ヘッドホンをつけるといくらかペースを取り戻した

浜松町から新宿を経て京王線に乗り換える

『なんだよ!平日なのにこの人混みは!祭か!?』

特急の止まらないので乗り換えて仙川まで行くと改札口に涼子がたっていた

『北海道から幼なじみがはるばる出てきたら羽田まで来ないか!?普通は』

をまたまた飲み込んで

『やぁ』
で手をあげたら帰ってきた返事は

『遅かったじゃん!?』
だった

まぁ、瞳の奥に『待ってたんだから』が読み取れたので今日のところは完璧してやろう


『まあまあ楓(かえで)くんたら、すっかり凛々しくなっちゃって』

おばさんが頬擦りせんばかりに出迎える

いつもこれだ

だいたいまだ一年しかたってない

たけのこじゃないんだから・・・

『明日の夜花火見に行くでしょ?』

『まあな・・・』

『明後日ディズニーランド行く?』

『いいけど・・・』

『友達出来た?』
俺だって質問くらいする

『うん。それなりにね』

『なんなんだそれなりにって』

(クスッ)『それなりってそれなりよぉ。でも楓君みたくなんでも話せる人はいないかなぁ』

『まぁ遠足おしっこちびった事件でも知ってる間柄だからな』

『それ言うわけ?若さゆえのあやまちを・・・』

『エピソードにはことかかないからな』

『楓君だって文化祭のステージからスッテンコロリン事件あったじゃんッ!?』

『あれは星野の奴がありえないタイミングでライトを当てるから目がくらんじゃって・・・

だいたいお前は・・・』


そんな感じで半年ぶりの同窓会IN東京

で一日目の夜が過ぎていった