《第一話:ライラックの香りとヘッドホンと僕》
テレビ塔が見える大通り公園ではとうきびの屋台が出ていて
ライラックの花が風に乗せていい香りを運んでくる
梅雨がなくて心地よいかわりに僕の心も乾燥気味だ
涼子からの返事の手紙が帰ってこなくなって1ヶ月がたつ
相変わらず僕のヘッドホンからはジャニスジョプリンのシャウトが流れていて
となりに座っているハゲオヤジまでがバックバンドに見えるから不思議だ
明日からは羊蹄山の麓でゼミの連中と夏合宿だ
なのにまるっきり準備をすることもなく
この公園のベンチライブを楽しんでいる
夏合宿といっても例のアレだ
松田さんと星野君がいつものように張り切ってしまうやつだ
別に僕はどうでもよかったんだけど
ついつい参加してしまう僕も節操がない
両親が大学の仕事でロンドンに行ってからは
このベンチライブが気に入っている
このあいだはエルトンジョンを連れてきたし
フィリップベイリーだって登場させちゃう
まるであのドンキングのような凄腕プロモーターだ
『夏休みになったらロンドンへ来なさい』
という母親の手紙も本棚に置いたままだ
この楽しい時間を奪われるくらいなら
ぜったいに飛行機なんかには乗ってやるもんか
機内食にはちょっぴりそそられるけど・・・
涼子に電話しようかとも思ったけど
なんだか気後れしちゃって・・・
一年前
『私一人でここに残る!!東京へは行かない!!』
と泣いていたのに・・・
幼稚園以来の友情もなにもあったもんじゃない
まったく・・・
そうだ
通りに出たついでに
切れたままのスニーカーのひもを買って帰ろう
あとミルクも1本
ちょうどそんな時僕の携帯がなった
《つづく》
噴水の向こうを歩いているお姉さんのハイヒールがヘッドホン越しに響くドラムのリズムとぴったり合ってしまったので
少しだけ苦笑いをした
おもむろに立ち上がり
そのまま通りに出た
バケットのハーフサイズとチーズを買ってまた歩いている
ヘッドホンの中はシカゴに変わっていて
これはとても歩きやすい
テレビ塔が見える大通り公園ではとうきびの屋台が出ていて
ライラックの花が風に乗せていい香りを運んでくる
梅雨がなくて心地よいかわりに僕の心も乾燥気味だ
涼子からの返事の手紙が帰ってこなくなって1ヶ月がたつ
相変わらず僕のヘッドホンからはジャニスジョプリンのシャウトが流れていて
となりに座っているハゲオヤジまでがバックバンドに見えるから不思議だ
明日からは羊蹄山の麓でゼミの連中と夏合宿だ
なのにまるっきり準備をすることもなく
この公園のベンチライブを楽しんでいる
夏合宿といっても例のアレだ
松田さんと星野君がいつものように張り切ってしまうやつだ
別に僕はどうでもよかったんだけど
ついつい参加してしまう僕も節操がない
両親が大学の仕事でロンドンに行ってからは
このベンチライブが気に入っている
このあいだはエルトンジョンを連れてきたし
フィリップベイリーだって登場させちゃう
まるであのドンキングのような凄腕プロモーターだ
『夏休みになったらロンドンへ来なさい』
という母親の手紙も本棚に置いたままだ
この楽しい時間を奪われるくらいなら
ぜったいに飛行機なんかには乗ってやるもんか
機内食にはちょっぴりそそられるけど・・・
涼子に電話しようかとも思ったけど
なんだか気後れしちゃって・・・
一年前
『私一人でここに残る!!東京へは行かない!!』
と泣いていたのに・・・
幼稚園以来の友情もなにもあったもんじゃない
まったく・・・
そうだ
通りに出たついでに
切れたままのスニーカーのひもを買って帰ろう
あとミルクも1本
ちょうどそんな時僕の携帯がなった
《つづく》
噴水の向こうを歩いているお姉さんのハイヒールがヘッドホン越しに響くドラムのリズムとぴったり合ってしまったので
少しだけ苦笑いをした
おもむろに立ち上がり
そのまま通りに出た
バケットのハーフサイズとチーズを買ってまた歩いている
ヘッドホンの中はシカゴに変わっていて
これはとても歩きやすい