昨年お盆に他界した母は、二つの難病を持っていました。
潰瘍性大腸炎と脊髄小脳変性症というものですが、
大腸炎の方は手術で大腸をほとんど摘出しましたので実質脊髄小脳変性症のみの長い入院生活でした。
脊髄小脳変性症は以前の記事で紹介した通り、体がだんだん動かなくなる病気です。
癌のように急に進行して命を落とすことはないのですが、大変辛い病気です。
その母、最後の数年は完全寝たきりで指一本動かすことはできませんでした。
口だって動きませんから、顔の表情(それも次第に表現できなくなりました)で訴えたい事を想像するしかありません。
母の一日
・1時間おきに、
体温を測ってもらい
耳元で呼びかけて反応するか見てもらい
目の動きをチェックしてもらい
・朝から夜までラジオを聴く
・朝ぬらしたガーゼで歯を拭いてもらう
・朝暖かい蒸しタオルで顔をふいてもらう
・昼間暖かい蒸しタオルで体をふいてもらう
・数時間おきにおしめ交換してもらう
この毎日です。お風呂は入りません。頭も当然洗いません。
頭は月に数回洗ってもらいましたが、体力のある日に限られます。
ところで、排泄の臭いはあっても、体は臭いませんでした。
石鹸で流さなくても臭くはなかったんです。
母の体にはきっとちゃんと微生物が共存していたんでしょうね。
当時は単に代謝が悪いだけなのかと思っていました。
でもそれだったらいつか臭くなってたはずですもんね。
ただ、ずっと握ったまま固まっている手のひらだけは臭いがあったんです。
よくタオルで拭いてあげましたが、毎回臭いがありました。
手のひらは介護師さんが拭けなかったのかな・・・
母の手は折れそうに細いので、介護師さんが安全のために
グーのまま固まっている手を無理やり開いたりしなかったのかもしれません。