この小説が好きな私は映画でどんな内容になるか楽しみだったんですが、原作のイメージ通りで役者も素晴らしく、期待通りでした。
他のガリレオシリーズは読んでないのでわかりませんが、こちらはコロンボみたいに最初は犯人視点で描かれます。
主役は犯人なので、「人気テレビの映画」「人気俳優福山をかっこよく撮る」という意図であればあまり向いてないお話です。

どうするのかな~と思っていましたが、小説そのままの展開でミーハーな所はほとんどありませんでした。

お話が素晴らしいものなので、ミーハーな要素がなくてもヒットすると考えたのでしょう。


主役の石神はすごく難しい役だと思っていましたが、堤真一は見事石神になっていました。小説の感動そのまま伝わり、小説ではイメージしにくかった石神の感情の細かい部分までも表現されていました。


ジャンルはミステリーですが物語の軸は人間愛。小さなつながりや日常の生活に大きな感謝の心を持つ。無意味だと思っていた自分が人の力になれると知った時、見返りなど少しも求めることなく犠牲になろうとした勇気と決意。


素晴らしい頭脳を、世の中から見れば馬鹿げた事に使うわけですが、自分の正義は世間の尺度で計れないのです。
映画とは離れますが、法も常識も人間が作ったもの、単純に従うのでなく自分の心で感じ取れていけるようになれたらいいですね。