懐かしい昭和の電車のお話をします。
まずは2枚の写真をご覧ください。




信州の浅間山を背景に旧信越本線を走っているのは、国鉄時代の急行形電車169系車両です。





浅間山を望むこの駅は、過去、特急の停まる日本で最も標高の高い駅とされた旧信越本線の「信濃追分駅」(長野県軽井沢町・現在しなの鉄道線の無人駅)で、昭和26年には新東宝映画「高原の駅よさようなら」の舞台にもなった駅です。

もんぺ姿がよく似合う香川京子さんが、動き始めた列車を追いかけて、この駅のプラットホームを走りながら笑顔で水島道太郎さんに手を振る感動的なラストシーンが、今でもDVDソフトで見ることができます。

当時は、もちろん蒸気機関車で碓氷峠はわが国唯一のアプト式鉄道でした。


さて、169系急行形車両は、昭和43年(1968年)に国鉄最大の急勾配「碓氷峠」の対策車両として湘南色(かぼちゃ色)で信越本線に登場しました。

それは、それまでの蒸気機関車とディーゼル機関車の時代から、明るいイメージで、新しい時代の到来を実感させてくれるうれしい出来事でした。

同車両は、『急行信州』『急行志賀』などの愛称で高度成長期の幹線輸送を12両編成で担いました。



それから時は流れ、
急行形車両は、より高速で乗り心地の良い特急形車両に主役の座を奪われ第一線を退くことになります。

その後はローカル線などで脇役として活躍を続けました。

そして平成25年(2013年)春、大勢の鉄道ファンや昭和を懐かしむ人々に惜しまれながら現役を引退しています。





車体に標示されている「169-1」は、169系車両の初号機を意味しています。

昭和43年(1968年)の製造から引退までの45年間、碓氷峠に象徴される急勾配の難所、山岳地帯を日夜走破し、なお揺るぎない頑丈な車両は

鉄道日本!
世界に冠たる技術力の証明であり、ご尽力された皆さまに心から敬意を表します。


詳しくは、次の動画で紹介していますので、ぜひご覧ください。