9月25日にアウェーで行われた2024年明治安田J2リーグ第30節ロアッソ熊本戦ですが、試合結果は2対4でヴァンフォーレは敗れてしまいました。ヴァンフォーレの得点は後半に挙げた鳥海選手と三平選手のゴールでした。
☆先発メンバーを大胆8人変更
ヴァンフォーレがルヴァンカップのプライムラウンド準々決勝に参加していたため延期となっていた第30節。第32節と第33節のリーグ日程の合間に組み込まれたために7日間で3試合をこなす過密さとなっていました。しかもこの期間はアウェーからホームに帰ってきての中3日&ホーム連戦ではありますがナイトゲームからデーゲームの脅威の中2日というスケジュールとなっているため、同じメンバーで戦うのは相当厳しい条件でした。なので大塚監督は合間のこの試合で大幅なターンオーバーを実施。前節の仙台戦から渋谷選手と林田選手&鳥海選手の3人以外の先発を8人入れ替えるという決断を下します。その選択が正しかったのか正しくなかったのかは試合で明らかになっていきます。
☆アグレッシブな姿勢のスタート
J1昇格プレーオフ入りの目標を達成するためには残りのほとんどの試合を勝たなければいけないヴァンフォーレ。その勝ちたいという気持ちがピッチ上でもよく表現されます。攻守においてアグレッシブに動くことで相手にプレスをかけようと試みると、スタートの時間帯は相手も慌てたこともありこちらのスタイルがハマる場面がみられます。しかも普段出番の恵まれなかった選手が多いので体力的にもフレッシュに動くことができ、良い立ち上がりをチーム全体がみせていたと思います。中盤の争いで勝利を収め試合を優位に進めたかったヴァンフォーレでしたが、このときに熊本が蒔いた種を気づけなかったのは痛かったですね。
☆前半にまさかの大量失点
序盤の時間帯は縦パスを出してはすぐに戻して他のエリアに移動し、再び縦パスを出して繰り返す様子見のサッカーをしていた熊本。それは熊本がヴァンフォーレに対して縦パスを出したらどのくらい受け取った選手にプレスで食いついてくるのかを計っていたと思います。その実験段階を経て熊本はいざ仕掛けていきます。前半10分、果敢に前に来る熊本にビルドアップの段階で引っかかってしまった神谷選手。慌てて取り戻そうとスライディングしますが相手に冷静にかわされて最後は石川選手に決められて先制点を奪われます。続く19分には一本の縦パスで浅く守るDFラインの裏を突かれ、シンプルに唐山選手に決められ2失点目を喫すると、41分には熊本にボールを奪われてカウンター攻撃を受け右サイドから大きなクロスボールで逆サイドまで展開。ファーサイドに走り込んだ松岡選手にダイレクトに合わせられ3失点目。そして前半アディショナルタイムには熊本の左からのCKのボールを神谷選手がクリアミスしヘディングでゴールに押し込んでしまいオウンゴール。あれよあれよと前半だけで4失点を喫してしまいました。まさにヴァンフォーレの守備陣は混乱状態と言っても過言ではなく、その状態をうまく利用した熊本の試合の流れを読んで突き離す力も光りましたね。序盤に相手の様子を観察していた努力も実っていたと思います。ホームのサポーターから大ブーイングを浴びて前半が終了します。
☆ハーフタイム後に目の色が変わる
4失点とディフェンス陣が崩壊し、攻撃面も噛み合わないまま無得点で終了した不甲斐ない内容の前半の戦いをみせてしまったヴァンフォーレ。おそらくハーフタイムに大塚監督に檄を入れられ、選手たちは再び気持ちを入れ直したと思います。目の色が変わった選手たちは戦い方を共有しアグレッシブに攻守において仕掛けていきます。また山本選手に代わり木村選手&飯島選手に代わって三平選手を投入し、さらにフォーメーションを変更した影響も状況を変えるきっかけとなってチームが活性化。大量失点で自信を失いかけていた状態に歯止めをかけることに成功しましたね。展開的にも4点を奪って保守的になる熊本に対して攻め込むヴァンフォーレの後半の構図となります。
☆遅すぎた鳥海&三平選手弾
攻める展開となったヴァンフォーレは後半22分、中山選手が蹴ったCKがニアサイドで選手に当たり中央に流れていくと、ボールを拾った神谷選手がトラップし右足でシュート。しかしそのシュートは枠を外れそうになっていたところで鳥海選手が反応しシュートの軌道を変えてゴールに押し込み1点返します。後半34分にも中央でパスをもらった三平選手がペナルティアーク付近で迷わず右足を振り抜き、グラウンダーの軌道のミドルシュートがゴール右隅に鮮やかに突き刺さります。鳥海選手の得点はなんとしても決めるんだという強い気持ちがプレーに乗り移ったかのような執念のゴール、三平選手の得点は彼のトラップ&反転の巧さや思い切って蹴ってみようとするチャレンジ精神が功を奏したナイスゴールでしたね。2点を決めて追いかけたものの、4点ビハインドの分厚い壁は越えられずに2対4で試合終了。鳥海選手と三平選手のゴールで意地を見せたヴァンフォーレでしたが、J1昇格プレーオフが遠のく敗戦となりました。
☆敗因は?
この試合ヴァンフォーレが敗れてしまった要因として、先発メンバーを大幅に変更したことによっていつものような組織力を保てなかった点があったと思います。この過密日程での3連戦を戦う上で同じチーム編成で乗り切ることが選手の蓄積疲労的にほぼ不可能だったため、どこかの試合で選手を入れ替えることが求められていました。大塚監督はJ1昇格プレーオフ付近にいる仙台や山形との戦いを重要視し、普段出場している選手たちをそちらの試合に使えるようにチームを構成。日程上合間に行われるこの16位熊本戦は出場機会に飢えている選手たちで構成されたターンオーバー制を導入してきました。今回の出場選手たちはスタートから積極的に動き、アグレッシブに進めてきたこれまでの大塚監督体制のチームスタイルをピッチ上で頑張ってみせようと努力しますが、前に行くスタイルの裏にできる守備のリスク管理がほとんど機能していないように思えましたね。継続して臨んでいるメンバーではその辺りのフォロー体制がしっかりしているのに対し、今回はチームの組織力が未成熟だったと言わざるを得ません。約4ヶ月ぶりに復帰した神谷選手が1点目と4点目の2つの致命的なミスに絡んでいるのですが、味方同士で励まし合うリカバリーの精神も前半のうちは少し欠けていたように個人的には思います。
また自分たちの得意とする堅守速攻スタイルを出そうと常に受け身の状態になっていることも気になります。ここ最近鹿島や川崎&横浜FCなど強豪クラブと対戦することが多く、攻める相手に対して守るヴァンフォーレの試合の構図が増えていた事実は確かにあります。それらの相手に対して善戦したことでそのパターンをリーグ戦の他の試合でも出そうとする傾向が目立ちます。もちろん引いて守っているだけではなく前に奪いに行く積極的なディフェンスにチャレンジをしているものの、先手の相手がボールを持っている状態から後手のこちらがアプローチしていく試合のかたちは消極的と思われても仕方ないと思います。この熊本に対しても受け身の状態で試合に入ってしまったので、当然相手のチャンスも増えてそれにつれて得点機会も増えていきます。堅守速攻のチームスタイルに偏り過ぎるのではなく、順位が下にいるチームが相手なら尚更こちらが主導権を握って能動的にプレーしていく臨機応変さも大切だと思いますね。
…この敗戦によりヴァンフォーレの今シーズンの成績は10勝9分け13敗となり、順位は13位と変わらないものの上の順位にいるクラブと勝ち点3を詰める絶好の機会を逃してしまいました。そして首の皮一枚残されていた6位以内に与えられるJ1昇格プレーオフ入りがこの結果で極めて厳しい状況に。精神的なショックがデカいと思いますが、残りの試合で士気を落とさないように気持ちを持ち直して戦っていけるかが注目されます。これから山形戦&岡山戦とホーム連戦が続きます。来てくれるサポーターのためにもできる限り多くの勝利を届けたいですね。
【ヴァンフォーレ甲府×ロアッソ熊本|ハイライト】2024明治安田J2リーグ第30節|2024シーズン|Jリーグ