9月21日にアウェーで行われた2024年明治安田J2リーグ第32節ベガルタ仙台戦ですが、試合結果は2対2の引き分けに終わりました。ヴァンフォーレの得点は後半に挙げた三平選手と中山選手のゴールでした。
☆先発変更は3人
ヴァンフォーレはこの試合に臨むにあたり前節の横浜FC戦から先発を3人変更。左ウイングバックの村上選手のポジションに荒木選手が入ると、トップにはマクーラ選手に代わりピーターウタカ選手が3試合ぶりに先発復帰。そしてボランチの中山選手の位置に三沢選手が起用され、また新たな組み合わせのもとでアウェー戦に挑みます。個人的な注目選手は三沢選手。高い足元の技術を活かして中盤でチャンスメークができる彼がより多くの機会でボールに触ることで、ヴァンフォーレの中盤に安定感をもたらしてくれる効果があると思います。またウタカ選手とは京都で2021年から2022年までの2シーズンともにプレーしていた間柄。ベンチに入った武富選手もそうですが、元京都のホットラインで相手ゴールに迫るシーンを何度も作り出してほしいですね。
☆一瞬の隙を突かれた先制点
ヴァンフォーレがなかなかシュートまで結びつけられない展開のなかで、スタートから積極的に仕掛けてくる仙台。そのアグレッシブな姿勢がゴールを呼び込みます。前半13分、ハーフウェイライン付近でボールをまわす仙台は中島選手が一瞬の隙を突いて前線に鋭いスルーパスを供給。そのパスに反応し抜け出した中山選手が飛び出してくるGK渋谷選手の動きをよく見て冷静にゴールに流し込み、先制点となるゴールを決めます。ヴァンフォーレとしたらスルーパスの出始めがハーフウェイライン付近だったのでこちらのDFラインは押し上げて浅くなっており、位置的に中山選手を見ていた林田選手はまさかそのタイミングで狙ってくるとは想像していなかったと思います。反応に遅れて一瞬のマークのズレが1本の完璧なスルーパスによって決定機まで持っていかれました。でもこのシーンは守備陣が悪いというよりは相手の攻撃が上回った印象の方が強かったので、仕方ないと割り切るしかないでしょうね。序盤に失点する苦しい展開で試合が進んていきます。
☆後半立ち上がりにも失点
1点のビハインドで前半を折り返したこの試合。後半に巻き返しを図りたかったのですが、その出鼻を挫かれるシーンがやってきます。後半2分、左サイドに展開されたヴァンフォーレは荒木選手が対応しますが仙台はワンツーでかわしてサイド深くまで侵入。郷家選手は普通にゴール前にクロスボールを上げるのではなく少し手前のニアにグラウンダーのクロスを選択すると、そこに待っていた真瀬選手がダイレクトでシュートを放ち、それがゴールに突き刺さります。後半開始早々あっという間の追加点。このシーンを詳しく見てみると、まず左サイドにパスを渡った時点で荒木選手1人しか反応しておらず、仙台はエロン選手と郷家選手の2人がおりサイドで数的不利な状況が作られていたことが不味かったポイント。その状況で相手は壁パスで簡単に荒木選手を引き剥がすことに成功しています。その時に3バックの左側の選手が中央にいた真瀬選手をマークしていたのでフォローに行けなかった背景もありますが、そこで右側の選手にマークを預けてスライドしその選手は左サイドの対応に向かわなければいけませんでしたね。アシストした郷家選手は相手からのプレッシャーがなかったためにゴール前の状況を確認し、ターゲットを見つけて正確なクロスボールを上げる余裕ができていました。そして孫選手はゴール前でなんとかしようとする気持ちが強かったあまりにポジショニングが下がり過ぎ、それによってぽっかり空いた手前のスペースを相手に突かれてしまいましたね。相手ボールにうまくアプローチできなかったのも後半開始して間もない状況が少なからず影響していると思います。後半が始まって完全にエンジンがかかり切っていない状態を仙台にしたたかに狙われていたと思います。
☆流れを変えた後半18分の3人交代
2点のリードを奪われたヴァンフォーレは早急に追い上げを図るべく後半18分に3人の同時交代を決断。中山選手&宮崎選手&三平選手をピッチに送り込み、停滞していた攻撃面のテコ入れに着手します。こちらが攻勢時には迫力のあったアタッカー陣でしたが相手にボールを持たれると途端にプレス強度が弱まる状況を改善するために、計画的かつ組織的に前線でボールを追える三平選手と精力的に動いてリズムを作り出す宮崎選手が率先してチェイシングに行くことで相手のビルドアップの精度を低下させることに成功。それによって守備から攻撃に展開が切り替わる機会が増え、ただ単にポゼッションするだけではなく相手陣地に鋭く攻め込む回数も多くなっていきます。3人交代によって試合の流れが変わり始め、その後の追撃弾へと繋がっていきます。
☆良い時間の三平選手の追撃弾
後半23分にセットプレーのチャンスを獲得したヴァンフォーレ。荒木選手が左足で蹴ったCKのボールをゴール中央で三平選手が右足のひざに当てて押し込みゴールを決めて1点差にします。このシーンはニアサイドでヘナト アウグスト選手が触ると予測した仙台守備陣がそこを越えて裏に流れたボールに反応できなかったのが大きいポイント。裏にポジショニングを取っていた三平選手も相手選手に付かれている状態でしたが、体を預ける感じでうまく反転させてシュートを打てる体勢を作り出していましたね。今シーズン5得点目となるゴールは三平選手らしい駆け引きの強さが生んだ得点だったと思います。
☆ラストワンプレーでの劇的同点弾
1点を返したヴァンフォーレでしたが、そこからは仙台も盛り返して互角の攻防が繰り広げられます。残り時間が短くなり徐々にクローズの態勢へと変わっていく仙台に対して攻めあぐねるヴァンフォーレ。そのまま1点差で終わる気配が漂うなかで後半アディショナルタイム5分に中山選手が倒され、絶好の位置でのFKのチャンスを獲得します。ゴールから約25mほど離れた位置から直接狙ったのは中山選手でした。右足でカーブがかかったキックは相手の壁にかすり、軌道が少し変化したままゴール左側へ吸い込まれていきます。中山選手は今シーズン初ゴール。このシーンでは中山選手と荒木選手がFKスポットに立っており、仙台は位置的にカーブを描いて狙いやすい左足の荒木選手のキックを警戒して壁の高さの配置やGKのポジショニングを取っていたと思います。それの裏をかいた今回の中山選手の右足でのゴールはまさに相手の意表を突くかたちとなりました。ゴールが決まった直後に主審のホイッスルが吹かれて試合終了。ヴァンフォーレがラストワンプレーを活かして劇的な同点弾でフィニッシュを迎えました。
☆引き分けた要因は?
ヴァンフォーレがこの試合引き分けた要因として、気になった点と良かった点の2つに分けて挙げたいと思います。まず気になった点は後半立ち上がりでの失点。前半13分の失点は仙台の攻撃が上手という印象がありましたが、後半2分の失点はディフェンスに集中し的確にフォローに向かえば防げた失点だったと個人的には思います。時間帯も一般的に得点が動きやすいと言われている後半開始後に失っているので、選手たちの心の隙が影響していたと言っても過言ではありません。最近の試合では天皇杯の鹿島戦やルヴァンカップの川崎戦&リーグ戦の第24節長崎戦など、大塚監督体制で前後半開始&終了直前で失点し勝敗の行方が変わってしまう場面が目立っていたので、この流れは残りの試合で見せないようにしたいですね。
良かった点は後半からの戦い方。ウタカ選手やアダイウトン選手がいた前半は彼らがボールを持たなければチームの仕掛けがスタートしなかったのに対し、三平選手や宮崎選手が絡んだ後半のチームの仕掛けは非常に組織的でした。相手のペースを狂わすような前線からのプレスができていたし、単独突破だけではなく連携を駆使した仕掛けが生まれていました。さすがにフィジカルの強度の面では前半のメンバーからは劣りましたが、攻撃のクオリティでは後半の方が仙台の選手は怖かったと思います。もちろんウタカ選手やアダイウトン選手が絡む攻撃も良い点はあるのですが、今回は後半からのメンバーの方が効果的で、2点差を追いつく原動力となっていましたね。
…この引き分けによりヴァンフォーレの今シーズンの成績は、10勝9分け12敗の勝ち点39となり、順位は13位と変わらず。6位以内のJ1昇格プレーオフ入りを目指すヴァンフォーレにとって勝利が求められる状況は変わっていないので、今回の引き分けでその目標達成はさらに厳しくなりました。しかし勝ち点1獲得で首の皮一枚は繋がっていると思うので、残りの試合での白星を信じて希望を持って戦ってほしいと思います。
【ベガルタ仙台×ヴァンフォーレ甲府|ハイライト】2024明治安田J2リーグ第32節|2024シーズン|Jリーグ