8月3日にアウェーで行われた2024年明治安田J2リーグ第25節ザスパ群馬戦ですが、試合結果は1対0でヴァンフォーレが勝利しました!ヴァンフォーレの得点は後半に挙げた内藤選手のゴールでした。
☆先発変更は1人のみ
約3週間の中断期間明けということで大塚監督がどのようなチーム編成で臨むのか注目されていましたが、約3週間の中断前に行われた前節の長崎戦から先発を1人変更するに留めたヴァンフォーレ。山本選手に代わりケガから復帰したヘナトアウグスト選手が起用されボランチの位置に入ります。交代選手は1人のみでしたが今回選手の配置に工夫を凝らし、山本選手がいた3バックの中央には本来ボランチの林田選手をコンバート。林田選手は元々守備力の高いタイプのボランチなので、守勢時には3バック+2ウイングバックの5バックで守りながら、攻勢時は林田選手が一列前にポジションを上げることで4バック+アンカーのかたちが作れます。かつて在籍していた新井選手の頃の可変システムに近いかたちを大塚監督が狙っていると読み取れることができ、林田選手には攻守両面の場面での活躍が期待されていたと思います。そして新たな試みをする大塚監督のチャレンジにも注目でしたね。
☆攻撃の起点が作れない前半
試合の立ち上がりは群馬がホームのサポーターの声援を受けて積極的に動き、ボールを保持して攻勢を仕掛けるシーンが続きます。ヴァンフォーレは球際の攻防など激しく向かっていった印象はありましたが、相手に組織的なプレスを剥がされる機会が多く前に進められていたので、一旦引いて人数を揃えた守備ブロックを形成する場面が目立ちます。きちんと帰陣し守備ブロックを形成してしまえば相手の攻撃が怖いなと思うシーンは少なかったのですが、仙波選手&瀬鼻選手ら新加入の選手たちが中心となる群馬の中盤の構成力は意外と高く、思うようにボールが握れなかったと思う前半でしたね。それと相手DFの裏抜けを常に狙う1トップのウタカ選手に対して味方がパスを送るタイミングが掴めずに攻撃の起点が作れなかったのも前半停滞した原因だったと思います。ウタカ選手はマークを外してパスを受けに来る動きが不十分だったので試合中は常に相手選手に囲まれている状態となっており、ほとんどボールに触れることなく見せ場を作れませんでした。また彼は前線の守備など組織的な働きも物足りなかったので、極端に言えばチームは10人で11人の相手に対抗していた感じがしましたね。ウタカ選手のモチベーションが高い状態のときには手がつけられなくなるくらいの素晴らしい活躍を残しますが、今回は本来の出来とは言えない消化不良というべき内容だったと思います。
☆個から組織へ
群馬がやや優勢の状態で前半が終わったこの試合。後半の序盤もそんなに状況の変化はなかったのですが、前半13分に武富選手と木村選手が入ってきたあたりから徐々に試合の流れが良い方向に変わっていく兆候がみられるようになります。強烈な突破が持ち味のアダイウトン選手の個の力に頼りがちとなっていた攻撃方法が、武富選手を経由してパスを繋ぎ相手の守備網を崩そうとする意識が強くなり、また高めのポジションで勝負を挑む木村選手がいることで必然的に前目の位置からチームの攻撃がスタートできるようになりました。そして後半27分には運動量が少なかったウタカ選手に代わり新加入のマクーラ選手が入ったことで前線の動きのキレが復活。チームの組織的な歯車がうまく噛み合うようになり、うまくいかなかった前半から一転しチームの堅守速攻スタイルの鋭さが際立つような試合展開に変わります。そして均衡していた状態を打開する頼もしい一撃が生まれます。
☆クラブ生え抜き20歳内藤選手リーグ戦初ゴール
0対0で迎えた後半38分、右サイドにいた関口選手が大きく蹴り出しサイドチェンジを試みると、左サイドにいた荒木選手は利き足の左足ではなく切り込んで右足でクロスボールを供給。自身のマークを巧みな動きでかわした内藤選手がファーサイドで頭で合わせると、その狙い澄ませたヘディングは逆サイドのゴールネットに吸い込まれて待望の先制点が生まれます。内藤選手は嬉しいリーグ戦初ゴール。このシーンは関口選手が大きくサイドチェンジを行ったことで相手DFを左右に揺さぶることに成功しており、内藤選手への警戒は比較的弱まっている状態でした。それに加えて荒木選手がクロスボールを上げる直前に内藤選手がフェイントをかけて相手マークを外す動きをしていたことが効きましたね。荒木選手と内藤選手のプレーの波長がピタリと合い、見事な得点が決まりました。
☆マクーラ登場
大宮に完全移籍したファビアンゴンザレス選手に代わり、7月19日にチームに加入したブラジル人FWマクーラ選手。移籍後初戦でベンチ入りした彼は0対0で迎えた後半27分に途中出場を果たします。184cm・82kgという大柄な体格ながらも良く動く印象で、前線でボールを追っていく姿も鋭さと迫力がありましたね。その姿勢が実り後半アディショナルタイムには高い位置でボールを奪うと、スピードのあるドリブル突破と相手に寄せられても怯まないフィジカル能力を披露。一人でゴール前まで持っていき、シュートまでやり切るたくましさをみせます。残念ながらシュートは外れてしまいましたが、彼がどのようなプレーを得意としているのかが分かる印象的なシーンだったと思います。マクーラ選手はバネのあるしなやかなフィジカルと遠めから見る体格的な雰囲気はブラジルの往年の名選手であるペレ選手を見ているよう。それだけでも必然的に期待感が高まってしまいますね。今回は途中出場ということで1試合通じてもつ体力があるのかが見極めなければいけないポイントとなりそうですが、今回のプレーぶりを見てマクーラ選手の今後の活躍が楽しみになってきました。
☆勝因は?
この試合ヴァンフォーレが勝利できた要因として、個に頼るサッカーから組織力を活かすサッカーに交代枠を使って変えていったことが状況の好転に繋がったと考えます。前半は最前線のウタカ選手との連携がうまく噛み合わず攻撃の起点が作れないでいたチームは、左サイドのアダイウトン選手の突破力で状況の打開を図ろうとしていました。しかし相手の警戒心も強く人数をかけてマークすることによってゴールを狙える危険な位置まで運ばせないディフェンスを群馬はしていましたね。ヴァンフォーレとしては決定機まで持っていけないのでパスを回してはまた攻撃を組み立て直す機会が多々あり、勝負する迫力のある仕掛けに繋がっていなかったことが停滞の原因でした。しかし後半になって武富選手や木村選手&マクーラ選手や内藤選手らがピッチに入ると、彼らが精力的に動き回ることによって前線にパスコースが多彩に生まれたことが攻撃をスムーズに展開できるきっかけとなりました。群馬としてはアダイウトン選手とウタカ選手を主に警戒していれば守備の的が絞りやすかった状態から、一気にディフェンスしなければいけないターゲットが増えたので終盤の時間帯は特に守りにくかったと思います。そして内藤選手の勝負強さも光りました。この得点への嗅覚を覚えて今後の試合でも活かせるようになれば、切り札としてチームが得点を決めたい勝負時に大塚監督がまた使いたいと思うはずです。レギュラーポジションに辿り着くためにはまずは少ない出場時間でも途中出場からゴールを狙える存在としてその地位を確立させてほしいですね。
…この勝利により今シーズンのヴァンフォーレの成績は、7勝8分10敗の勝ち点29で順位は14位に浮上しています。約3ヶ月ぶりとなる11試合ぶりの白星&大塚新体制でリーグ戦初勝利&クラブ生え抜きの20歳内藤選手のリーグ戦初ゴールと勝利に導く決勝弾ということで、ポジティブになれる要素がたくさん生まれました。相次いでいたケガ人もほぼ戻ってきてチーム編成の幅が広がっているなど、この勝利がきっかけとなり今後の試合に臨むにあたって自信がついたと思うので、今回の経験を活かして次節の藤枝戦ではホームゲーム2勝目を目指して力強く戦ってほしいと思います。
【ザスパ群馬×ヴァンフォーレ甲府|ハイライト】2024明治安田J2リーグ第25節|2024シーズン|Jリーグ