今年の上半期は新型コロナウイルスの影響でエンタメ業界全体が自粛モードに突入。特にライブハウスを活動拠点としていた現場主体のアイドルさんは、慣れないライブ配信やらグッズ販売やらで、なんとかしのいでいるという厳しい状況だった。
そんな現場活動が制限されている状況の中でも、各アイドル運営さんはコンスタントに楽曲を制作。今年前半も色々と良い曲に巡り合えた。

ということで、今年もアイドル楽曲大賞2020(上半期)を選んでみた。対象期間は2019/12月~2020/5月。もう曲数を少し絞り込んだほうが良かったかな~と思いつつ、結局、インディーズアイドル楽曲編で9曲、メジャーアイドル楽曲編で3曲、番外編で2曲をピックアップ。

◆インディーズアイドル楽曲編

nuance / ハーバームーン

 

 

横浜発アイドルユニット。今年で結成3年。昨年のアイドル楽曲大賞でタイムマジックロンリーが上位にランクインし、楽曲派アイドルというカテゴリでは外せないグループに。
nuanceさんはなぜか年末になると良曲をリリースするジンクスがあって、2017年末のミライサーカス、2018年末のタイムマジックロンリー、そして2019年末のハーバームーンと3年連続で刺さる曲をぶち込んできている。
ラップ調で始まるこの曲。そのままラップで最後までいくのかと思いきや、サビで一転してシャレオツな曲調に。横浜発アイドルという下地を生かして、ラップ曲なのに上品でハイソ感があるという不思議な曲。
サビでの「トゥルルルーッヤッホー」とか「イェイイェイイェイイェイ」とかの合いの手も気持ちいいし、サビ終わりでメンバー4人が人差し指をフロアに向けて「バン!」と打ち抜くさまにもキュンキュンする。楽曲そのものだけでなく振り付けを含めたライブをぜひ体感したい1曲。


CUBΣLIC / UNISON CUBΣ

 

Spotifyへの楽曲リンク

「フューチャーベース異次元アイドルユニット」という肩書で2019年8月に結成された4人組アイドルグループ。フューチャーベースという名のとおり、一貫してシンセベースのキラキラ感ピコピコ感満載の楽曲を提供している。
この曲の良いところは何といっても低音と高音の幅の広さとその融合感。こういうの大好物です。聴いていてホントに楽しい。そしてこういう曲調だとBPM早くなりがちだけど、じっくり聴かせるテンポが心地よい。

残念ながら私はまだ生ライブ見たことないので早くライブハウスでみたいっす。
そしてCUBΣLIC楽曲をどうしても1曲に絞りこめなかったのでCUBΣLICからもう1曲。

CUBΣLIC / 微レ存ガール

 

Spotifyへの楽曲リンク

こちらも素晴らしく良い。なんかエレキギターやベースがめちゃ楽しく弾んでるし、聴いていてワクワクがとまらん。Bメロでハンドクラップが入っているのもライブ現場で一体感を得たいヲタクにはたまらんアレンジ。ライブハウスでハンドクラップして盛り上がりたいやつやん。
ちなみにCUBΣLIC楽曲の作曲/編曲を手掛けているのはTEPPANさん。まったく知らない方だったのだが、CUBΣLICに提供している曲がどれも素晴らしい。上であげた2曲以外の楽曲もとてもよい。

SOUNDCLOUDでフルコーラス聴けるのも嬉しい。
UNISON CUBΣ(SOUNDCLOUD)

微レ存ガール(SOUNDCLOUD)


さっきの女の子、 / のいつも通り

 

 

アシッドジャズを楽曲コンセプトに活動しているアイドルグループ。普段はボカロ曲を作られているYASUHIRO氏が楽曲を提供。
昨年のアイドル楽曲大賞でも自分はさっきの女の子さんの楽曲に投票したけれども、YASUHIRO氏が作る曲はとにかくカッコイイの一言につきる。
今年はメンバーが1人減り2人増えて5人ユニットでの再出発。3日に1回発信しているYoutube動画も他のアイドルとは違った取り組みをしていて面白い。今年は更に知名度をあげて多くの方に知ってほしいなと。

POMERO / Saturday Night!

 

 

ラテンのリズムに乗って歌う陽気な1曲。夏に聴きたいアイドル楽曲の最有力候補。
楽曲自体は昨年中にライブハウス現場で既に聴いていたのだが、今年発売の2ndアルバム「RECONSTRUCT」でようやく音源化。POMEROさんが出す楽曲はいつも質が高いのでチェックを怠れない。同じアルバム内の「虹色ガール」もよい。

今年は5人メンバーのうち2名を入れ替えての再出発。グループとしてのバランスがとても良くなったので今年も期待。

FAREWELL, MY L.u.v / Obsession

 

(Obsessionは29分頃~)


昨年「gloomy girl」を聴いて衝撃をうけたフェアラブさん。
せっかく名古屋単身赴任になってライブ行ける機会増えているはずなのに、タイミングが合わずまだ一回もライブに行けていないこの悲しみ。無銭Youtube配信を見て耐え忍んでます。そんなフェアラブさんの新曲obsessionがたまんなくカッコイイ。
語り掛けるような静かなラップで始まるAメロが面白い。そしてサビの圧倒的なグルーヴ感。よいです。
ただ2020/5月時点でまだ音源出ていないので、年末の楽曲大賞にエントリするまでには音源出して欲しいぞと。

ピューパ!! / Apricot!!

 

 

「みんなで育てるサナギ系アイドル」という掴みどころのないキャッチコピーで活動する2人組アイドル。この曲はピューパさんの中でも一番ポップな楽曲で、わたし的にお好み。


サンダルテレフォン / Magic All Night

 

 

2019年4月に新体制として発足した「サンダルテレフォン」。私はハロプロ楽曲にあまり興味はないのだが、この曲は古き良き正統派パロプロ楽曲という感じで単純にノリノリになれる1曲。こういう王道感、キライじゃないっす。

毒島大蛇 / 孤らぷす
 


DEMON TAPESに所属し大阪を中心に活動しているソロアイドル。昨年、DEMON TAPESがnuanceの所属する事務所MINIMARING STUDIOと経営統合したことで初めてその存在を知った。初めて見たMVで楽曲がとても良かったのでピックアップ。
5月開催のエクストロメ(渋谷Gladからの配信)で披露していたのを生(?)で初めて見たのだが、歌うのとても難しそうだった (それはそう)。これ完璧に歌いこなせたら超絶カッコイイ。


◆メジャーアイドル楽曲編

私立恵比寿中学 / シングルTONEでお願い

 

Spotifyへの楽曲リンク

6thアルバム「playlist」収録曲。発売が2019/12/18だったので、2019年のベストアイドル楽曲として既に取り上げられた方もいる(宇多丸さんとか)。
エビ中さんは存在自体は知っていたし楽曲も聴いてはいたのだが、自分的にはあまり刺さらなくて、わたしがこよなく推しているNegiccoさんと仲良くしてくれてありがたいな~という感想くらいしか持っていなかった。
しかし「シングルTONEでお願い」を初めて聴いた時「えっこれエビ中さんなの?」という衝撃が走る。
まず「夜のクラブビジョン...」から始まるAメロ。「これって誰?大貫妙子さん?」っていうくらいの雰囲気のある歌声。どうやら安本彩花さんが歌っているらしいのだが、この1小節でもうやられましたね。いい声もってる。
山下達郎風シティポップがベタ過ぎるという評価もあるらしいが、いいものはいいんです。声を張り上げて歌うエビ中さんより、こういうしっとりした雰囲気のほうが個人的には好きなんですがどうでしょう。

maison book girl / 悲しみの子供たち

 

 

わたしのお気に入りグループであるブクガさんの最新アルバム「海と宇宙の子供たち」収録曲。こちらも2019/12月発売。
これまであまり世間に迎合しない尖った楽曲で攻め続けていたブクガさんだが、このアルバムではブクガの雰囲気は残しつつも一般の方にも聴きやすいアルバムへと舵を切っている。
とはいえ、この「悲しみの子供たち」のMVでは、見る人の背筋をぞわぞわさせる怪しいアニメーションにブクガおなじみの変拍子リズムがのっかって、聴くものを適度に不穏な気持ちにさせてきてます。ブクガお家芸満載の曲です。
アルバム収録曲では「LandmarK」も好きだし「シルエット」も好き。どの曲もよいんだよな。アルバムの完成度は随一。

コロナ自粛期間中は、メカに強い和田輪さんがメンバー4人と同時接続してライブ動画を流しながらコメンタリーをするという難易度高い配信を自力で実現していて、在宅エンタメの強さも発揮。

Juice=Juice / ポップミュージック

 

 

オジサン世代には懐かしいKANさんが作詞/作曲。70年代の洋楽メロディーをパロディーしまくっていることで話題に。
今の若い人たちがどんな感覚でこの曲を聴いているのかは分からないのだが、とにかく無条件に明るくて、オジサン世代にも耳馴染みのあるメロディーにリピートが止まらないやつ。MVの突き抜け感も楽しい。今年はこの曲で決まりなんじゃないですかね。
DA PUMPのUSAもそうだけど、カッコ良くてオシャレな曲よりも、なんか耳に残って離れないベタな曲が最終的には人を幸せにできるという真理。そういう意味でキャッチーなメロディーを作り続けるKANさんはスゴイなと。


◆番外編
アイドルさんではないが魅力的な女性シンガーで今年ハマった楽曲を2曲ピックアップ。

竹内アンナ / RIDE ON WEEKEND

 

 

1999年に宇多田ヒカル「First Love」を聴いた時の衝撃は今でも忘れられないが、それに匹敵するくらいの衝撃を受けたのが、今年3月発売の竹内アンナ「MATOUSIC」。
現役女子大生ながら、自ら作詞作曲しつつギター弾き語りで歌い上げるその楽曲レベルの高さがハンパない。
竹内アンナさんの楽曲の魅力はなんといっても歌詞の語感だ。
例えばこの「RIDE ON WEEKEND」のサビでは「RIDE ON WEEKEND」「どこまでも」「どこへでも」「しているよ」で韻を踏み、さらに「観た映画」「会話の合間」「口ずさむ歌」「長いから」で韻を踏んでいる。そう、ラップのように言葉のリズム感が絶妙なのだ。
また日本語と英語をうまく組み合わせて韻を踏んでいるのも特徴的だ。ご本人もツイッターで『「Happy」と 「洗濯機」で韻を踏もうと思ったわたしなかなかナイスやん。』と呟かれていて、こうした語感をとても大切にしているのが伝わってくる。
そして作詞作曲スキルに負けないくらい素晴らしいのがその歌声。「えっこれ土岐麻子さん歌ってんの?」というくらいもう完成されている歌声。21歳にしてこれってズルい。
しかもラジオ等で話すトークからは飾らない人柄が感じられるし、もう天は人に2物も3物も与えるんだな~と。この人が売れんかったら、ほんまに日本の音楽業界は終わってる。
2020/5月に行われる予定だったツアーが新型コロナの影響で延期になってしまったのがつくづく残念。ライブ行きたいわ~。チェキ撮りたいわ~(それは無理)

SCANDAL / Tonight

 

 

言わずと知れた2008年デビューのガールズバンド。9枚目のアルバム「Kiss from the darkness」収録曲。
バンドには一切興味ないのでSCANDALさんは名前しか知らなかったし、このアルバムの他の曲はほとんど自分には刺さらなかったのだが、この「Tonight」は深夜ドラマの主題歌になっているだけあってキャッチー。
うーん、これはきっと編曲のSASUKEさんがいいんだろうな。うまくハマった感じ。

 

以上!

まだまだエンタメ業界にとってはツライ日々が続くとは思うけど、下半期も良い楽曲を期待!