マイクロブタ

2才  雌  4㎏ 

 

主訴:昨日より頻回の嘔吐、削痩

 

 

初診時の様子です。元気がなくフラフラしていました。かなり痩せています。

 

 

結果的には、こんな物を食べていました。

 

 

 

モップ? 絨毯の縁? いずれにしても繊維製の消化できないような素材でした。長さにして60cm以上です。

 

 

術前のレントゲン検査

 

 

まずは、単純撮影   胃捻転? 胃内にガスが充満しています。いずれにしても通過障害が疑われる症例です。

 

通過障害を確認するため、バリウム造影を行いました。

 

 

 

バリウム投与直後の画像

 

 

 

バリウム投与24時間後の画像、バリウムは胃内に停滞しています。

 

 

 

 

後肢にて血管確保

 

 

術前の様子

 

  

腹膜を切開すると、ガスで充満した胃が見えます。

充満しているガス及びバリウムを含む胃液をできる限り抜去します。

 

 

 

  

小腸です。明らかに異常な形態で、容易に腸管内の異物を触ることができます。

アコーディオン状になっており、一部は腸管が腸管内に入り込む腸重積を起こしています。いわゆる腸閉塞の状態です。

豚の胃腸をみるのは、「と畜検査」以来?(はるか昔)でしょうか。

 

 

 

腸重責(軽度から重度のものまで、5か所ほど重責していました)

重責を起こした腸は、虚血状態となり壊死を起こす可能性があります。

幸いなことに、今回の症例は壊死はしていませんでした。

 

 

 

  

腸管内の異物を摘出しています。異物は胃から繋がっているため、切断しながら腸壁を傷めないように摘出します。

腸管からの摘出は4か所から行いました。

 

 

 

最後に胃内異物を摘出しました。幽門(胃の出口、腸に近い方)付近を切開しています。

 

 

 

術後の様子です。

診療後の手術のため、22時を回っていました。

無事に終了したことを飼い主さんへ報告!

 

当日(8月23日)は、お昼休みにも「ワンちゃんの胃内異物摘出手術」実施していたため、疲労困憊でしたが、

 

飼い主さんから「遅くまで、ありがとうございました!」の言葉をいただくと疲れも吹っ飛びますニコニコ

 

 

 

本日(8月27日)、退院となりました。

初診時と比べると、表情の違いは歴然としています。

 

初診時

 

退院時

 

 

 

注意喚起のため、同日実施したワンちゃんの異物摘出手術も簡単に紹介します。

 

トイプードル  3kg  雌  6カ月齢

 

ホッチキスの針を飲み込んだとのこと。

  

明らかにホッチキスの針の塊が確認できます。

 

針は未使用で閉じておらず、塊であったため内視鏡での摘出は困難と考え、胃切開による摘出を行いました。

摘出した針

 

 

 

異物誤飲は、腸閉塞や穿孔などに発展する可能性があり、緊急を要する場合が多いです。

 

飲み込んだ瞬間を確認している場合や誤飲した異物が判明している場合は迅速な対応が可能ですが、いつ・何を食べたか不明だったり、食べたかどうかもわからない場合などは、検査などで時間を要する場合があり、最終的には試験開腹を実施することになります。

 

いずれにしても、異物誤飲には注意が必要です。