はぐれ獣医 純情派~異論!ワン論!Objection!~-dogheart心臓は体に血液を送り出すためのポンプですが、実は非常に頭がいい。

心臓は自分に負担がかかると、なんとか自分の負担を減らそうとします。全身を流れる血液の量が減れば、心臓が送り出さなければならない血液の量が減るので、心臓の負担は軽くなると考えます。
そこで心臓は自分に負担が大きくなると、“おしっこ”を出させるホルモン(NT-proBNP)を分泌し、全身を流れる血液の量を減らし、自分への負担を軽くする作戦をとるのです。
 この原理を逆手に取ると、NT-proBNPを測定することによって、「どのくらいワンちゃんの心臓に負担がかかっているか?」を数値で知ることができます。

この現象は、給料日前で金銭的余裕のない彼が、デート代を減らして自分の財布にかかる負担を減らす作戦と非常によく似ています。つまり彼氏が安いラーメン屋ばかり誘う時は、彼氏の財布の負担がかなり大きいということであり、逆に高級レストランでのデナーに誘ってくれたら、給料が入り、彼の財布の負担が軽減したんだということが推測できます。

はぐれ獣医 純情派~異論!ワン論!Objection!~-tail heart腎臓が悪い場合は、例え心臓が正常でもNT-proBNPが高い場合もあります。安いラーメン屋ばかりで不満かもしれませんが、それはダイヤの指輪を買うために貯金しているかもしれないことに似ています。

ドラマ「救命病棟24時」の進藤先生ではありませんが、救急外来で搬送された呼吸困難症例に対して、「心臓が悪くて苦しいのか?」あるいは「そうでないのか?」を区別するために、実際にNT-proBNPは救急現場で使われているとか、そうでないとか・・・

車のガソリンが減ると、「車のガソリンを給油してください!」と警告灯で知らせてくれますが、犬の心臓には「心臓が悪くなりました。」という“警告ランプ”がないので、NT-proBNPが役に立つかもしれません・・・

<参考サイト>
Tarnow I, Olsen LH, Kvart C, Hoglund K, Moesgaard SG, Kamstrup TS, Pedersen HD, Haggstrom J. 2009 Vet J. May;180(2):195-201.
A Boswood, J Dukes-McEwan, J Loureiro, R A James, M Martin, M Stafford-Johnson, P Smith, C Little, S Attree 2008J Small Anim Pract. January;49(1):26-32.
はぐれ獣医 純情派~異論!ワン論!Objection!~-jhh