はぐれ獣医 純情派~異論!ワン論!Objection!~-smoke dog1「タバコを吸うと肺癌のリスクが高くなる」ということは多くの疫学調査で明らかにされているが、どれくらいリスクがあるのかはあまり知る機会が無い。
具体的にリスクを数値化したブリンクマン指数があるとか、ないとか・・・







ブリンクマン指数=(1日に吸うタバコの本数)×(タバコを吸った年数)
>400:肺癌になる確率が高くなる。
>1200:肺癌、喉頭癌にかかる確率が高くなる。

小生も大学1年生の時に野球部の部室で先輩に勧められてからタバコを吸い始めたが、本物の人体標本を使ったエキシビション「Body World」で喫煙者の肺を見て、禁煙を覚悟した。

さて、タバコとアトピー性皮膚炎には関係があるのだろうか?
現役キャバ嬢芸人姫ちゃんなら「タバコの煙がアレルギーの悪化と関係あるとかい・わ・な・い・の、てか、言わせな~い」と言うだろうか?

しかし、実際にタバコがアトピーに悪影響を及ぼす可能性を裏付ける研究結果がある。
タバコを吸っている人とタバコを吸わない人の血液を調べてみると、タバコを吸っている人は吸わない人よりアトピーの指標であるIgEやIL-4が高かった(1)(2)(3)(20~30%と推測されているIgE非依存型の自然型アトピー患者は別)。つまりタバコを吸うと、アトピー性皮膚炎が悪化する可能性が高いということである。

一方、タバコを吸う犬はいないと思うが、タバコを吸っている飼い主の犬はどうだろうか?

はぐれ獣医 純情派~異論!ワン論!Objection!~-smoke dog2「アトピー性皮膚炎の犬はタバコの煙で痒みが悪化することがある」という藤村先生(ふじむら動物病院:大阪府)は、某セミナーで面白い映像を公開された。アトピー性皮膚炎と診断されているチワワのチョコちゃんの飼い主の夫婦は共に愛犬家であり、愛煙家である。旦那はセブンスター、奥さんはマルボロを吸っている。まず旦那の吸っているセブンスターの煙をチョコちゃんの背中に吹きかけてもなんともならなかったが、奥さんの吸っているマルボロをチョコちゃんの背中に吹きかけると数秒後に酷く痒がっていたシーンは衝撃的だった。

ナス科タバコ属に所属するタバコは、大麻やキク科のヨモギと交差反応を示すことが分かっている(4)(5)。
アレルギー性皮膚炎と診断されたワンちゃんと暮らしている方が、タバコだけではなく大麻を所持していたら、大麻取締法違反の前に、犬取締法違反で検挙すべきか? ちがうかっ

Special Thanks:ふじむら動物病院 藤村 正人先生

犬警本部長 はぐれ獣医


<参考文献>
(1)Bonnin AJ, Montealegre F, Gewurz A. 1991 Ann Allergy. Dec;67(6):609-11.
(2)Byron KA, Varigos GA, Wootton AM. 1994Clin Exp Immunol. Feb;95(2):333-6.
(3)Becker CG, Levi R, Zavecz J. 1979 Am J Pathol. Jul;96(1):249-55.
(4)Stöckli SS, Bircher AJ. 2007 J Dtsch Dermatol Ges. Apr;5(4):303-4.
(5)Ortega N, Quiralte J, Blanco C, Castillo R, Alvarez MJ, Carrillo T 1999.Ann Allergy Asthma Immunol. Feb;82(2):194-7.
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