飲み会ではビールで乾杯するのが一般的だと思うが、新日本人はビールではなくサワーで“ルネッサァ～ンス”するという。今年の動物病院の新年会での乾杯の挨拶で「ルネッサァ～ンス」とはじけてみたが“中笑い”にとどまり、まさに「なあ～にい～っ!! やっちまったな･･･」的空気が漂った。
個人的にはアセトアルデヒド分解酵素の活性が弱いため、お酒は強いほうではなく、大量にお酒を飲むとまさに“コードブルー（緊急事態発生）”となるので控えめにしている。「ラストオーダーです」と言われて「生ビール」という人を見ると正直羨ましい。
本格焼酎を適量飲むことは血栓症（心筋梗塞や脳梗塞）の予防になるとか、ならないとか･･･この風説を裏付ける実験（Sumi H et al, Alcohol Alcohol. 1988）がある。
お酒（焼酎、日本酒、ビール）を飲むと血栓を溶解する酵素（プラスミノーゲンアクチベーター）の活性がどれだけ高まるかを調べたのである。お酒を飲まなかった人に比べて、ビールを飲んだ人は1.5倍、日本酒を飲んだ人は1.7倍、そして焼酎を飲んだ人は2.1倍も活性が高まったという。つまり、スーパーマリオが”スター”をゲットすると一時的に無敵状態になるように、「焼酎を飲むと一時的（ピークは約2時間後）に血栓を溶かしやすいモードになり、血管が詰まるのを予防してくれる」ということである。
この数年の厚生労働省の死因別死亡確率によれば人間の死因の第１位は悪性腫瘍（癌）、第２位は心疾患、第３位は脳血管疾患と続き、一般的にこれらの病気は３大死因と言われている。第２位と第３位の中でもメインとなるのは急性心筋梗塞や脳梗塞などの血栓性疾患と言われている。
なんだか焼酎が飲みたくなってきた･･･
【血栓の予防してくれる食材】
□ニンニク（硫化アリル） Ariga T et al,2000
□玉ネギ Yamada K et al,2004
独立行政法人 北海道農業研究センターで開発された品種(トヨヒラ)に強い抗血栓作用があることが神戸学院大学栄養学部生理学研究室の研究で認められた。
□トマト（ピラジン） Yamamoto J et al,2003
カゴメ株式会社と独立行政法人農業技術研究機構との共同で、トマト（商標名：絹子姫）品種の絞り汁に抗血栓作用があることがマウスで証明された。
□ハーブ（「ローズマリー」と「タイム」） Yamamoto J et al,2005
□納豆（ナットウキナーゼ） Sumi H et al,1990
□リンゴ（リンゴペクチン）
□黒酢（酢酸）
□青魚（EPA/DHA）
□焼酎：特に芋焼酎や麦焼酎
＜参考文献＞
Ariga T, Tsuji K, Seki T, Moritomo T & Yamamoto J: Antithrombotic and antineoplastic effects of phyto-organosulfur compounds. Bio Factors 2000; 13: 251-255
Yamamoto J, Taka T, Yamada K, Ijiri Y, Murakami M, Hirata Y, Naemura A, Hashimoto M, Yamashita T, Oiwa K, Seki J, Suganuma H, Inakuma T, Yoshida T： Tomatoes have natural anti-thrombotic effects. Br J Nutr. 2003 Dec;90(6):1031-8.
Yamamoto J, Yamada J, Naemura A, Yamashita T & Arai R: Testing various herbs for anti-thrombotic effect. Nutrition 2005; 21(5): 580-587.
Yamada K, Naemura A, Sawashita N, Noguchi Y, Yamamoto J：An onion variety has natural antithrombotic effect as assessed by thrombosis/thrombolysis models in rodents.Thromb Res. 2004;114(3):213-20.
Sumi H, Hamada H, Nakanishi K, Hiratani H.Acta Haematol. Enhancement of the fibrinolytic activity in plasma by oral administration of nattokinase.1990;84(3):139-43.
Sumi H, Hamada H, Tsushima H, Mihara H. Urokinase-like plasminogen activator increased in plasma after alcohol drinking. Alcohol Alcohol. 1988;23(1):33-43.
