はぐれ獣医 純情派~異論!ワン論!Objection!~-grabマヨラーとは、「マヨネーズが好物で、不特定多数の食品にマヨネーズをぶっかけて食べる人」と定義できるかもしれない。オヨネーズは、1990年に大ヒットした「麦畑」の歌手であるが、マヨネーズとは無関係である。

血液中のコレステロールが高いと動脈硬化のリスクが増加するという。
日本人の死因の30%が動脈硬化が引き金となる心臓病と脳卒中であることを考えると、やはり血液中のコレステロール値はあまり高くないほうがよさそうである。

厚生労働省が認可した特定保健用食品の中に、コレステロールを低下させる成分として「植物ステロール(Phytosterol)」があり、以下のような表記が許されている。

「コレステロールの吸収を抑制する働きのある植物ステロールの配合により、特にLDLコレステロールを下げるのが特徴です。」

最近、その植物ステロールが添加された食品がキューピー、花王、味の素、日本リーバなどから売り出されている。中でも植物ステロール配合マヨネーズであるサラリアキューピーディフェなどは、コレステロールが気になっているマヨラーにとっては、まさに“最高やないかぁ~い”という状況である。
 植物ステロールが入ったマヨネーズを毎日3ヶ月食べたら、血液中のコレステロール(総コレステロールとLDLコレステロール値)が低下したというルネッサ~ンッスな報告 (石崎太一ら, Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition. 2003) もある。

血液中のコレステロールは、口から入ったコレステロールばかりではなく、体内(肝臓)で作られるものも含まれるので、単純に口から入るコレステロールの量だけを減らしても血中のコレステロールは減らないことも知られている。実際、100g当たり約400mgもコレステロールが含まれる卵(鶏卵)でも、健康な人であれば1日1~2個の卵を食べても心臓病への影響がないということが国際脳卒中学会(2005)で報告されている。
大学時代、野球部の後輩と盛岡の冷麺屋で無料のゆで卵を何個食べられるか勝負したところ、圧勝の11個を食べたが、さすがにコレステロール上昇率も1位だったに違いない。
ちなみに生卵白を多量に摂取するとビタミンBの一つであるビオチン不足となる可能性があるため要注意である。ビオチンはワンちゃんでも必要で、欠乏すると毛が抜けたり、成長が遅延したり、骨格筋の変形などが起こることがある。もしワンちゃんに卵を与えるなら、調理した卵であれば問題ない(卵アレルギーのワンちゃんには与えないで下さい)が、生の卵白の多食は注意が必要かもしれない。

はぐれ獣医 純情派~異論!ワン論!Objection!~-inokiどうして植物ステロールが入っているとコレステロールが下がるのか?
まずプロレスラー「アントニオ猪木」とお笑い芸人「アントキの猪木」が極めて似ていると同じように、植物ステロールの主成分であるβ-シトステロールはコレステロールと極めて似ている。コレステロールが体内に吸収されるためには“コレステロール専用送迎バス“に乗る必要がある。コレステロールにそっくりな植物ステロールは「そこは俺の席ダーッ!」とむしろ優先的に” コレステロール専用送迎バス“に乗り込むため、コレステロールは体内へはほとんど吸収されず、血液中のコレステロールが低下するというからくりである。

「飼い主と同じようにコレステロールが高いペットがいたら出て来ーいっ!」


<参考文献>
Weststrate JA et al, Plant sterol-enriched margarines and reduction of plasma total- and LDL-cholesterol concentrations in normocholesterolaemic and mildly hypercholesterolaemic subjects. Eur J Clin Nutr. 1998 May;52(5):334-43.
F.A. Kummerov et al. The influence of egg consumption on the serum cholesterol level in human subjects
Am. J. Clin. Nutr. 30, 664-673 (1977)
石崎太一ら.Effects of Long-Term Intake of Mayonnaise Containing Phytosterolester on Blood Cholesterol Concentration in Japanese with Borderline or Mild Cholesterolemia Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition. 2003; 33(3):75-82はぐれ獣医 純情派~異論!ワン論!Objection!~-jhh