プロバイオティクス(Probiotics)という言葉をよく耳にするがどんな意味だろうか。カー用品の販売でもお馴染みのオートバックス(autobacs)は関係なさそうであることまでは理解できる。プロバイオティクスの定義を調べてみると「腸内フローラのバランスを改善することにより、宿主(人や動物など)に有益な作用をもたらす生きた微生物」と記載されている。口から摂取し、生きたまま腸に到達して整腸作用など健康によい働きをしてくれる微生物のことである。小腸の終わりから大腸を中心に腸内には細菌が住み着いている。腸内細菌の集合のこと腸内フローラと呼ぶが「潮風を頬に受け、裸足で駆けてく、振り向けば白い砂 私の足跡」 は昔見ていたアニメ「ふしぎな島のフローネ」で関係ない。
周知の通り腸内細菌には善玉菌と悪玉菌とどっちでもない菌(日和見菌)に分かれる。犬や猫が食べた食物は、口から肛門までの一本の「トンネル」を通過してうんちとして排泄される。基本的に肉食動物の「トンネル」は短く、草食動物のそれは長い。解りやすくするために東京ディズニーランドの人気アトラクション「スプラッシュ・マウンテン」で丸太舟が浮かぶ小川を腸管と無理やりイメージしてみた。
そうすると腸内細菌は湿地帯にいるキャラクターに相当するかもしれない。愛らしいウサギどんが「善玉菌」で、ウサギを狙って罠を仕掛けるキツネどんやクマどんは「悪玉菌」といえるだろう。腸内細菌の数は動物によってほぼ決まっており、オセロゲームのように善玉菌と悪玉菌でその定数を奪い合っている。両者(善玉菌約85%、悪玉菌約15%)のバランスが崩れる、つまりウサギどんの数が減り、キツネどんやクマどんが増えると下痢や便秘あるいは感染症などを引き起こす事がある。
腸内細菌は口から侵略を目論む病原菌やウィルスなどの侵略者に対してボデェーをディフェンスする防衛軍として機能し、腸管粘膜のセキュリティーを強化することが知られている。口から入った侵略者はまず唾液や胃液、胆汁などの攻撃を受ける。しかしそれらの攻撃を回避し腸内に到達した侵略者に対して腸内細菌が迎撃するシステムである。「ウサギどん」がたくさんいれば、免疫力が高まっており迎撃システムが作動するが、「キツネどん」や「クマどん」が多いときにはそうもいかない。
収入と支出のバランスが大切というアイフルの宣伝ではないが、動物が健康な生活を営むためにも腸内細菌のバランスがよく保たれているという事が必要不可欠となる。そこで登場したのが冒頭でも記載したプロバイオティクスという考え方である。つまりスプラッシュ・マウンテン理論でいうとウサギどんを増やすことによって腸内細菌のバランスを保ち健康を維持するという予防医学である。ちなみに抗生物質は英語で「アンチバイオティクス」といい反対の意味となる。やはりオートバックス(autobacs)は全く関係なかった。
では実際どのようにすれば犬猫の腸内で「ウサギどん」を増やすことができるのだろうか?手軽に入手できる乳酸菌といえばやはりヨーグルトだろう。ここで注意したいが、乳酸菌といっても「乳酸菌」という菌がいるわけではない。簡単に説明すると腸内で乳酸を作る細菌を乳酸菌と呼び、まとめて乳酸菌群とも表現される。乳酸菌群が産生する酸で腸内のpH値を弱酸性に保ち防衛力を高めてくれる。一般的にヨーグルトに含まれるラクトバチルス・ブルガリア菌やストロスコッカス・サーフィラス菌などの乳酸菌は「住民票が犬や猫の腸内」である乳酸菌ではない為、先ほど述べたようにセコムばりのセキュリティーシステムに感知され、迎撃システムにより約99%が撃沈されてしまう。例えば「明治ブルガリアヨーグルトLB81」もこれらの2種類の乳酸菌が使われているが牛由来の菌株を使用しているので犬や猫の腸内に住み着くことはない。もっとも牛にブルガリアヨーグルトを与えればプロバイオティクスという観点からは理にかなっているのかもしれないが草食動物なので乾草やヘイキューブのほうがいい。それでは犬猫にヨーグルトを与えても意味がないように感じるが撃沈した乳酸菌の死骸が「ウサギどん」のエサになるだけでなく、悪玉菌を外に排泄する役割があるため間接的に善玉菌が増えることになる。
以上のことから一番ベスト(頭痛が痛いと同じ表現)なのは犬猫由来の乳酸菌を配合したヨーグルトであろう。もしくは市販の低脂肪のプレーンヨーグルトを毎日摂取することにより恩恵が得られるかもしれない。
一日に与える量は適量で構わないと思うが、目安としては猫・小型犬:2 tsp(小さじ2杯)、中型犬:1 Tbsp(大さじ1杯)、大型犬;2Tbsp(大さじ2杯)、超大型犬;3Tbsp(大さじ3杯)で問題ないでしょう。
この記事の自己採点 ★★★★☆
キーワード 乳酸菌 プロバイオティクス ヨーグルト スプラッシュ・マウンテン
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<参考文献>
Lactobacilli and enterococci--potential probiotics for dogs. Folia Microbiol . 2004;49(2):203-7.
Selection of enterococci for potential canine probiotic additives. Vet Microbiol. 2004 May 20;100(1-2):107-14.

