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あなたは、今までに、犬が突然鼻を鳴らして、苦しそうに呼吸している姿を目撃したことがありますか?


には発作性呼吸 “paroxysmal respiration”と呼ばれる呼吸があります。まるで“犬がくしゃみを吸引しようとしている”ように見えるので「逆くしゃみ"reverse sneeze"とも言われる。しかし実際のくしゃみとは関係ないので、「逆くしゃみ」は誤称であるが一般的な表記となっている。


 


逆くしゃみを理解する前にそもそも「ハクション」とは「ハ」で息を吸い、「ク」で息をこらえて肺の空気を圧縮し、「ション」で一気に爆発させる一連の動作だ。欧米ではくしゃみをした人に「Bless you ! (God bless you!)」というがこれは「悪魔」が「悪さ」をしないように「神の御加護があるように!」という願いを込めているのかもしれない。そんな時は笑顔で「Thanks」と出血しない程度に舌を噛んで発音してみよう。ちなみにくしゃみは時速320kmの風速だとよくいうが、これには佐藤琢磨選手もビックリだろう。



話が脱線してしまったが、逆くしゃみ小型犬や短頭犬種で一般的である。経験的に特にプードル、パピヨン、チワワなどで多い気がする。“通常”のくしゃみでは、空気が鼻孔を通して急速に押し出されるが、「逆くしゃみ」は鼻孔から空気を急激かつ連続的に吸い込む発作様の呼吸である。最中は首を前方に伸ばし、目を開いて(人間がくしゃみをする時は必ず目をつぶってしまう)起立した状態で犬の鼻に何かついたかのような大きな鼻息音を奏で鼻から急速に空気を吸い込む。


 


逆くしゃみを言葉で説明するのは非常に難しい。実際人間のくしゃみの表現方法も多岐に渡る。例えばアイドルはくしゃみをしないかもしれないが(←アイドルはおならをしないという理論と同レベル)もし“する”と仮定するなら「チュン」、オッサン的には「ブェックッショーイ、ナアロー」あるいはトリフターズの加藤茶的には「イッキシッ」など様々である。犬の逆くしゃみを強引に表現するならば「まるで豚がフゴフゴ鳴くような音」が最も近いかもしれない。


通常は数秒(長くても1分)の短時間であるがクライアントはペットがまるで窒息するのではないかと不安になることが多い。


1日に何回も起こすこともあるが、逆くしゃみの前後は完全に健康に見え、犬が意識を失ったり、倒れたりすることはない。多くの犬が生涯にわたって症状を繰り返すかもしれない。


 


残念ながら「逆くしゃみ」も明確な原因は解明されていない。アレルギー素因をもっているとこの問題は悪化するといわれているが、実際アレルゲンを特定することは困難であることが多い。その他ウイルス疾患、細菌感染、異物、軟口蓋過長などが影響しているといわれているが多くのケースが特発性(噛み砕いて説明すると“たまたま”)であることが多い。



犬の舌を触ってつばをごくりとのみこませるようにしたり(動物行動学者Sarah Wilson)、咽頭(のど)や胸部をマッサージしたり鼻孔を閉じる(「Textbook of Veterinary Internal Medicine」)ことによって嚥下を刺激すると「逆くしゃみ」をコントロールすることができるというが、実際はそんな余裕がないかもしれない。補助的にトライしてみる価値はあると思う。抗ヒスタミン剤が功を奏す場合もある。


 


基本的に治療対象とならないが、もし心当たりがあり心配であれば動物病院を受診するか、もしくはその症状が止まらなくても、悪化しないことを注意深く観察するといいかもしれない。


 


キーワード 犬 逆くしゃみ 加藤茶


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