エレゴンス | 祈るまえに、恋をして。

祈るまえに、恋をして。

ときどきぽつりと更新。

くだらない話なんだけど。
どうでもいいことを思い出して。

その昔、エレガンスを気取る
にわか仕込みの女子に
「エレゴンス」と名付けていた。

いやどうでもいいんだけどね。
エレガンスにはなれない
でも、それを気取っていたからね。
ついね。そう名付けていたのよ。

私の目線は意地悪なのか。
私の悪趣味の一つ。

ランチタイムもピークすぎた時間
高級住宅街に出向き
遅めのランチなんぞをいただく。

こちらのコーヒーはぁと
いちいちウンチクのある説明を
いただきながらその豆を
楽しまなくてはならないのだ。

ぼーけーとして。

そして、目の前の醜悪な風景に
決して視線を合わせないように
聞き耳を立てるのだ。

誰もが羨む
雑誌から抜け出たような
この地に住まう、マダムたち。
初秋に相応しい深みのある
秋色のシルクニットなど
お召しになり、
バックはバーキンが並ぶ。
その姿は優雅。
エレガンスと言われるだろう。

そしてとても上品な物言いで

あれやこれやと
子供の通う学校の
そのクラスメイトの
子供の悪口を言い
その父兄を非難し
先生を罵倒する。

○○くんのお家ったらねー。
こうなのよー。考えられるぅ?
常識からいったらどうなのかしらねー。

「どうなのかしらね?」だ。

誰もが自爆しないように
なんとなくピンボケのまま
悪口が続くのだ。

「やっぱり、ちょっと違うのよねー」

私たちには生活のグレード“クラス”が
あるのよと、言わんばかりの彼女たち。

悪口を言っている
彼女たちの表情は
実に生き生きとし
とても醜悪で、とても美しい。
人柄なんてものはない。
さっき食べたパスタの油で
光った唇が
ぬらぬらしていて
底意地の悪さが目立っている。
でもなんだか、見ていたくなる。

建前ばかりのあんたより
今のあんたが綺麗よと
鏡を差し出したくなるのだ。

関わり合いたくないが
一つ横の席で、
「あんた誰?」と
一瞥を食らわされながら
聞き耳を立てている私。

でもね、こういう女は
エレガンスって言うんじゃなくて
“エレゴンス”って言うのよ。
やっぱりね。
それは昔からね。