昨日の夜に
自分のブログを読み返し
なんだか、その熱っぽさに
『大丈夫か?わたし』
って気分になって
ほったらかしていたけれど。
彼が帰って来るまで
彼のことを書いてみよう。
なぜか、その当時
付き合い始めた頃、
私は執拗にリキシの過去、
過去付き合った女性について
根ほり葉ほり聞いていた。
なぜ、そんなことをするのか?
といえば、3割の嫉妬心と
7割の好奇心だった。
こと女性関係については
華やかな高校生活もなかった
晩熟であろうリキシが
その後どのように
華開くのか?というのが
私の質として興味があったからだ。
でも、きっかけはそんな理屈の
行き届いた話ではない。
付き合い始めの
相手の癖もなにも知らない時に
新幹線の車中
私が寝ていることをいいことに
リキシは女の子から来たメールに
返信をしていた。
内緒だったはずなのに
リキシの肩にもたれて寝ていた私は
その眠りから目覚め
そうしたら、目の前に彼の携帯があり
画面にはなんやら、
優しげな言葉が並んでいた。
寝たふりをして、
文字が追加されていくのを眺め
「あーこの男も、愛に迷走する男のひとりかね」
などと諦念しておきながら
着火してしまった。
なんてことないメールのやりとりを
きっかけに、この男を探る旅に
私はそのまま出てしまい
まるで寝物語のように
過去の恋人との出会いやあれこれを
聞き入った。
「あなた、それを聞いてどうするの?」
辟易するリキシは何度となくそう言ったが、
私は、子供のように
桃太郎の物語を何度聞いても楽しめるように
そんな話をねだった。
おもしろいんだもの。
時々7割の好奇心が、たまさか3割に転じて
7割の嫉妬心に変わり、ひとりプリプリ
していたこともあるんだけど。
こんなに過去の恋を、
人に話したことはない、とリキシは言い
私もそれほど恋人の過去の恋を
聞いたことはなかった。
私の知らない学校や業界に身を置いていた
リキシの恋の行いは、
やはりその校風や業界風で
あまり私の領域とクロスするようでもなく
ふたりの出会いが不思議に思えたくらい。
彼が、初めて訪れたガールフレンドの
家で聞く、『ドサッ』という物音に驚き
その音源が彼女が飼う“イグアナ”
が落ちた音だった時
その恋が萎えてしまったこと。
その愛の行いの最中に出す
女の声が嫌で別れてしまったこと。
その愛の行いのクライマックスに
「あー“ナニ”のぉ“カタチ”がかわってる」
と彼女の浮気を見破ったことなど。
男の生態とはまことに面白いと
私はあらんかぎりの想像力で脚本化し
演出をし、ひとりほくそえみ
ひとり嫉妬してリキシを困らせた。
たいてい過剰に脚色された私の記憶は
事実とは少し違う形だったから
リキシの困惑は相当だったろう。
「それは僕の記憶ではない」
そう何度も叫ぶ彼を見た。
私は、ひとしきりソレで遊んだら
飽きてしまって、最近あまり
そんな話をしていないんだけど
そんな話を私がしそうになった時の
リキシのかわし方も
数段レベルアップしてしまい
つけいる隙のない男になってしまった。
執拗とはすごいもので
もう彼も懲りたのか
仕事が忙しくなったのか
他の女の子とはメールをしていない。
していないことになっている。
そして私も浮気をしない女になった。