HMV渋谷 | 祈るまえに、恋をして。

祈るまえに、恋をして。

ときどきぽつりと更新。

リキシの部屋にいくと
なんやらベロベロに濡れた
小さなお守りなどが
机の上に丁寧に置いてあって
「どうしたの?」
と聞くと、小銭入れを
洋服のポケットに入れたまま
洗濯してしまったんだとか。

それを見て、
その柔らかくなった牛皮製品を見て
私、言っちゃったのよね。

「昔さ、学生かばんにお湯かけて
つぶしたみたいになってる、プププッ」

ガリ勉だったリキシに
その行為が正確に想像できただろうか。

私が中学校1年生の頃、
世の中にはまだ、ヤンキー風情な
人々が残党していて、その方々の風習として
ぺったんこなカバンを持つというのがあった。

お風呂で、あつーいお湯を牛皮かばんに
かけると、たちまちかばんは柔らかくなり
つぶれてしまうのだ。

「かばんの薄さは知能の薄さ」

などと言って先生たちに怒られていた。
そんな風に悪ぶるヤンキー風情な先輩は
薄幸さをちゃんと背負っていて
かっこよく見えたりしていた。

でも、世間の風向きは変わってしまう。
時代は彼女たちを置き去りにして
時代の主役は“渋谷系”な人々になった。

私たちは、かばんを大きくし、
ひたすら制服を可愛く着ることに専念し、
おしゃれであることに燃えてきた。

レンタルレコード屋がまだあって
おにゃんこが席巻し
渋谷のプライムもSEEDも
枯れてなどいなかった。

渋谷のHMVが閉店と聞いて
渋谷系もまた、遠い遠い昔の話になったのねと
遠い目をしてみたけれど。

やだわ、ヤンキー世代と渋谷系のはざまに生きた私。
カバンのつぶし方を知っている私。おほほ。
やばいわね。
学生かばんでどこいったのかしらね。

時代よね、時代よ。
HMVがなくなるんだものね。
娘はCD買わないもの。
学生カバンも制服もおされなのよね。
アイドルはAKB48だし。

そんな時代よね。