訪れた時のことをよく思い出す。
あれはきっと、付き合い始めたばかりの冬。
当時、私は、月曜日から木曜日を
東京の業務にあて、
金曜日から日曜日にかけて、
大阪で仕事をしていた。
街はずれにあるジャビーなホテルに宿泊し
延々会議と企画書と図面を見ながら
金の計算に追われる日々。
その日も、イベント開催のための会場視察。
何度やっても退屈な作業に辟易して
適当な相槌を繰り返していた。
同じく近隣にいた彼から
からメールが入った。
「夕食、和久傳に行こうか?」
高台寺和久傳。
*画像HPより引用
まさか行けるなんて?
心が躍ったのをよく覚えている。
どうやってスタッフを、クライアントをまいたっけ?
きっちりスーツを着こなした彼と
現場仕事用のチノパンにジャケット
という軽装な私。
付き合い始めの、ちぐはぐな私たち。
高級料亭に来た若き経営者と
その部下、もしくは取引業者風情に
見えたに違いない。
あまりの服装の不具合に
私もその方が気が楽だった。
帰りはハイヤーを断り、
酔いさましに、ぶらり歩いて帰ったっけ。
何時までも,女将をはじめ仲居のみなさんが
お見送りに立ってくださる。
坂道にそこだけがぼんやりと光に浮かんで
1枚の画のようで感激したな。
思い返せばあの京都で、あなたは
しがらみの多いサークルから私を引きあげ、
新しい場所に連れて行き、
そして私たちは手に手をとった。
あなたとはじめて寄り添って
手をつないだ帰り道。
私たちの時間のはじまり。
今回は俵屋で食事を取らず
「瓢亭」や「緒方」の食事を楽しんだ。
鱧、鮎づくし。夏の京都は、だから外せない。
