人の顔の筋肉って、複雑です。

小さな筋肉が、実に複雑に配置されています。

そして手足の筋肉と違い、骨よりもむしろ、筋肉や皮膚を起始・停止部位としています。


長らく中枢神経麻痺のリハビリばかり行ってきた私は、顔面麻痺といえば、

とりあえず筋の伸張性、筋力を調べ、運動時の正確性やスピードなどを調べて、

たとえば筋力が落ちてるならレベルに合わせた抵抗運動、構音練習…と、鉄板のプロトコールに沿ったリハビリをしていました。


しかしある日、頭部外傷(脳挫傷&頭蓋骨骨折)で顔面神経麻痺になってしまった若い患者さんが来て。

私の頭はハテナでいっぱいになってしまいました。


外傷で顔面神経麻痺?(Ⅶ以外に麻痺はない)

なんで??

脳実質に麻痺を引き起こしそうな部位の挫傷はナシ。

医者に聞いても、答えは返ってこない。


必死に顔面神経の走行を調べ、神経学的所見をとってみる。


ん?頭蓋骨骨折のライン、顔面神経の走行と重なってる??

包帯が厚くてよくわかんないけど、末梢性麻痺の所見陽性?


患者さんを目の前にし、頭を覆っていた包帯をはずし、聴力をチェック。

耳こすり検査で、「ぜんぜん聞こえないよ」という反応をする。

うーん、やはり聞こえも悪くなってる。

さっそく医師に報告するも、興味ナシのお返事。耳鼻科へコンサルトは期待できなさそうだったので、大学へ来てから初めて、患者さんに純音聴力検査をしてみる。中等度難聴があった。


…末梢性顔面神経麻痺、片側の聴神経も傷ついてる可能性あり、と。


そこまでは良いものの、長らく顔面麻痺といえば上記プロトコールでやってきた私。

リハビリ、はじめは中枢神経麻痺の内容と同じにやってしまいました。


けど、よくよく調べてみると、末梢性顔面麻痺に筋トレは禁忌なんですね…(神経損傷のレベルによるらしいけど、ウチにはその機械も無かった)。

論文を取り寄せて調べてみると、初期に無理な随意運動の強制することは、慢性期にひょっとこ顔(筋の過緊張を引き起こし、顔面の左右非対象が強調されてしまう)を作り上げてしまうという報告ばかり。

とにかく三叉神経からの刺激入力をがんばりなさい、という報告が圧倒的多数だったので、 

気づいてからはストレッチの自己練習指導、歯磨きの指導などなど、リハを90度くらい変えるはめになりました。

勉強不足。。。本気で反省。。。。。


その患者さんは結局、耳鼻科で神経をつなげるオペをされました;;;


勉強になりました。