ここまで違うプロと素人。介護施設紹介の違い【マッチングミスが起こる訳】 | 看護相談員のブログ

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 介護施設紹介会社を使った施設探し

 

 高齢者住宅、介護施設は2022年のデータで全国で約56700施設、居室数約230万室になっています。特に住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は急速に数を増やしていて、コロナ前の2019年から2022年までの3年間で58000室増えています。よく勘違いされるのが、老人ホームはサービスが一律であるという誤解です。実際に介護施設や高齢者住宅は運営する法人によって大きくサービスが異なります。例えば病院への通院対応に関してだけ言っても、「すべて家族対応」「タクシーの手配のみ」「オプション料金で職員の付き添い対応あり」「月1回まで無料サービス」「何度でも無料対応」と、施設それぞれで対応が違います。もし身寄りのいない方で、通院サービス一切付いていない施設へ入居すると、通院が困難になり、訪問診療を使った簡単な内服治療のみの選択肢しかなくなる場合があります。施設入居時にはサービス内容を説明されている事が多いですが、入居時点では自身で通院できていたため気にしておらず、通院できなくなって初めて困るケースもあります。

 介護施設紹介会社の利用は、単に空室を探す目的であれば非常に便利ですが、施設入居時だけでなく、施設入居後のリスクに関してもしっかりと説明やフォローをしてくれる会社かどうかを見極める必要があります。

 

 施設選びは実は難しい

 

 

 介護施設や高齢者住宅への入居は、立地や利用料金、部屋の間取りや施設設備だけではなく、介護サービスの種類、付帯サービス、人員体制、受け入れ実績など様々な物を考慮する必要があります。年齢や介護度が同じでも、持病の種類や経過、家族構成、経済的状況によって選択する施設が変わってきます。介護施設へ入居したことのない方では、入居後にどんな問題が起こるか予測は難しいと思います。ですから、入居前に医療・介護の専門職の方と相談し、現在の状態だけでなく、将来的な事を予測しながら計画を立てる必要があります。

 昨今施設紹介会社は1000社を越え、プロも素人も混在している状態です。中には、入居者に合う施設の紹介ではなく、評判の悪い施設の空室を強引に勧める悪質な紹介を行う会社も多く存在します。まずは紹介会社選びが重要になってきます。

 

 

 施設紹介会社を使わない入居

 

 

 怪しい施設紹介会社を使うぐらいなら、自身で見つければ良いのでは?と思いがちになりますが、それも実は危険があります。介護施設や高齢者住宅も入居してはいけないところが意外と多く存在します。虐待や不正行為を放置する施設に、必要な人員を揃えていない施設、空室を埋めるために対応できない方でも一旦入居させ、出来なければ匙を投げ退去を勧告する施設、搾取を目的とした施設、一見良心的に見えても介護技術が素人レベルの施設など避けるべき施設があります。現場で介護を行う方は、高齢者介護に真剣に取り組む良心的な方が多いですが、利益優先の経営者の元では良心は役に立ちません。

 介護施設を紹介する仕事をしている私は、そういった問題のある施設を避けることが一番重要ではないかと思います。

 こういった問題のある施設は介護施設について詳しくない方が見分けるのは非常に困難です。施設が新しければ明るくキレイな良い施設に見えてしまいます。実際のケアの質に関しては、過去の事件や事故、その時の対応、受け入れ実績等の多くの情報が必要となってきます。

 

 

 施設選びは何を優先すべきか

 

 

 通常、月々の支払える料金や住みたいエリア、年齢や介護度をお聞きし、この施設が良いです。と簡単に決めるのが空室探しとの施設紹介ですが、それでは不十分です。一番優先するのはその方の状態。病状や身体状況です。相談者の多くは、このエリアでと家族様の家の近く、又は土地勘のある自宅周辺を選びます。それでも間違いではありませんが、マンションやアパートを探しているのであればそれでも良いかもしれません。ですが、探しているのは介護施設です。住所優先で探す方は、介護施設探しを甘く見ている方です。何度も言っているように、介護施設や高齢者住宅は、選ぶ施設によって機能が大きく変わります。家の近くに求めている条件の施設があれば最高ですが、実はそうではないことが多いです。優先順位はその方によって違いがあるので、絶対ではないですが、不便でも自宅近くが良いという方はそれでも仕方がありません。ですが、毎日暮らす生活の質を左右されるのが施設で、かつ寿命に直結する可能性もある終の棲家です。選ぶ際は優先順位を間違わないようにしましょう。

 

 

 私が施設を提案する時の優先順位

 

 

 まずは料金。施設入居にかかる費用を十分に用意できていれば、選択肢が増え、入居される方の望む生活に近い施設を選ぶことができます。ですが、預金額が十分でなかったり、年金額がそれほど高くない場合は、その資金額に応じた計画を立てる必要があります。それは、単に年金額に合わせてギリギリの額を設定すると後々苦しくなって後悔します。介護度が上がると、介護保険の自己負担額が上がります。また、オムツを使用したり(人によっては月数万円になる方もいます)、入院したりすることも予想されます。入院の際は、入院中の医療費と家賃や管理費の両方がかかります。長期化すればその負担は結構な金額となります。その分も考慮した資金計画が必要です。あと、単に安ければ良いという訳でもありません。例えば通院同行サービスの付いている施設では、病院受診に付き添う家族様の負担や急な対応にも安心できます。通院サービスが有料の場合、月額の家賃が少し安くても、結果的に高上りになってしまう場合もあるため、どちらが良いか、今だけではなく将来的な事も考えて決める必要があります。かかる病院も増える可能性があります。胃腸の病気では消化器科。心臓関係では循環器科。骨折では整形外科。脳梗塞や眩暈では脳外科、眼では眼科と訪問診療で対応できない場合は受診が必要です。

 介護度や身体状況。一番大事なのは、単に受け入れしてもらえるかどうかよりも、入居される方に合った介護サービスを提供されるかどうかです。特に住宅型有料老人ホームでは複数の介護サービスの中から、どれを採用している住宅なのかを確認する必要があります。入居する方の病状や身体状況により、より最適な介護サービスが提供されている住宅を選ぶ必要があります。

 例えば、トイレへ行くときの移動に介助が必要であったり、ズボンの上げ下げに介助が必要な場合は、訪問介護サービスを採用している住宅は不向きです。訪問介護サービスはあらかじめ1か月の訪問スケジュールを決めてケアを行います。月曜、水曜、金曜の9:00~9:30に訪問や、毎日10:00と15:00に訪問というように訪問時間が決められています。ですので、トイレに行きたくなったなど随時対応するのは困難です。訪問職員とは別に住宅職員と呼ばれる随時対応(ナースコール対応)をしてくれる職員がい常駐してない場合だと生活するのが困難です。今は、そのような状態ではなくても、将来的にそうなる場合がありますので、その場合も考えて介護サービスが適切かを考える必要があります。

 立地、住所。家族様が受診の付き添いや、頻度多く面会したいという場合には家族様の家の近くを選択します。家族様の家の近くを最優先して、合わない施設への入居は、本末転倒です。生活するのは家族様ではなく、入居される本人なのですから。ですが、片道1時間もかかる場所だと、面会自体が困難になる可能性がありますから、どのくらいの距離なのか、実際の時間はどのくらいかかるのかは知っておく必要があります。また、立地に関しては、外出の頻度や、通いたい病院が近くにあるのかという視点でも相談しましょう。

 その他にも部屋の間取り、浴室などの設備、娯楽室、売店の有無や食品や消耗品を購入する仕組み、差し入れを買えるコンビニやスーパー、ドラックストアが近いのかなども考慮しなければいけません。

 

 

 やっぱり人が重要

 

 

 どの介護サービスが採用されているのかということも非常に大切ですが、職員の方が温かいことや、運営法人がどれだけ入居者に寄り添えるかということも実は非常に重要です。見学の際には施設を管理する方や、運営法人がどのような想いで介護環境を作っているのかを聞けると良いかと思います。話していると、その人の人柄というものは出るものです。見学した際に感じた直感も実は大事だったりします。

 私は第一印象は結構大事かなと思います。初めてお会いした際に好印象だった方は、それからも大抵は相性が良くトラブルが少ないです。ですが、初対面の時に悪い印象だと、その後もトラブルが続く事が多いです。

 見学の際は、その点も振り返って施設選択しても良いのではないかと思います。

 

 皆様が、良い施設と出会えますように。