ポップコーンのギネスビールは、本当は少し冷やしすぎだと思う。

本来はギネスはもうちょっとぬるい温度で出すべきであって、そうするとあの細かい泡のクリーミーさがさらに引き出されるし、ローストの香りが死ぬこともない。
でも猫が洞さんに言わせれば、ポップコーンのそれは「名古屋で一番旨い」級だそうで、たぶんそれも正しい意見だと思う。
確かに日本人のビール観で行くなら、ビールとは「キンキンに冷やした」ものであるべきであり、実際自分たちの舌はそういう好みになっているのだろうから。

そしてビールに限らず、こだわりや評価についてうんちくをぶつけ合うことは男的な楽しみとしては勿論ありだが、最後の結論は、結局は好みの問題だし、それで十分だと思っているから、とにかく全部ひっくるめて、一番楽しめる方法を取るべきだ。


6.11、詩のあるからだ、八事ポップコーン。
今日は東京から、先月ケツフェストを成功させてポエトリーフェスの新しい形を示した三木悠莉ちゃんが来ていて、「外せない」日だった。いつもと違う何か、に、いつもより、さらに期待できる日だ。
毎月、仕事を早く切り上げて駆けつける自分だが、今日は職場の誰よりも早く会社を出てしまう。その甲斐あってか、良いオープンマイクだった。

けいこさんは相変わらず良識があって安心。寺山が好きなので、けいすけさんの朗読もなかなか気にいっており、アングラな役者臭い雰囲気も好きで、青流星ゆうこさんのポエムはちゃんと願いを唄っていた。
瀬戸口くんがカントリーロードの歌詞を何度も確認しながら歌って、最後は小山田荘平みたいに吠えるようにしたのは特に好みに思え、ういちゃんはライブパフォーマーとしての資質を今日はまたいつもと違う意味で特に発揮していた。えとうさんはいつもより景色が近く見えて、ひだなつさんはバースデーを無職で迎え、レモンくんと若原光彦の目に見えない絆らしいものを羨ましくも思った。

そしてトリを務めたみきゆーりは朗読の途中で咳をしたのだけど、それを普通なら惜しいなとか残念だなとか思うはずなのが、嫌だなと咳を憎む気持ちが生まれてそれを自分でも不思議に思った。それは、みきゆーりの今日の詩が良かったからなんだろう。アルチュール・ランボーみたいな夏の水辺のイメージといつものピー。そんなに豊潤にパンチラインはなかなか繰り出せないぜ、と感心しながらうっとり聞いた。夜空にスピカの光を見上げるように。

なんでもかんでも否定したくなるほど自分が嫌だったり逆に特別に思えないとやっていられない日もあるけれど、ぬるいビールもキンキンのビールも、ビールはビールで、ぼくはどっちも認めて敬意を払いたい。

今日も名古屋のみんな+みきゆーりの朗読が好きだった。
それで良い、雨が降って星の見えない気持ちの日もたくさんあるけれど、これは幸せなことだと、思った。