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Articial Square

いろいろと雑談を書いています。

ある日のこと。

 

ぺいん兎「……」

てあとる「……」

びぶり夫「……」

むじか「お帰りなさい。コンサート、いかがでしたか?」

 

ぺいん兎「コンサート。あれってコンサートなのかね。むじか、コンサートの定義って何?」

むじか「不特定多数かつ、ある程度の人数がいる前、きちんと音楽として弾く時は全般的にコンサートといって良いと思いますが。さらに、ソリストが暗譜で弾いている時は『リサイタル』になりますね」

てあとる「じゃあ、あれはやっぱりコンサート、なのかなぁ……たぶん」

ぺいん兎「あんなレベルでコンサートを名乗っていいのか?」

びぶり夫「音楽主体で進行されてたんだから、一応定義的にはコンサートと言っていいんだろうな」

ぺいん兎「いいや、俺は認めないね」

むじか「なにかあったんですか?」

びぶり夫「……我々が予想していたコンサートと少し違っていたんで、ちょっと言い合いになったんだよ」

むじか「はぁ。プログラムを拝見してもいいですか? どんな感じだったんですか?」

 

びぶり夫「なんでも、彼女が伴奏に行っている合唱団の人が企画したらしい」

むじか「へぇ、いいなぁ。一から十まで手づくりって感じだったんですね。プログラミングも面白いし。行けば良かった」

ぺいん兎「ピアノ小さくなかった?」

てあとる「確かに。もうちょっと大きいイメージあったんだけど」

むじか「ピアノにもいろいろなサイズがありますからね。でも、大きいピアノを無理に弾くよりは、自分で存分に鳴らせるサイズのピアノを選んだ方がいいと思います」

 

ぺいん兎「あと、ミスタッチが多くなかったか? ド忘れしたような部分もあったし」

てあとる「それは仕方ないよ。役者だってセリフを間違えたり噛んだりするし。酷い時は台本ごっそり飛ばしたりもするんだから、それに比べたらマシだと思う」

びぶり夫「名手と言われるホロヴィッツもミスタッチは多かったそうだし、ノーミス=良い、というわけではないからな。ノーミスが良いのなら、機械にやらせておけばいい」

ぺいん兎「いや、それでも、俺ラ・カンパネラ楽しみにしてたんだぞ。あんなにボロボロになるくらいなら選ぶなと言いたい」

てあとる「え、僕すげぇなと思いながら聴いてたんだけど」

むじか「え、これほんとに弾いたんですか? すごいな。なんか出来はともかく、あの曲選ぶってところを尊敬します。手が大きくないとかなり難しいし……」

びぶり夫「それは僕も聞いたことがあるから、ああなるだろうとは予想していた。思ったよりはうまくまとまっていたな。特に、最後のクライマックスはなかなか、彼女らしくて良かったと思う。ちなみに、主催者のリクエストだったらしい」

むじか「あー……。人によったら断れないやつですね……、私は断りますけど」

ぺいん兎「そうなんだよな。人前に出すんだったらもうちょっとこう……それが出来ないなら断るべきだよ。てあとるだって、下手な役者を観たら頭にくるだろう」

てあとる「うーん。芝居の場合、装置とか照明が良かったら役者まずくても結構許せるからなぁ」

びぶり夫「そうだな。芝居と違って、装置に一切頼らずに一人で勝負したというところは、やはりリスペクトしなければならないと思う」

てあとる「それに、たしかにあれで3,000円とか言われたら『は?』て感じだけど、1,000円だし。安いもんだと思うよ」

ぺいん兎「うーむ」

 

ぺいん兎「まぁ、みんなで歌う会を途中に入れたのは面白い趣向だった。それは認める」

てあとる「あれは正直、ちょっとかわいそうな気がしたけど」

ぺいん兎「なぜ?」

てあとる「いや、どうせやるならリードボーカルを一人入れて、ピアノに専念してもらった方が良かったと思うんだよ。『浜辺の歌』とか結構難しいしさ」

ぺいん兎「お前ら見事に入るタイミング間違えてたな」

てあとる「君は君で、よくあんな好き勝手なテンポで歌えるもんだと感心したよ」

ぺいん兎「お前らだって音痴だっただろ」

てあとる「『ふるさと』すらまともに歌えなかった君に言われたくないね」

びぶり夫「はい、その辺で。まぁ、歌う会もあって、後半はヴァイオリンとのDuoだったんだよ。なかなか面白かった」

むじか「結構充実した、立派なコンサートだったんじゃないですか。手作りで、聞きたいものをいっぱい聴いて、それで十分って感じがしますけど」

 

ぺいん兎「いや、それが」

びぶり夫「ちょっと根本的な疑問が残った」

てあとる「僕もそこだけ引っかかったんだけどさ、ああいうコンサートで司会者がいるの普通なの?」

むじか「司会者ですか? レクチャーコンサートではあり得ますけど、ピアノコンサートでは珍しい気がしますね」

びぶり夫「司会者が出てきて事前の注意をいろいろして、実行委員長とかいうのが始まる前に、代表とかいうのが終わった後に挨拶をしてね。あまり見ない形式だと思ったんだが、どうなんだろう」

むじか「うーん、弾く側としてはそれ、ちょっとイヤかもしれません。司会者さんたちのコメントで先入観がもし入って自然に聴いてもらえなくなったら寂しいですし。まあでも、やめてくれとも言えないので、聞かないようにして集中するかな」

てあとる「芝居は普通は事前の注意はアナウンスで済ませるよ。もしくは前説、っていって、劇団の関係者がさりげなく挨拶する。でも、大体はそれもお芝居として見られるように丁寧に仕上げるね。前説をきっかけに、お客さんがその人に興味を持ってくれるってこともあるからね」

ぺいん兎「俺もそれが普通だと思っていたから、正直ちょっと司会者でげんなりしたんだよ」

びぶり夫「まして代表のあいさつなんぞは、普通はパンフレットに書いてあるものだと思ったから、そうアンケートに書いておいた。こちらは音楽を聴きに行っているわけだから、はっきりいって挨拶なんぞは要らない」

むじか「ふむ。お話を伺った感じだとアットホームというか、身内の集まりだったみたいですから、そういう挨拶も最初と最後に入れた方が親切、と思ったのかもしれませんね」

ぺいん兎「しかし、こっちは音楽を聴きに行っているわけだ、舞台の上には弾く人しか要らないと俺は思うね。ああいう挨拶を入れるのは、代表ヅラをしたい田舎者のやることだ。お祭りとか盆踊りでだったらまだ納得は行く。けど、コンサートにはいらない。俺はがっかりしたね。所詮、田舎者だよ。くだらない」
びぶり夫「やめろ」

ぺいん兎「事実じゃないか」

びぶり夫「言い過ぎだ」

むじか「まあ、聞く人みんなが満足できるコンサート、なんてそうそうないですから。正解なんてのも、本当はないですしね」

びぶり夫「確かに、『コンサートとはこういうもの』とこだわり過ぎていたかもしれないな」

てあとる「あくまでも舞台芸術の1つのスタイルに過ぎない、と捉えたらいいんだろうね。劇団の数だけお芝居の上演スタイルがあるように、演奏者の数だけコンサートがある、ということか」

ぺいん兎「納得いかないな」

てあとる「美術畑はもっとすごいじゃないか、なんでキャンパスにただ塗り絵しただけのようなやつが高く売れるんだよ。意味のわかんない展覧会も時々あるし」

ぺいん兎「あれは作家の個性だよ。そこを認めなくして芸術はない」

てあとる「コンサートとかも同じだって言ってるんだよ」

ぺいん兎「いいや、認めないね」

てあとる「この石頭!」

 

むじか「……お茶にしましょうか」

びぶり夫「そうだな。あいつらはほっとこう」