9月24日は吉祥寺にて!ステキなものがたりをお届けします☆
9/4新宿freakにご来場くださった皆様、ありがとうございました!
愛$ラブチャンネル 企画、満員御礼のなか、VERONICA VERONICOはど真ん中の3番目に登場、
劇団-テラ壊シ- とのコラボレーションを行い、ストーリー性を前面に押し出したライブをお送りしました!
普段はBa/Voの山口があえてBaをもたず、唄に全力を傾け、またElGt寺本がギター一本でBaパートも紡ぎだすという、バンドのパフォーマンス、サウンドメイク両面において新しい試みをおこなったライブでした!
次回、9/24に吉祥寺Silver Elephantにて開催されるVERONICA企画「第七極点」では、さらに完成された新しいVERONICA VERONICOをお見せしますので、ぜひお楽しみに!!!
新宿freakではご来場の皆様に、当日ライブで演奏されたおとぎ話をパンフレットにしてお届けしました。
転換の間などに読んでいただき、より一層VERONICAの奏でる物語を堪能していただこうという趣向です☆
24日にももちろんお配りしますので、そちらもご期待下さい!!
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9/4に演奏された、悲しくも美しい、少し変わった恋のお話。特別に掲載いたします。
願い事が1つ叶うとすれば・・あなたは何を望みますか・・・
今宵VERONICA VERONICOが奏でるのは、悲しくも美しい、少し変わった恋のお話。
ある町の広場にぽつんと石像がたっていました。とても綺麗な女性をかたどった像。
ちょっと変わった造りののその像は、扉のように開き、中にはびっしりと釘が打ち付けられている、そんな変な造りのもの。
その女性像に心を奪われた男がいました。
毎晩の仕事の帰り道、広場の噴水から彼女を眺め、語りかけ、かなわぬと知りながらも、いかにこの想いが身を切るようかを告白するのでした。
とある月の夜、いつものように彼女に近づくと、一瞬、月の光が雲間から差込み、彼女を照らしました。すると物言わぬ石像の彼女が美しい人間の姿になって男に語りかけてきたのです。
「今夜は月の光のおかげで貴女とおしゃべりできます。私を愛してくれてありがとう。」
彼女は彼を抱きとめようと、その両腕を広げました。
彼は、やっと想いが通じた喜びに打ち震え、彼女の胸に飛び込め、きつくきつく抱きしめます。
彼女もきつくきつく抱きしめます。
彼の体には、次々と釘が突き刺さり、見る間に血に塗れていきます。
はたからみれば、奇怪に美しい、扉開きの石像に挟み込まれ、体中を刺し貫かれ、それでも
安らかな微笑みを浮かべる男。もうその微笑みは固まったままでした。
ですが本人は、愛した女性の腕に抱かれ、幸せであるのです。そして物言わぬ石像の美女もまた、
愛する男を抱きしめ、幸せそうに見えるのでした。
石像である美しい女は、やっと愛してくれた男を抱きしめられたのに、それがその人を永遠に
失うことだと認めることができませんでした。
微笑みながら閉じられたその目が、また開いて私を見つめてくれるだろうと、しばらく眺めていました。しかし、もう二度と開くことはないと気づくと、今まで眺めてきた人間同士の恋人たちを憎み、ねたみ、絶望してしまいました。
そしてこの世界では、愛する人間と結ばれることがないと、悲しい気持ちになりました。
石像の女はずっと昔に見た、今でも思い出に残る、一面に向日葵の咲く原っぱ、そこにならきっと幸せがあるんじゃないかと思いました。もう夢で見たのか、本当にあった景色なのか、定かではないけれど。
ふと名前を呼ばれたような気がして、エムリオ、と呼びかけられた気がして
「ああ、私はそんな名前だったかもしれない」とぼんやりと石像の女は思いました。エムリオ、エムリオと聞こえるほうに意識を向けると、一本の細い上り坂が見えます。気がつくと、石像の体は人間の体になっていて、エムリオは一歩一歩坂道を登っていきました。
上りきった先、崖の向こうに広がる景色は、一面の向日葵畑。
「ああ、あの向日葵畑はこんなところにあった」
エムリオはそのまま、はるか下方に見える向日葵畑に向かって飛びました。
はたから見ると、一体の石像が崖の上から落下した。そんな風にしか見えませんでしたが、
エムリオは落ちてゆく中で、これで理想の世界に行けると、笑顔だったのでした。
きっと向日葵畑で、愛してくれたあの人にも会えると。
ある町の広場に、大きな石が砕けるようなそんな音が聞こえた夜のお話。