オハナシ。~イーギネファー 22。~ | なるるのゆめ。

オハナシ。~イーギネファー 22。~

バーニィ達
イーギネファーの先遣と
ガオンツェル達
新生魔族騎士団は
魔族の転移魔術によって
ノンナニュードの東側へと
やって来ました。

その場所は
広めの川に囲まれた
ノンナニュードの街へと入る為の
入口の一つでもある
大きめの橋の前です。

転移魔術による
大多数での移動には
そこがノンナニュードに最も近く
大多数が集まるには
広さも十分でした。

さらに
ザナが思念伝達魔術により
地下施設で待機している
もう一人の転移魔術が可能な組織員に
状況を伝えた所
大多数移動の転移魔術を使用して
地下施設で待機していた組織員が
この場に集まりました。

その中には
カーラやミアも居り
ミアは多数のネウダル達も
連れてきています。

イーギネファーは
追加の戦闘班に加えて
治癒班もやって来ていて
戦いの準備は出来ていました。

ビリーはこれまで通り
組織を陰ながら支える方針で
一部の組織員と共に
地下施設に残っております。

そしてバーニィ達や
ガオンツェル達に
ツォウトレィクより
ノンナニュードの現状を
知らされました。

【ツォウトレィク】
「ネウリクセン達は最初、南と西の入口から侵攻して来た。
 けどネフトキュリム様が現れた後は対話の為に
 ネウリクセンと敵の主戦力は、南西にある邸宅に集まっていた。」
ツォウトレィクは
侵攻再開前の状況からを
簡単に説明してくれます。

さらに続けて。

【ツォウトレィク】
「南と西の入口には多くの敵戦力が残されたままで
 その状況からさっき、南と西の敵戦力が侵攻を再開して
 南の敵戦力は東方面へと広がって行った。
 ネウリクセンは西の敵戦力と合流する様に
 北方面へと侵攻を始めて
 そっちは僕の姉さん達が対応している。
 僕は状況を伝え終えたら、すぐにそっちに向かう。
 ガオンツェル達や…あんた達には
 南側の敵戦力が北へ進んで行く事を考えて
 こっちの入口から西方面へ突っ切る様に進行して欲しい。
 一般民は避難しているから
 南側に居るこっちの戦力は戦士ばかりだけど
 余裕があれば救援にも向かってくれると助かる。
 そう言う状況だから、大人数での転移先はここになった。
 南と西は敵が居て転移出来ないし北じゃ遠い。
 ここからだと会敵も早い筈だから覚悟してくれ。
 とりあえず伝える事は伝えられた…後はそっちに任せるよ。」
ツォウトレィクは
そう説明を終えると
数名の仲間と
仲間の転移魔術によって
その場から消えてしまいました。

バーニィとガオンツェルは
互いに顔を見合わせて
軽く頷きます。

そして
バーニィは
ガオンツェルと並んで
皆の先頭に立ち
組織員や魔族達に
声をかけました。

【バーニィ】
「これから俺達はノンナニュードの民を救う為
 ネウリクセン達との戦いを開始する。
 戦いの場に綺麗事は無い…犠牲が出る事もある。
 全てを救う事は出来ないかも知れない。
 だが可能な限り多くを救おう。
 強力だと考えられる敵戦力には
 俺達、イーギネファーの組織員が対応する。
 新生魔族騎士団の方々には
 ノンナニュードの人々の救援を優先して欲しい。
 獄族の魔力を宿した者達は、俺達が必ず何とかする…!」
バーニィはそう言うと
戦鎚系の武器を右手に持ち
勢い良く右腕を挙げました。

そして。

【バーニィ】
「行こう!
 真にヒトと魔族が手を取り合う未来へ向けて!」
バーニィは
力強くそう叫ぶと
皆の先頭に出て
ノンナニュードの街中へと続く
大きめの橋を進んで行きます。

イーギネファーの組織員は
バーニィに対して
各々反応を見せて
バーニィに続く様に
進み始めました。

【ガオンツェル】
「俺達も続くぞ!新たなるあるべき未来の為に!」
ガオンツェルは
魔族の戦士達にそう叫びながら
イーギネファーに続く様に
歩み始めます。

魔族の戦士達も
バーニィやガオンツェルに
呼応する様に各々叫び
歩み始めました。

そうして
イーギネファーと
新生魔族騎士団は
ノンナニュードの街へと
入って行きます。

その道中の事。

ネルとアビィ
そして
ミアとアリィは
固まって行動しており
軽く会話をしていました。

【アリィ】
「ネフトキュリム様に会えるかも知れないんだよね…?
 会えたらどうしよう…?会えたら素敵な日になりそう…」
アリィは
全く緊張感が見られず
そんな事を言って
浮足立っております。

【ミア】
「…や、やっぱりすごいね…アリィ…
 戦士を目指してただけあって、物怖じしてないね…」
ミアはアリィの様子を見て
苦笑いをしながら
そう言いました。

【アリィ】
「戦いは心配だけど
 ネフトキュリム様に会える事考えたら、わくわくしちゃう。」
アリィは
笑顔でそう答えます。

【ネル】
「ミアは無理しないで良いからね?
 ネウダルに守って貰いながら指示出せば良いから。」
ネルは微笑んで
ミアにそう言いました。

【アビィ】
「ネル!ネル!」
アビィは
ネルの臍部辺りに
固定されている状態で
ミアを勇気付ける様に
そう言葉を発します。

【ミア】
「…うん…あの時と同じ様に…皆に頑張ってもらう…」
ミアは
苦笑いをしながら
そう答えつつ
後ろについて来ている
多数のネウダル達を見ました。

さらに。

【ミア】
「…それにいざとなったらシンディも…」
ミアはそう言いながら
左手首を右手で触ります。

ミアは左手首に
腕輪の様な道具を付けており
何やら大切そうに
それを触っていました。

【ネル】
「…うん…だから安心して。
 シンディを呼ぶのはミアに任せるよ。
 危険の判断はミアの基準で良いからね?」
ネルは
微笑みながら
ミアにそう言います。

【アリィ】
「シンディって言う子、私も見てみたいなぁ…楽しみ。」
アリィは
ミアの様子を見て
そう言いました。

【ミア】
「…呼ぶ時は危険な時だけどね…」
ミアは
少し困惑しつつ
苦笑いをしてそう答えます。

そうして
ネル達がそんな会話をしている
その時でした。

ネルは
何かずっと引っかかる事があり
先頭に居るバーニィの方を
ちらちらと見ております。

そして。

【ネル】
「…ちょっと用事済ませて来る。」
ネルは
ミアとアリィにそう告げると
先頭の方へと
駆け寄って行きました。

ミアとアリィは
不思議そうにしつつ
ネルを見送ります。

バーニィは
カーラやドロフェルアと
軽く会話しながら
先頭を歩いておりました。

【カーラ】
「…強力な獄族の魔力…結構居るね…
 特に強力なのは四、五人位…散らばってるのは救いかな…」
カーラは
街の方を見て
警戒しながら
そう言います。

【ドロフェルア】
「本当に大丈夫かな?
 私の固有魔術で一人は止められると良いけど…」
ドロフェルアは
少し不安そうにして
そう言いました。

【バーニィ】
「やって見せるさ…それにこっちも五人居る。」
バーニィは
笑みを浮かべて
そう答えます。

【ドロフェルア】
「…私は戦力外かも知れないな…」
ドロフェルアは
苦笑いをして
そう言いました。

【カーラ】
「新生魔族騎士団にも頼もしい人達は居るよ。皆を信じましょ。」
カーラは
笑みを浮かべて
そう言います。

バーニィは
笑みを浮かべて
頷いて答えました。

するとそこへ
ネルが駆け寄って近付いて来て
バーニィの横に並んで歩きます。

横に並んでと言いつつも
人一人分程の距離感がありました。

バーニィが
ネルの事を気にします。

バーニィを挟んで
ネルとは逆に居る
カーラとドロフェルアも
ネルの事を気にして
少し心配していました。

【カーラ】
「…ネル?どうしたの?」
カーラは
少し心配して
そう聞きます。

しかしネルは
黙っていました。

そして
少しの間があった後
ネルは口を開きます。

【ネル】
「…本当に知らなったんだ。
 あの道具の使い道…ごめんなさい。」
ネルは
バーニィの方は見ずに
申し訳なさそうにして
静かにそう言いました。

カーラとドロフェルアは
ネルの様子の理由が分かり
少し安心します。

そして。

【バーニィ】
「もう過ぎた事…どうでも良い事だ。
 さっき言った通り、君は関係ない。君の所為じゃない。」
バーニィは
ネルに笑顔を見せて
そう答えました。

ネルは
バーニィの返事に
目を泳がせます。

そして
一息吐くと
さらに続けました。

【ネル】
「…あと、組織の事…
 存続を決めてくれてありがとう。
 キース達が作り始めた組織だから…それに…
 行く場所が無くなった僕に…キースがくれた居場所なんだ。」
ネルは
少し哀し気に
そんな事を言います。

カーラとドロフェルアは
微笑んでネルの事を見ていました。

【アビィ】
「ネルー…」
ネルの臍部辺りに
固定されたアビィは
ネルの心情を察する様に
そう言葉を発します。

【バーニィ】
「…そっか…でも、感謝なら俺の方こそだよ。
 君とネウダルには多くを救える力がある。
 君が居るから…ネウダル達が居るから
 俺の手の届かない事を、君に任せられる。
 キースが遺したものを守る為…
 キースが夢見た未来を掴む為、精一杯戦い抜こう。」
バーニィは
笑みを浮かべて
そう言いながら
ネルに握手を求めました。

ネルは
握手を求められた事を
横目で感じ取りつつ
ゆっくりとバーニィの方へ向き
段々と笑みを浮かべて行きます。

そして
右腕の籠手を宙に浮かせて
バーニィの差し出した右手と
右腕の籠手で握手を交わすと。

【ネル】
「…うん。」
ネルは一言
力強くそう答えて
ついにバーニィに対する
心の引っかかりが
消えたような気がしました。

二人の様子を見ていた
カーラとドロフェルア
そして
ネルの臍部辺りに
固定されたアビィは
二人の様子に安心します。

そんなやり取りがありつつも
イーギネファーと新生魔族騎士団は
東の入口から順調に
ノンナニュードの街中へと
入って行きました。

そうしてさらに街中を進んで行くと
南方面に強力な獄族の魔力を感じます。

【バーニィ】
「…誰か救援に向かった方が良いな…誰を…」
バーニィが
そんな事を言っていると
その時でした。

【アリィ】
「私が行く!」
アリィがバーニィに近付いて来て
元気よくそう言います。

どうやらアリィは
気持ちが高揚している様子で
やる気満々でした。

【ドロフェルア】
「…それなら私も一緒に行くよ。」
ドロフェルアは
アリィを止められそうも無いと悟り
バーニィにそう伝えます。

さらに。

【カーラ】
「…二人の事心配だし、私もついてくよ。」
カーラは
不安そうな様子で
バーニィにそう言いました。

【バーニィ】
「…それじゃあここは任せる。」
バーニィはそう言って
この場を任せ
ガオンツェルにも
魔族の力を借ります。

さらに。

【ネル】
「ネウダルも何体か連れて行かせるよ。
 アリィ、気を付けてね?心配して無いけど。」
ネルはアリィにそう言うと
数体のネウダルを
一緒に連れて行かせました。

アリィは
ネルに笑顔を見せて
何やら合図を送ります。

そうして
カーラとドロフェルアとアリィと
数体のネウダルに加えて
数十名の魔族の戦士達も一緒に
南方面へと向かいました。

仲間を見送った
他のイーギネファーと
新生魔族騎士団は
さらに西方面へと進んで行きます。

すると
前方では獄族らしき生物が数十体現れ
バーニィ達は戦闘になりました。

そして
イーギネファーと新生魔族騎士団は
しばらく交戦していましたが
獄族らしき生物は次々と現れて
中々倒しきる事が出来ず
完全に足を止められてしまいます。

すると。

【ネル】
「ここは僕達に任せて、先に行って。」
ネルは
戦いながら
バーニィにそう言いました。

【ミア】
「うち等で何とかします…!」
ミアはネウダルに指示を出して
戦わせつつ
バーニィにそう言います。

獄族らしき生物は
ネウダル達だけでも
十分優勢に戦えており
それを見たバーニィは
決断しました。

【バーニィ】
「分かった!ここは任せる!」
バーニィはそう言って
先へ進みます。

【ガオンツェル】
「幾人か置いて行く!救援はこちらに任せてくれ!」
ガオンツェルは
ネル達にそう言いつつ
ある程度の魔族の戦士達を残して
バーニィと先へ進みます。

さらに西へと向かって行く
イーギネファーと新生魔族騎士団ですが
どんどん敵の数が増えて行き
イーギネファーの組織員も
新生魔族騎士団の戦士達も
戦う為に続々と足を止めて
バーニィとガオンツェルを
先に進ませる事を優先しました。

そうして
バーニィとガオンツェルは
残り少なくなった数名の仲間と共に
西方面へと進んで行きます。

するとその時
ある人物が前方に立ちはだかりました。

その人物は
ネウリクセンの仲間で
ネウリクセンから
エフレークスと呼ばれていた男性です。

【エフレークス】
「貴方方は先日の…
 そちらはネウリクセン様に気に入られた方ですね…」
エフレークスは
淡々とした口調で
そう言いながら
バーニィを見ていました。

さらに。

【エフレークス】
「ネウリクセン様に同調なさいましたか?
 此方へ降るのであれば、丁重にお迎え致しますが…」
エフレークスは
じっとバーニィを見つめて
そんな事を言います。

【バーニィ】
「真逆だ…この街を救う為…
 ネウリクセンとお前達を止める為に来たんだ。」
バーニィは
笑みを浮かべて
そう答えると
武器を手にして
構えました。

バーニィに続いて
ガオンツェルや
数名の仲間達も
武器を構えます。

【エフレークス】
「それでは死んで頂かなければなりません。
 私は“クオス・フェグラムナ・エフレークス”…
 ネウリクセン様の為、有益な殺しをしましょう。」
エフレークスは
そう言いながら
両手を大きく横に広げました。


こうして
ノンナニュードの街中の
各地での戦いが
始まります。


おしまぃ。(o_ _)o