『モンドヴィーノ』
このワインをめぐるこのドキュメンタリーで監督の主張したいことは
「グローバリゼーションは現在のファシズムである」ということだ。
文字にするとあまり伝わらないかもしれないけれど、よくよく考えるとすごいこと言ってる。
話は先祖代代、同じ土地でワインを作り続けているワイン職人と世界的なワイン会社のアドバイザーの
ワインに対する考え方や扱いの違いを明確にするところから始まる。
言わずもがな製作者はワイン職人側の肩を持っている。
これだけだとNHKとかでもありそうな普通のドキュメンタリーだけど、このドキュメンタリーには
もう一つ『ヨーロッパとアメリカ』という対立軸がある。そしてそれがこの話に深みを与えている。
あらすじを全部書くと見る気がなくなると思うからそうはしないけれど、
ヨーロッパ(主にフランス)の『ヨーロッパがこれまで世界の文化をリードしてきていた』という自負と
アメリカの『アメリカが現在の世界の経済をリードしている、それは文化もまた然りということだ』という自信との
代理戦争のようなものが“ワイン”という、西洋人にはキリスト教を始め深く深く文化と伝統に根づいているもの
によって行われている。ということを意識して観ればより楽しめるし、感慨が深くなるはず。
個人的な話をするとワインは赤白ともに嫌いで、甘口のシャンパンを時々飲みたくなるぐらいだ。
バイト先で貰った赤ワインが不味かったんで、サイダー割りにしてガブガブ飲んでいたら
後日そのワインの原価五千円だと聞いて“あ~転売すればよかったな・・・”と後悔した。というバチあた
りな エピソードを持っているぐらい縁というか興味がない。ラムトニックのほうが五十倍は美味いとおもう。
でもこのドキュメンタリーを観たあとには、ワインともう一度向き合わないと自分の人生が小さじ一杯ぶんくらい
つまらなくなるかも・・・っと考えてしまった。それはこのドキュメンタリーが映像としても及第点以上のもの
を持っているせいだと思う。特にワインについて語るときの表情が、それぞれその人なり“テロワール”が
あってとても印象的だった。
興味のある人は是非。
東北新社
