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EXEDAWN

ある統合失調病患者の資料


〈まえがき〉

すでに投稿済みの文章である

『 こころの花手鞠 (はなでまり) 』を

書き上げたあとの食事時に
母親のぞんざいな料理に

積もり積もった
物心ついてからの
40年分のストレスが

怒りに任せて短くキツい
責言葉になって吹き出し

気持ちがモヤついたまま
自室に戻って横になった

そのときに見た自分の
妄想なのかそれとも

自分の内の別の自分が
慰めのために見せてくれた

幻だったのかどうかも
わかりませんけれども

その一部始終を
ごく簡単に

書き留めた
ものです

*** *** *** *** *** ***

『 真名井の泉の物語り』

*** *** *** *** *** ***

親に短く40年分の怨みを
ぶちまけて疲れ切った

逃げるみたいに
布団に入ると

昔の知り合いで

もうしんでしまって
友達になれない

ひでゆきくん
それとも

ひでとしくん
だったかな

その子が

昔のままの
8才くらいの

見た目で
来てくれて

ひどくつかれてるけど
だいじょうぶ?

いっしょにねていい?

って言ってくれた

それから疲れをとるためか
一瞬でどこかの泉の側に

ふたりは来ていて

ひでゆきくんは

ぼくのこころの
汚れた花でまりを

泉のきれいな水で
洗ってくれて

透明感を取り戻した
そのこころを

返してくれたんだ

そしてこの泉は
現実で云うと

高天原の水が
地元の隣り街にある
真名井に注ぎ

そこからさらに
地中を通して
流れ込んでいる

街のずっと外の
今は汚ないよどんだ

溜め池でしかない
一升池という場所
なのだけれど

このこころの
世界ではまだ

人間のこころを
洗うことができる

神聖な泉なんだと
教えてくれたんだ

そのあと

疲れたぼくをつれて
ひでゆきくんは

ふたりで
真名井の清水を
飲みに寄ってから

布団に戻った
みたいだけど
覚えてない

布団の中で
ひでゆきくんが

だきついていい?

きもちいいな

おとうさんの
においがする

そう言って
くれたんだ

もういつしんでも
おかしくないのにね

熱は下がった
みたいだけど

まだとても
だるいから
もう休むね

くだらない話を
聴いてくれて
ありがとう


*** *** 了 *** ***