『おはよう』






『おはよう』






『最近、会社はどないや?』






『変わらず順調やで(^^)』







『そうかー、何よりや(^^)』








 



うちにはブログには書いてなかったが、息子よりも上の娘がいる。




就職して東京に行ってたんだけど、一年もせず大阪に帰ってきて再就職した。






どうも東京の高い壁に跳ね返されたようでね苦笑





それで一月から俺、娘、息子の3人で暮らしてる。







ただこの娘ちゃん。







6年前の6月5日。







とんでもない交通事故に遭ってしまって…





あれは雨の日でね。





やたら帰りの遅い当時高校生だった娘を、当時家にいた妻が気にしはじめた。





家の電話がなる。





病院からの電話で娘が事故に遭い、すぐに病院に来て欲しいとの事だった。




容態は言えませんとの事で…




娘に電話をしてみるが、一向にでない。






俺『…全然出ない。』



妻『…大丈夫なのかな。』



俺『気付いてないだけかもしれないし、とりあえずすぐ病院へ向かおう。』



妻『そうだね、きっと大丈夫!』





大好きな姉の事が心配で、隣で聞いていた息子が肩を震わせている。




大丈夫だからと慰め、近くに住む妻の実家に任せる事にした。






それからすぐにタクシーを捕まえ、妻と病院に向かう。




妻は不安を打ち消すように、僕の手を強く握っていた。




病院に到着すると娘には会えず、まず医者からの説明を聞いて欲しいとの事。




そして説明を聞かされると…




頭の損傷がひどく、脳挫傷、硬膜下血腫、びまん性軸索損傷などなど。



よく聞く危ないやつと、初めて聞くような危なそうなやつ。



しかも今は蘇生したけど、さっきまで心肺が停止していたと。










すぐにオペに同意書を書いて欲しいけど、術中、術後に最悪の事態もあり得る。




また脳の状態がかなり悪く、助かっても重い後遺症が残る事もあると話す医者。






それを聞いた妻は隣で放心状態。


  





俺が…





俺がしっかりしなければ。 










俺『…例えばどんな後遺症が?』



医者『酷ければ寝たきりで、意志疎通も取れないなどなどですかね…』



俺『…元の娘に戻れる可能性も残されてるんですよね?』



医者『うーん…意識レベルが相当悪い状態ですからね。



良くて車椅子生活だと思ってて頂きたいです。





…それでもオペに同意してくださいますか?』







妻と顔を見合わせ…




俺『愛する娘なんです。


命さえ助かれば、何だって構いません。



どうか娘を助けてやってください。』




妻も頷く。





医者『わかりました。



すぐ準備にかかりますが、少々お時間がかかります。



オペ前に娘さんの顔を見てあげてください。』









やっと会えた娘は…








顔も手足も綺麗な状態で、見た感じはどこを怪我をしているのか分からないぐらいだ。







事故に遭ったなんて、嘘みたいに。











けど沢山の管を付けられた、まさしく虫の息状態。





僕も妻も一気に抑えていた感情が溢れ、泣け叫び娘の名前を連呼するものの…







娘は一切反応しない。












朝まで元気だったのにな。






家族は俺が守ると、いつも家族に伝えてたのに…


  


医者『準備が整いましたので、オペに向かいます。』



俺『どうかよろしくお願い致します。』




 

妻はずっと泣き叫び、娘から離れない。




妻の肩に手をかけ、落ち着かせる。




そしてオペ室に入る娘を見送り、別室で僕たちは待機する事になった。







 


もう元気な娘に会えないのかな?




元気になっても、俺達家族の事が分からなくなるのかな??




考えたくもない未来が頭を巡る。






娘はどれだけ家族が…






いや、俺が…






娘の事を愛してるか知っているのかな?





助かれば何でもいいと医者には伝えたけど…





俺の事を覚えていてくれたら、何度も愛してると伝えよう。




 


…え?



何、この状況??




嘘みたいに感じてきたな。





今朝起きてからが夢なんじゃ?




それとも今までの当たり前のフツーの生活が夢だったのか…
















そしてその6年後の、6月5日の今。







冒頭にある会話。





娘との会話である。





娘は化粧などで朝が早く、慌ただしく家中を駆け回っててね。






娘『あー、もうこんな時間!






それそろ行って来るねー』







俺『お前、今日はなんの日か覚えてるか?』






娘『え?なんかあったっけ?






昨日は6月4日で、虫の日で…





今日は6月5日…向こうの日??ww』






俺『どうゆう事やねん笑




とりあえず気を付けて行くんやで(^^)』





娘『で、なんの日か教えてよ笑』





俺『笑』




娘『笑』





そう言って、娘を軽く抱擁する。




それが日課だ。






娘『じゃあ行って来るね!



お父さんも気を付けて行ってらっしゃい(^^)』





俺『お前こそほんま気を付けなあかんねんでww』




娘『行ってきまー』



俺『行ってらー』






そう言って、軽い足取りで会社へ向かっていった。








娘はあれから奇跡的に助かった。




後遺症もほぼ残らず、事故前の娘と変わらない程だ。





娘はあれからこっちがどれだけ大変な日々があったのか、どれだけ苦しい日々があったか知らず…






6月5日を忘れてやがる笑






てかあいつ凄いな…




確かに『向こう』側にいきかけたがな苦笑








でも日課の抱擁は、事故後ずっとさせてくれる。




恐らく、愛は伝わってる…のかな?笑









何だか重ための話しになり申し訳なかったんですど、改めてこういったフツーの毎日ってかね。




それってフツーじゃなくて、実はそれが一番ありがたい事なんだと。




それは夢のような毎日で、夢のような過去になる。




そんなとてつもなく儚いものだからこそ…






しっかり噛み締め、地に足着けて生きたい。





それを改めてしたためておきたかったので、敢えて書かせてもらいました。






今日は6月10日ですね。






皆様にとって、何もない一日で有ると思います笑






いや、中には誕生日とか…









急に迎える僕らにとっての6月5日ような、そんな日になるかも知れません。









今日も一日フツーの毎日に感謝して、一日皆様がどうか健やかに…








またご無事に過ごせますように。