高麗ホテルに泊まる | 長いブログ (旧:ぶらり北朝鮮)

長いブログ (旧:ぶらり北朝鮮)

以前は北朝鮮旅行記でしたがネタ切れで変更。
その名のとおり、記事一本がやたら長いです(笑)
書くのも、読むのもしんどい。
いや、わかってんですけどね…なんかこうなっちゃう。
お疲れの方は何度かに分けてお読みください。
その方がアクセス数上げられr@うxぁp…

 

●日本人には一番人気

ピョンヤンで宿泊、と言えば

そう。もう世界的に有名な「高麗(コリョ)ホテル」。

北朝鮮を代表する特級ホテルです。

この特徴的な45階建てツインタワーには

きっと見覚えがある人も多いでしょう。

夜はライトアップまでされてキレイです。

最上階には階数も値段もお高い回転レストランがありますが

今回は時間がなく行けませんでした。残念。

 

ピョンヤンは首都だけに他にもたくさんのホテルがあり、

グレードもこうした特級から3級までバラエティ豊かですが

日本人旅行者の宿泊は基本的に選択の余地なく、

国家的イベントなどでホテルが足りない時以外は

このホテルか「羊角島(ヤンガクド)ホテル」のどちらか。

こちら羊角島ホテル。オフィスビルにも見えますね。

こちらの方が新しい(…といっても1989年)のですが

その名のとおり「羊角島」という中洲の島の先端にあって

周囲には何もなく、隔離されたようで寂しいため

ピョンヤン駅近くの一等地ど真ん中に建つ

高麗ホテルの方がやっぱり人気があります。

 

主体思想塔から眺めたピョンヤン市内。

中心部の賑わいの中に建つ高麗ホテルに比べて

ポツンと寂しい羊角島ホテル。

ま、逆に言えば静かで空気もきれいなんですけどね。

でも日本人にはほんとうに人気がないので

最近は激増の中国人団体客を主に受け入れているようです。

 

ちなみに高麗ホテルをはじめとしたピョンヤンのホテル、

ブッ〇ングドットコムなどの宿泊予約サイトでは

あたりまえですが予約はできません(笑)

そりゃまぁサイトに登録なんてしてないわな。

泊まりたいときは代理店にリクエストしましょう。

 

●ホテルの中へ

さて今回は、ワタシもこの高麗ホテルに宿泊です。

やっぱりピョンヤン行くなら泊まりたいもんね。

 

ドアボーイに迎えられ、

正面の回転扉を通ると、どどん。

大理石張りのどデカいロビーが広がります。

左右にはこれまた巨大な高麗青磁のツボ。

やはり高級感が漂います。

 

でも奥に進むとなぜかプラ製のホテル模型w

これも一応高級感を意識してるのかな。

ちょっと違う気もしますが。

 

入って右側にフロントデスクがあります。

チェックインなどの手続きはすべて同行のガイドがやってくれます。

ってか、ワタシたちにはさせてもらえません。

会話練習も兼ねてやってみたいけどなぁ。

両替やクリーニングの受け取りなどもこちらで。

 

フロントデスクの向かい側には喫茶コーナー。

ジュースは缶ジュースだったりしますww

 

フロントデスクの反対、左側にはクローク。

コピーサービスや荷物預かり、

ナレカード(電子決済カード)の販売はこちら。

 

そしてその向かい側にはビジネスセンター。

郵便や電話のほかEメールもここで取り扱い。

ほかには写真撮影サービスなんかもしています。

国際通信が自由化・自動化されていないという

北朝鮮らしさがあらためて感じられる窓口ですね。

 

日本あての郵便もここで引き受けてくれますよ。

せっかくなので家族や友人に記念発送してみては。

もちろん、自分あてに出すのもアリですね。

ただし、ニッポン到着までには1~2週間かかります。

発送は窓口へ郵便物に現金を添えて出せばOK。

切手はホテルで貼っておいてくれます。

日本までの送料は封書で120ウォンのようですが

当然人民ウォンは持っていないので外貨換算。

ワタシは1ドル+2元を請求されました。

公式レートだと120円ちょっとのハズなので

なんか微妙に多い気がしますが…まぁ発送手数料ということかw

でもツアーで行く切手ショップではまず買えない

北朝鮮の普通切手を貼ってもらえるので貴重かも。

ただし、消印は外国郵便用の英文ゴム印です。

 

●お部屋の中は?

さて、ちょっと寄り道が過ぎました。

はやくお部屋へ向かいましょう。

チェックインが済むと、こんなカードが渡されます。

 

中を開けると、カードキー。

部屋番号の表示は「棟-階-室番」。

ワタシは2号棟20階の22号室ですね。

宿泊棟は正面から入って右側が1号棟で左側が2号棟。

それぞれのエレベーター前にもスタッフがいて

エレベーターのドアを開けてくれます。

が、荷物は持ってくれません(笑)

 

エレベーターの中は四方が鏡&金色!

最初は一瞬目がくらみます(笑)

 

でも、エレベーターを降りると急に質素に。

ま、全館金ピカだと落ち着きませんが。

 

この階は1フロアに9室あるようです。

こちらがワタシの部屋がある方。

奥に「マジックミラーで中から監視されてる」と言われる

大きな鏡がありますね。

実際にはそんなことなさそうでしたよ。

単純に「合わせ鏡」で広く見せるための演出じゃないかと。

 

一方、反対側は真っ暗…

滞在中ここでは誰とも顔を合せなかったので

おそらくこの階はワタシ一人の貸し切り状態。

まぁよほどじゃないと満室にはなりそうにありませんから

個人客にはこうしたゼイタクな扱いをしているのかも。

 

高麗ホテルは部屋数500。千人以上が泊まれるそうです。

部屋ランクは最上級のスイートから3等室までの4等級。

ワタシら一般観光客はもちろん3等室。

とは言っても、市民から見れば途方もない話ですが。

ちなみに、同行のガイドも同じホテルに泊まります。

ってことは、ガイドってけっこうオイシイ仕事だな。

 

他のお部屋の様子はさすがに覗けないので

20年前のホテルパンフレットからご紹介。

右ページ全面が特等室スイートルーム。

寝室と居間のほか会議室みたいな応接室まであります。

左ページは上から2枚の写真が1等室で

その下が2等室、3等室。

この後ホテルは改装工事をしているので

内装などは多少変わっていると思いますが

設備はだいたい同じだと思います。

3等室はほとんどおんなじような作りでしたから。

 

ではいよいよわが3等室のお部屋へと。

 

部屋のドアはカードキーになってます。

 

ドアが開いたらキーボックスへ。

ここへ差し込まないと電気が点きませんよ。

 

カードキーには日本語バージョンも用意されてます。

 

内側のドアノブにはおなじみのカード。

「起こさないでください」じゃなくて

「入らないでください」なんですね。

裏側は「掃除してください」。

 

 

そうそう。避難経路もちゃんと確認しておきましょうね。

 

非常階段は部屋を出たところにあります。

扉が無駄に立派ですが、防火性は…

 

階段の途中には消火栓室がありました。

足元に滑り止めが敷いてあるのは良い対策。

 

消火器も各階に複数備え付けてあり、

いちおう安全対策はしっかりしてるようですね。

って、まるで消防の立ち入り検査…ww

ちなみに消火器は中国製でした。

ステッカーによると日本の「119」にあたる

「市消防隊」の電話番号は「8119」なんだそうです。

ピョンヤンの消防車ってどんなんかな。見たことないや。

 

安全確認も終わったので(笑)、あらためて室内へ。

中は広々とした部屋にツインベッド。

3等室とは言ってもそこはさすが特級ホテルです。

 

トイレと浴室は一体型のユニットバス。

清潔にはされていますが、

この辺は残念ながら日本のシティホテルのレベルかな。

 

ドライヤーもちゃんとついてます。

 

便器はTOTO製。

 

足ふきにはロゴマークが入ってますよ。

 

アメニティもしっかりオリジナルのネーム入りを用意。

左から歯ブラシ、シャワーキャップ、綿棒。

奥のティッシュボックスは空でした…

 

こちらはシャワーセット。

左から…英語見ればわかりますね(笑)。

でもちょっとすごいのがそれぞれの朝鮮語表記。

ボディソープは「몸 물 비누」

  (モンムルピヌ=カラダ水せっけん)

コンディショナーは「머리 영양 물 비누」

  (モリヨンヤンムルピヌ=アタマ栄養水せっけん)

シャンプーは「머리 물 비누」

  (モリムルピヌ=アタマ水せっけん)

もうこの表現の工夫がすばらしい。

英語は敵性語として無理やり日本語に変えていた

戦時中のニッポンになんとなく似ていますww

 

このほか使い捨てスリッパや靴拭きなども完備。

翌日一人だとわかると1セットに減らされてたwww

 

で、室内はベッドルームだけでなく

イスセットのある縁側(?)もありました。

 

部屋全体を見ると、う~ん

ゆったりしているというか、無駄なスペースが多いというか…

 

まぁ建物自体がそもそも、どうも梁や柱が中心ではなく

おもに壁で全体を支える構造になっているからのような気が。

ワタシは建築の専門家ではないのでよくわかりませんが

旧ソ連などの共産圏で多く見られる「フルシチョフカ」という

パネルをどんどん組み立てていく工法がベースとして

ここにも使われているように思えます。

これは安価で高速に建物を建築できる方法として普及し、

ソ連や中国の影響を強く受けた北朝鮮でも

アパートの建築などにはとてもよく採用される工法です。

でもここでは面積の割にもったいない間取りになっちゃってます。

 

ま、それでも滞在中は快適に過ごせますよ。

毎日きちんと清掃とベッドメイクはしてくれますし、

お湯の量も温度も水圧も、電気もエアコンも問題なし。

 

20年前はお湯が時間制だったり停電が多かったり

いろいろ不便も多かったので。

当時はこんな表示が当然のようにありました(笑)

この時は高麗ホテルではなく

普通江(ポトンガン)ホテルという別のホテルでしたが。

 

エアコンの室内スイッチ。

ちょっと古めかしいですが、部屋ごとに調整できます。

山武(現:アズビル)という日本の会社製品でした。

 

●まだまだ室内探検

さぁ、さらに室内を細かく探検します。

もうかなりマニアックな細かさですが(笑)

 

ベッドの横にはおっきなクローゼット。

クローゼットは両開きの引き戸になっていて

中にはハンガーのほか

予備の毛布やまくらなど。

空調がしっかり効いてるので

毛布は特に必要ありませんけどね。

 

冷蔵庫は懐かしいサンヨー製w

中には何も入ってませんが

朝食時などにミネラルウォーターがもらえます。

よく冷えるので温度調節を回しすぎないように。

 

その上にはティーセットや湯沸かしポット。

 

ティーカップやソーサーの裏には…

ご丁寧にも

「조선(朝鮮)-평양(ピョンヤン)」の銘入り!

お土産に欲しいぞww

 

棚の上にはナイフ・フォークなどのセットがありましたが

ここにもっ!

ピョンヤンって、やっぱりブランドなんですね。

 

部屋にはコンセントもたくさんあります。

110Vの挿し口もあるので

日本の製品がそのまま使えて便利です。

 

一方、ベッドの間のナイトテーブルには電話機。

横にあるのは「国際電話番号案内」。

1階に国際電話の受付があったんですが、

ここからも直接国際電話がかけられるようですね。

実際できるのかどうかは試してないのでわかりませんが。

 

中には各国の国番号と首都の市外局番が掲載されてます。

トップはもちろん北朝鮮。

国番号は850でピョンヤンの市外局番は2のようです。

市外局番は頭の0を取ってるので実際には「02」。

 

2番め以降はアルファベット順に並んでいて

「Japan」の日本は75番めに登場。

「Korea」(韓国)はありませんでした。ま、当たり前か。

ピョンヤンからソウルへダイレクト通話できたらびっくりだわ。

 

電話の下にはラジオとアラームがついてます。

「AM1」しか入りませんでしたが24時間放送中。

 

窓際にはイス付きの鏡台があります。

ちょっとした書き物などはここでも。

 

引き出しの中には

便箋や封筒とボールペンのほか裁縫セット、

クリーニングの料金表と各種注文票が入ってます。

気になる(?)クリーニング料金はこちら。

お値段は左からドライ、ウェット、アイロンの価格。

ドライクリーニングはジャケットが560ウォン。

ズボンは280ウォン、長袖シャツで210ウォン…

ワイシャツを2枚クリーニングに出してみましたが

しっかりしたいい仕上がりでしたよ。

ただ、クリーニング液がどんなのかはわからないので

傷みやすい生地や大切なものは避けた方が無難。

 

朝8時から10時までの受付で当日仕上がり。

10時以降だと翌日になるそうです。

なお、料金2倍の4時間スピード仕上げもある模様。

 

テレビももちろん完備。けっこう大きな液晶テレビです。

ブランド名は「아리랑(アリラン)」。

有名な朝鮮民謡のタイトルですね。

電源を入れるたび、画面いっぱいに

「아리랑」の文字が映し出され、

民謡「アリラン」の曲の一節が流れます。

すごい民族意識というかなんというか…

 

テレビのリモコン。

表示文字がすべて朝鮮語ですが

まぁ配置はほぼ日本のものと同じなので

なんとなく雰囲気で操作可能。

 

テレビの前に置いてあったチャンネル表。

以前はNHKのチャンネルもあったんですが

最近のご時世か、今では消えてしまってました。

まぁ北朝鮮へ行ってまでNHK観る必要もないですけどね。

1チャンネルはあの有名な「朝鮮中央テレビ」。

2、3チャンネルも北朝鮮の放送局です。

4チャンネルはスポーツ専門チャンネル。

どうやらピョンヤンもケーブルテレビになってるようです。

そのほかロシアやフランスにアルジャジーラ、

あとは中国のテレビ局の充実ぶりが目を引きます。

北朝鮮も中国インバウンドを意識しているご様子w

 

ちなみに部屋の窓はでっかくて日中は照明いらず。

しかしこれがデカすぎるうえに

ものすごく開くのでけっこうコワい。

上層階だと眺めはすこぶるいいんですけど

(↑向こうに見えるのは火力発電所の煙です。)

とにかくヒザあたりからぱっくり開いて

手すりも何もないのでものすごく頼りない。

外をのぞくとおナカの下の方がキューっとしますよ。

マジで転落注意。

 

なんかいろいろと紹介しすぎて

わかりにくくなっちゃったかもですね。

ちょっと内部のイラスト描いてみました。

少しはイメージしやすく…なりましたかしらん。

 

●ホテル内もご紹介

室内のチェックはこのくらいで

そのほかのホテル内施設も見てみましょうか。

 

これは朝ゴハンを食べる食堂。

いったん1階に降りてからレストラン棟へ行きます。

ウェイトレスさんかわいい。

写真撮らせてくれませんでしたが。

 

料理はバイキング形式になってます。

奥のエプロンシェフはタマゴ担当。

目玉焼きやオムレツ、スクランブルエッグなど

お願いすればその場で作ってくれます。

 

このほかにも朝鮮料理が提供されるレストランなど

複数あるようですが、日本人は通常ここになります。

同行ガイドや中国人の団体客とは分けられているので

落ち着いて食事することができました。

 

レストラン棟の反対側へ行くと

正面フロントの奥には売店がありますよ。

お土産品のほかにも食品など種類は豊富。

ポッキーもありました。

棚の上にはインスタントコーヒーや粉ミルクまで。

 

酒類も充実の品ぞろえ。

タイ語や日本語が書かれた缶ジュースもありました。

タイは北朝鮮と国交がありますし、

日本語の商品は中国から回ってきたと思われます。

 

1階ロビーを奥まで進むと

地階へつながるらせん階段があります。

 

階段を降りると…

 

バーカウンターもあるカフェスペース。

でも照明が落ちてひっそり。

まだ夜10時にもなっていないのに

お客はおろかスタッフすらおりません。

いつ営業してんだろ。

ここの黒ビールがうまいと聞いたことがあるので残念。

 

その奥にはまだ

屋内プールのほかマッサージや美顔、美容室、

さらに靴修理まであるとのことなんですが

人っ子ひとり歩いていません。

タイミングが悪かったのかなぁ。

あまりに淋しいのでそそくさと退散。

 

レストラン棟の地下にはカラオケがありますよ。

 

「カラオケ」は朝鮮語では

「화면반주음악실(ファミョンバンチュウマクシル)」。

漢字に直すと「画面伴奏音楽室」と

なにやらいかつい名前です。

 

中はカラオケボックスではなくて

日本で言うカラオケスナックみたいなところ。

最終日の夜、

ほぼ確実にガイドに誘われて行くことになります。

で、当然のようにワタシのおごりです(苦笑)。

こういうトコなので、やはりそれなりのお値段はしますよ。

ただ、先に予算を言っておけば

その額までで済ませてもらえるので心配はいりません。

まぁせっかくなんで最後の夜は楽しくいきましょうw

 

どうでしょう。

高麗ホテルの様子が少しは伝わったでしょうか。

ちょっと今回は長くなりすぎましたね。

ここまで読まれた方はお疲れさまでした…

 

 

ホテルの窓から見たピョンヤン市内の夜景。

 

以前と比べたらずいぶん灯が増えました。

よく「ハリボテ」と揶揄されますが

たぶん人はちゃんと住んでると思います。

 

では、おやすみなさい。