2014年5月8日 Thu
さて、
「韓国語ナレーション」シリーズ
今日でいよいよ
最終回となります。
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<バックナンバー>
→ 『韓国語ナレーション Part1』
→ 『韓国語ナレーション Part2』
→ 『韓国語ナレーション Part3』
→ 『韓国語ナレーション Part4』
→ 『韓国語ナレーション Part5』
→ 『韓国語ナレーション Part6』
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いよいよ
プロデューサーさんに連れられ
麻布の地下にある
レコーディングスタジオに
入って行きます。
レコーディングスタジオ
というものに
入ったことがある方も
いるかもしれませんが、
1つのスタジオが
録音ルームと
音響調整ルームに
分けられていて
その二つは
完全に音の漏れない壁で
仕切られています。
その仕切りには
ガラス窓が貼られて
音響ルームから
録音ルームの
演者さんの様子が
チェックできる
ようになっています。
僕以外は、その
音響調整ルームに入り
僕は、気の弱そうな
ADさんに案内され
一人、録音ルームへと入ります。
60㎡ほどのだだっ広い
部屋の中央に
ポツンと机とイスが
設置してあり、
そこに腰掛けるよう
指示をされたので
カバンを横に置き
僕は、そこに着席します。
するとADさんによって
入り口の重たーいドアが
"ドシンッ"
と閉じられました。
完全な音漏れのない
密封空間の出来上がりです。
海の中に潜ったかのような
静けさですよ。
次に、音響ルームから
プロデューサーさんによる
マイクでの指示が飛びます。
両ルーム間では
音が漏れては
絶対にいけないため
ルーム間での指示だしは
オンオフができる
マイクでの指示となるんです。
高性能な録音用マイクは
例え小さい音でも
しっかりと
キャッチしちゃいますからね。
プ「アー、アー、テスッ、テスッ」
プ「大野さん、聞こえるかな?」
僕の机には
ナレーションの録音用の
上質なマイクが置かれ
そこに向かって
返答します。
僕「大丈夫です。聞こえています」
プ「了解。じゃあ準備してくれる?」
もう後戻りできません。
ここはもう腹をくくって
やると覚悟を決め、
カバンの中から
練習により
くちゃくちゃになった
原稿をとりだして
机の上に広げます。
プ「あのさぁ、僕たち韓国語分からないから
自分で映像に合わせて、しゃべっていってね。」
僕「分かりました!」
普通に聞けば、
おいおい、という感じです。
誰も韓国語が分かる
スタッフがいない中、
"日本人"のアルバイトに任せて
ナレーションを入れていく。
おまけに制作側は
そのチェックができない
ときました(笑)
しかしそんなことは
どうでもよかったんです。
いまの僕は
一刻も仕事を終わらせて
この場から生還することです(笑)
この仕事がちゃんと
できなければ
たぶん殺られます(笑)
「(逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ
逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ)」
「(噛んじゃダメだ、噛んじゃダメだ
噛んじゃダメだ、噛んじゃダメだ)」
そのプレッシャーたるや
半端ではありませんでした。
プ「はい、じゃあテストねー。
映像流すから試しにしゃべってみてー」
録音ルームの上で
原稿をめくる手には
びっしょりと汗が出て
原稿もだんだんと
シワシワになります。
思考の集中状態も
ピークになり、
そんな中
テストで韓国語を
吹き込んでみた瞬間...
「イケる!」
そう確信しました。
何かが自分に
降りて来たかのような
不思議な感覚でしたが
もうテストレコーディングを
した瞬間に
ペラペラペラ~と
韓国語が、キレイに流れ出てきます。
ほぼ噛むこともありません。
プロジェクトXの
あのナレーターさんっぽく
ちょっと声に
ナレーション独特の
朴訥さをつける余裕も
あったぐらいです。
フレーズごとに
録音を区切るので、
映像のワンシーンずつ
録音していく感じですが、
たまにナレーションが
尺に足らなくなって
撮り直しをお願いするぐらいで
基本的に順調に
サクサク進んでいきました。
安心感と充実感を胸に
着実に着実に
1ページずつ
進んでいったのですが、
ここで大きな問題が
勃発します。
それは、
なんと
時間切れ!
レコーディングスタジオの
借りられる時間にも
当然限りがあるらしく
15ページもの原稿を
ワンシーンごとに
吹き込んでいくのは
15時ぐらいからの
数時間で
終わるはずがありません。
結局その日は
止むなく終了となり
僕はほっと
大きく胸をなで下ろしますが、
最後にプロデューサーさんは
僕に一言。
プ「明日、10時から続きやるから
ここに集合で、よろしくね。」
試練は
まだまだ続きます(笑)
とはいえ、
初日の恐怖感は
自分の仕事の出来により
ある程度吹っ切れ
最後までやり切る気持ちは
もう沸々とわいていたのです。
翌日の日曜日、
午前中から
レコーディングは
再開されます。
その日は、もう
担当者AさんもBさんも
姿はありませんでした。
結局全ての
レコーディングが終わったのが
13時すぎ。
長丁場の仕事となりましたが
充実感で
いっぱいでした。
帰り際には
プロデューサーさんから
プ「なんでそんなに韓国語うまいの?
ちょっと連絡先教えてよ」
とありがたいことを
言われましたが
また担当者AさんBさんみたいのが
セットでついてくるといけないので(笑)
ハハハ~、という感じで
笑みだけこぼし
その場をそそくさと
退散しました。
~。~。~。~。~。
さて、後日談ですが、
それからというものの
担当者さんもそうですが、
H先輩とも
一切連絡をとれなくなりました。
怖くて自分から
ずっと聞けなかった
お給料の支払方法や
支払日なども
分からないままです。
そして、プロジェクトXX
という企画も
「金嬉老事件」の番組も
どこを探しても
探しあてることはできません。
千となんちゃらの神隠しだったのか
途中で企画がおじゃんになったのか
真相は闇の中です。
(知らない所で放映されてるのかも)
結局それ以降も
永久に連絡をとることができず
その番組もおそらく
放映されなかったと思うので
無給かつ非公開の
お仕事だったものとして
このお話は幕をとじます。
ただ、これは
単純に騙されたと言えば
それはそれで
片付いてしまいますが、
実はこれをきっかけに
僕は韓国語の能力が
一段階グンと
上がりましたし、
発音にも、ものすごく
意識をするようになったので
自分の韓国語能力における
ブレイクスルーを
経験することができました。
お金と実績は
手に入れられなかったけど
それを上回る経験と
スキルを身につけることができた。
まるで僕の20代を
そのまま象徴するような
出来事でしたが
いまでは本当に
やってよかったと
心の底から思っています。
(とても怖かったですが)
『毒を喰らわば、皿まで』
入り口で
やばいのに手を出しちゃったー
と思っても
最後まで意地でもやり通すと
案外、思わぬ果実を
摘むことができるということを
身に持って経験することが
できたなと思います。
本当に毒を喰らったので
皿まで食べてやりました(笑)
ただ、やりすぎは禁物ですので
自分の体と命は
大切にすることが大事ですね!
以上、
「韓国語ナレーション」
シリーズでした!
※この物語はノンフィクションであり
多少の脚色はあるものの
基本的に自分の体験した事実に基づいています。