了くん「介護施設の高齢者って、ドラマだとよく『おむつ替えますね』ってシーン多いでしょ。でも、ほんとは多くの人が自分ひとりでだったり介助つきでトイレに行けてるんだよ。おむつを使うのは寝返りも打てないか、下肢に拘縮がみられる人なんだ。うちの施設では寝たきりの人でもトイレに行ってるよ」
あすか「そうなんだ」
了くん「トイレタイムってプライバシーだからね。認知症だったら何も分からなくなっていると思っている人はいるけど、恥ずかしいという気持ちは元気な人と同じなんだよ。だから自力で出来るって大切なんだ。手間はかかってもなるべく自分でしてもらうことだよ。介助があれば起き上がれる人や座ることが出来る人はベッドの横にポータブルトイレを置くことがあるよ」
あすか「ふむふむ」
了くん「座位の安定している高齢者さんだったら、トイレが終わるまで外で待ってるよ。鍵は掛けない。終わったら呼んでもらうかナースコールをするよう言っておく。座位が安定しなければ横で見守りして、下腹部にはタオルを掛ける。高齢者さんを焦らせないように声かけをする」
了くん「ちゃんとトイレが出来たことを褒めたりして、高齢者さんがまたトイレを頑張ろうと思えるように持って行く。万が一嫌な顔でもして、高齢者さんがトイレを我慢したり、水を飲まなくなったりしないように、介護者が気をつける」
あすか「……厳しいね」
あすか「トイレって綺麗な女神様がいるんだよね。いつも綺麗に使っていれば美人になれるんでしょ」
了くん「……トイレは綺麗に使ったほうがいいけど、トイレの神様ってのは拝んだり願い事をしないことだね。トイレって自分でも気づかないプライバシーだから、自分の心の深淵を覗くことになる。それは精神衛生上よくないんだよ」
あすか「え?なんだかスピ系な話だね」
了くん「真面目な話だよ」
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トイレってまだまだ謎ですよね。
了くんにしか分からないことというのがあるのかもしれません。
今回は微妙なお話なので、介助について突っ込んだ表現は控えました。了くんの言っていることはプロの方々の方法と若干違うかもしれません。