久美子「あすかっち、『赤毛のアン』のアンって、プリンスエドワード島で一生を過ごしたの?シャーロットタウンって本土?」
あすか「シャーロットタウンもプリンス・エドワード島にあるよ。アンはプリンスエドワード島にある、アヴォンリー村の、グリーンゲイブルズに住んでいる女の子という設定だよ。松本侑子先生の翻訳が去年完結したんだけど、ラストの2冊『虹の谷のアン』と『アンの娘リラ』が諸事情でまだ買えないんだ。早く読みたいんだけどね」
久美子「あすかっち、確か内容は全部知ってるのよね」
あすか「うん、いろんな訳を読んだからね。でも松本先生のが一番好きなんだよ。どの訳より詳しく載ってるからね、沢山の人に読んでほしい」
久美子「アタシは『アンの愛情』までは読んだわ」
あすか「うん、だったら続きも読めると思うよ。『虹の谷のアン』からアンがほとんど出てこなくなるんだけど、アンの子供たちの日常が書かれるんだ。『アンの娘リラ』では、アンの末っ子リラの視点から書かれるんだけど、ちょうど第1次世界大戦の時期。アンの息子が戦死したりヘヴィなこともあるよ。この2冊より前までならアンが出てくる。『アン・シリーズ』って少女小説と思われがちだけど、文学として素晴らしいね」
久美子「そうなんだ……アンって学校の先生になったのよね」
あすか「アヴォンリーでも教えて、レッドモンド大学に行って、高校の校長先生になるよ。その間アンは大変なんだけど。読んでごらんよ。『アンの愛情』以降のも面白いから」
久美子「うん。全部で何巻あるの?」
あすか「松本先生のは全8巻。6巻目まで私が持ってるから貸し出しするよ」
久美子「ありがと」
あすか「うちの中学だと『アン』を知らない子もいるんだよ。できるだけ読んでほしいから、文芸部でも家庭科部でも布教してるんだ。アンのお料理とかも実演した」
久美子「アンの料理?まさかレイヤー・ケーキに痛み止めの塗り薬を入れてないわよね」
あすか「あれはひどい調味料だよね、さすがに痛み止めは入ってないよ。レイヤー・ケーキは作ったけど。テーブルもお花で飾って」
久美子「レイヤー・ケーキは作ったのね。ぷっ」
久美子「家庭科部に入ってるってのがイマドキ珍しいわよね」
あすか「料理は早く覚えたかったからね。『アン』読んでて作りたい料理見つけたから、先輩に訊いたりしてさ。今は和食も作るけど」
久美子「『アン』の影響力って凄かったのね」
あすか「『アン』が好きな人ってだいたい家の中のことが好きだよ」
あすか「家庭科部にいても、残念ながら私はパッチワークと編み物は未だに不得手なんだ。簡単な刺繍や簡単な裁縫ならできるんだけど。身についたのはもっぱら料理だね。作るのも食べるのも好きだからもっといろんな人に食べてもらいたい」
久美子「野望があるのね。で、食べた人に『これはアンの中に出てくる料理で……』とか」
あすか「うん、そういうのもやったし、これからもやる。『アン』の活動は続ける」
藤村博士「久美子ちゃんがうちへ預けていった本が売れました」
久美子「あ、そうなんだ」
あすか「なんの本?」
久美子「……昔の本。『愛人~ラ・マン~』よ、笑わないで」
あすか「笑わないよ。サガンの名作だ」
藤村博士「あすかちゃんも、読み終わった本が随分あるでしょう。是非また当店に預けて売ってください」
あすか「わー、今は一生持っていたい本しかありませんよ!」
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あすかっちは、和食や洋食や洋菓子を分け隔てなく作れますが、私の得意料理ってカレーライスとお好み焼きと鶏ささみ肉のでんぷん包みスープとかなんです。あとはほとんどものになりませんでした。これから少しずつ作れるようになったらいいなと思います。