久美子「今年のクリスマスも、ガーナの子供たちにチョコレートを配ったのね」
あすか「うん。今年も子供たちに手渡してもらった。納豆も送りたかったけどアルフレッドに全力で止められた」
久美子「日本でやらないの?」
あすか「国内では匿名でやってるんだ。自治体にミニカーのセットとかお人形とか、おもちゃを寄付してる、練馬区の伊達直人って名義で。ランドセルとかだと、あげた分、向こうが国からの援助を差し引かれてしまうからやらない」
久美子「世知辛いのね」
あすか「世知辛いよ~。私もいつまで寄付する側でいられるか分かんないよ、税金高いし。生きてるだけで税金かかるって信じらんない。稼いだ分、ごっそり所得税持って行かれるし、原稿料上がらないのに物価は上がる一方だし、作家になる前に思い描いていた理想の三分の一も実現できてないよ」
久美子「ずいぶん、高邁なことを考えるのねー。いい作品が書けて、いま収入があったら先のことは考えないんじゃない?」
あすか「暮らしにくいのは私のせいでも周囲の人間のせいでもないんだけど、気になるね。考えちゃうよ」
久美子「先の先まで保証された人生は、公務員しかないわ。全然アンタのイメージじゃない」
久美子「……アタシだって、コロナ禍の間、公演できなかったから大打撃だったけど、その間出来ることはしたわよ。いつかはお客さんの前で歌えるって信じて。チャリティでもいいから歌いたかったわ。アタシ達は学業と舞台稽古で精一杯なのに、奇怪なインボイス制度導入でその計算まで自分でやらなきゃならなくなったけど、文句言ってる場合じゃないのよ」
あすか「……そうだったね。ごめん。でも私の場合、不安や不満もご飯のタネなんだよ」
久美子「作家って因果な商売ね。満たされたら書くことなくなるんじゃないの」
あすか「んー、そうならないようにしてる」
久美子「アイデアがない時はろくなこと考えないわね。アタシの動画撮ってよ、『椿姫』のチャリティ公演の予告をYouTubeにアップしたいの。あすかっちほど稼いでないけど、アタシはとにかく名前を売らなきゃだからね」
あすか「久美子ちゃんもチャリティやるのか」
===============
1月の久美子ちゃんの「椿姫」チャリティ公演は、主催が、某・団体を大きくする資金9:恵まれない子供たちのために使われる額1の割合で寄付を募ると噂されているところだったため、某ネットニュースの匿名コメント欄では色々と書き立てる人がいました。公演そのものは、あるハプニングを除けば大成功でした。そのハプニングとはまた、別の話。
***************
今回のエピソード、ネタはあっても話がまとまらないので2本ほど撮ってボツにしたあとに作ったものです。ひとつは了くんのバイト、もうひとつはノンコさんの様子のこと。どちらもマイナス面が大きくクローズアップされていたので、書き直す予定ですが、ノンコさんのエピソードは今のところ、アップしない方向です。






