花織ちゃんのそっくりさん(右)「だからぁ、花織じゃなくて薫だってばぁ。あすかっちって変な子~。そんなに薫に似てるの?」
あすか(左)「姿も話し方も仕草も、生き写しだよ、転校生」
薫「ふーん。薫は緑中学、初めてだよ。あすかっちとも初めましてだし」
薫「でも、その花織ちゃんって子にいい思い出がないんじゃ、薫と顔合わせるのつらくない?」
あすか「別人ならつらくないよ。きみお兄さんいる?」
薫「ブー。お姉さんならいる」
あすか「やっぱり違う人なのか。パラレルワールドから来たのかな。クラスのみんなも、誰もきみのこと知らなかったもんね」
薫「もしかしたらあすかっちのほうが、パラレルワールドから来たんじゃない?そして薫と逢う運命だったんだよ」
あすか「もしかしたらね」
薫「や~、SFみたい!面白~い!そうだ、薫も運命の出逢いだと思うことがあるの。転校してきて、ツヨシくんと目があった時、薫、ツヨシくんのこと大好きになっちゃったの」
あすか「花織ちゃんもツヨシくんと付き合ってたよ」
薫「その花織ちゃんはきっと、薫と入れ替えにパラレルワールドへ行ったんだよ。薫、ツヨシくんと両思いになりたいな。最近雑誌で読んだんだけど、好きな人の持ち物を使って両思いになるおまじないあるんだって。あすかっち、ツヨシくんがここに住んでるなら、お願いして何かもらってくれない?」
あすか「きみのルックスなら、ツヨシくんのほうから声をかけてくるよ。ツヨシくん惚れっぽい面食いだから、おまじないなんて必要ないって」
薫「本当?でも一応気持ちは伝えたいな。あすかっち、それとなく言ってくれる?」
あすか「いいよ、変なヤツだけど真人間にしてやって」
あすか「念のため訊くけど、薫ちゃんはスクールカーストの女王だったことはないよね?」
薫「ないよぅ~。薫、そういうの苦手だもん。花織ちゃんがそうだったんだね」
あすか「……うん」
薫「薫と似てるのは表面だけだね」
薫「でも、クラスの男子が2人もここに同居してるなんて、少女漫画みたい!ときめかない?」
あすか「ツヨシくんは実はものすごく遠い親戚で、了くんは弟だよ。ときめきようがないよ」
薫「それでも素敵だなぁ。美形が身内だなんて」
あすか「ツヨシくんのことは応援するよ」
薫「嬉しい!」
あすか「上手くいったら、そのネタで小説書かせてよ」
薫「もちろん。でもあすかっちって、ほんとに『方舟のユダ』書いた人?」
あすか「うん。そうだよ」
薫「小説を書くってどうやるの?」
あすか「書き出しとオチを先に決めて、真ん中埋める」
薫「真ん中埋めていく作業なんだぁ、へー」
薫「あっ、ワンコだ。可愛い」
百鬼丸「(くんくん、うるち米の美味しそうな匂いがします、がうがう)」
あすか「柴犬が百鬼丸で、ビーグル犬がビーちゃんだよ」
薫「いいなー。うち、ペットいないんだぁ。団地だから」
あすか「やっぱり花織ちゃんと違うね。彼女はカナリヤ飼ってたし、一軒家だった」
薫「やだー、カナリヤだなんて、その子昭和!」
薫「今日は楽しかったぁ。薫、新しい学校不安だったけど、あすかっち達と知り合いになれたから安心したよ。また遊びに来ていい?」
あすか「うん、喜んで。今度は手作りのお菓子振る舞うよ」
薫ちゃんが帰ったあと。
久美子「なに寝言言ってんのよ、あれどう見たって花織ちゃんじゃない。苗字も一緒なんでしょ、立花って」
あすか「木へんの橘だよ。字が違う。タカラヅカみたいだよ」
久美子「読み方同じでしょ。パラレルワールドから来たとしても同じ人間だわ」
久美子「油断してんじゃないわよ。あのスクールカーストの女王にはアンタ大変な目に遭ったんだから」
あすか「それも薫ちゃんじゃないよ。私達だけパラレルワールドに来たみたいだ」
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あすかっちのクラスに転校してきた薫ちゃんは、以前いた花織ちゃんにうり二つで、話し方もそっくりでした。ですが、誰も花織ちゃんのことを覚えていませんでした。と、いうより知らなかったのです。あすかっちと久美子ちゃんは、いつの間にパラレルワールドにいたのでしょう?













