久美子「ちょっとツヨシくん!今朝からなんで無視するのよ」
ツヨシ「……なんでもないです、久美子先輩」
久美子「うちでは敬語ナシってルールでしょ。なんで他人行儀なのよ」
ツヨシ「なれなれしいのイヤなんです」
久美子「アタシは堅苦しいのイヤって普段から言ってるでしょ」
あすか「久美子ちゃん、ツヨシくん、昨日久美子ちゃんと歩いてるところ同級生に見られてからかわれたんだ。日本は年上にタメ口は死刑同様だからね」
久美子「アタシそーいうところ嫌い」
あすか「まあ郷に入っては郷に従えってことさ」
久美子「あすかっちだって大人や年長の人間にタメ口利いてるじゃない」
あすか「そういう時は許可はもらってる。お互い納得しての関係」
久美子「とにかくこのままじゃあたしが落ち着かないわ」
あすか「私だって敬語嫌いだけど日本はどんどん堅苦しい世の中になってるんだ。従わないと社会的に抹消されてしまう。日本は世界で2番目に上下関係がうるさい国だ。生きていくためにはしかたがない。原因は学園ものの漫画や部活だと思う。小学校に入ってから社会人になってその命を終えるまで厳しい上下関係に耐えなければならない。イヤだったら久美子ちゃんはアメリカ国籍を取ればいい。米国英語は身に付いてるから困らないだろう。だけど物価は高いし治安も日本ほど良くないよ」
あすか「ね、久美子ちゃん、ちょっとだけ日本の慣習我慢しよう」
あすか「ツヨシくんも、私達、仲間であり家族なんだから外のこと持ち込まないの。うちでは普通にして」
ツヨシ「……分かったよ」
あすか「私ね、慶應大学の医学部がどうして浪人生を合格させないか分かった、敬語のせいだ。1年生は寮生活だから、年下に敬語使う後輩は腹立つだろうし、年上に指示する先輩は気を遣う。医師の仕事は一刻一刻を争うから医者同士で気を遣っていられない。だから浪人生を入れないんだ。だからといって敬語を廃止するわけにはいかない。それが日本の文化だからだ。こういった慣習は将来、日本の発展の大きな妨げになると思う」
あすか「だけど、それは私達には関係ない。いずれ日本を離れるし、リトルトーキョーの公用語は英語が入ってるから、お互い英語で会話すればいい」
久美子「……そうね」
あすか「おひな様は、連れて行けないね」
ツヨシ「あすかっち、ぼく英語できない!」
あすか「ジュリア―ドで少し覚えたろ」
ツヨシ「もう忘れた」
あすか「覚えろ」
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敬語は大事です。
かつての日本は、自分の親とも敬語で話しました。
でも、「タメ口むかつく~」とか、逆に「俺は敬語なんか絶対使わねえ」などと公共の場で騒ぐのは、みっともないことではありませんか?
お互い大人になりましょう。
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