あすか「あれ?twitterにこんな投稿してないぞ。……悪質だな。いつの間にこのパスワード盗み取ったやら。だったら本人特定しちゃろ。こーであーで、で……よし、電話番号ゲット」
あすか「おい、××県△△市立□□中学校2年3組の町上春気。私が誰だか分かるか?貴様がTwitterのパスワード特定して変な画像投稿した高峰本人だ。……しらばっくれるな。スクショとプリントアウト済みだ。これお前のガッコと警察に送っちゃおうかな。さあ、どうする」
春気「……プログラミング部の友達が小説書いてて、あんたが『このSF短編がスゴい!』オトコ編で1位獲ったのが羨ましくて、あんたになりたくて、あ、いや、おれはサッカー部だけど努力したのにレギュラーになれなくてむしゃくしゃしてて、同い年なのに才能を開花させたあんたが」
あすか「努力してもレギュラーになれないのは努力の仕方を間違えてるんだよ。自分のフォームをビデオに撮ってプロサッカー選手の動きと比較してみたり、ゲームの時ボールだけ見ないでちゃんと全体見てるか?」
春気「……してないし、どうせ才能なんて」
あすか「才能なんて最初っから誰も持っちゃいない。小説もサッカーも才能は経験が作るもんだよ。そのプログラミング部のヤツに言っとけ、美輪明宏だって『人を羨ましいと思ったらその人のしてきた苦労まで羨ましいと思え』って言ってるだろって」
春気「美輪明宏って誰」
あすか「……話になんねえな」
あすか「あのなー、私の自伝読んでないだろうから言うけど、小3の時じいさん倒れて寝たきりになって認知症になって、介護全部私がやったから1年ガッコ行ってないんだよ。だけど勉強はしたし本だって読んだし、まあちゃんと介護うまくできなかったから1年で死んじまって、学校に戻ったときちゃんと4年生に進級できたよ。それは、がむしゃらじゃなくて効率よく勉強したからだよ。とにかく何の苦労も工夫もなしにものが書けるようになったわけじゃないんだ。順調な人間なんていないんだよ。私の小説やエッセイはいろんな経験が作ったもんだ。なんにも経験しないで本だけ読んで作家になったヤツはいくらでもいるけど、私は羨ましいとは思わない。他人の邪魔をすることに血道を上げてる暇があったら、自分が出来ることをしろ」
春気「……」
あすか「もう追いかけてくるなよ。プログラミング部のヤツにも約束させろ。世の中にはお前にしか出来ないこととお前でなくても出来ることがある。さらに努力した上でレギュラーになれなかったらいつまでもサッカーにしがみついてる必要もないんだ。諦めてるなら他にしたいこと探せ。私だって他に沢山諦めてきたことはあるんだよ。じゃ、切るぞ。パスは変えたからな」
了「電話で誰かお説教してたのか?あすかっちのお説教長いよな」
あすか「最初はただの苦情のつもりだったんだ。途中で自分でも何言いたいか分かんなくなったよ」
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半年後、春気くんは故障メンバーの代わりにレギュラーになりました。
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