あすか「久美子ちゃんの家、離婚?エイプリルフールは昨日だよ」
久美子「エイプリルフールに聞こえる?マジもんよ」
あすか「だ、だって、仲よさそうだったのに」
久美子「あたし、成績悪くて内部進学させてもらえなかったの。で、あちこち受験したんだけど高校も高専も看護学校もぜんぶ落ちちゃったのよ。ソレでお父さんがお母さんに、久美子の頭が悪いのはお前のせいだって喧嘩になっちゃって。お父さん今より儲かる仕事見つけてパコ連れてアメリカに帰っちゃった」
あすか「今、アジア系の子がアメリカ行くのまずくない?」
久美子「知らないわよ。あたしは向こうへ行っても便所のチップもらう仕事ぐらいしかないだろうからって置いていかれちゃった」
あすか(右)「じゃあテルコ伯母さんの親権に入るんだね」
久美子(左)「お母さん会社役員の男と暮らしてる。あっちにも子どもいるからあたしとは暮らせないって」
あすか「はあ?」
久美子「あたし、両方の親から捨てられちゃったの。かわいそうだと思わない?あたしって。好きで勉強出来ないわけじゃないのに」
あすか「3階のきみの部屋はそのまま使ってていいから」
久美子「ありがと」
あすか「ただ、うちのお母さん、お金にはシビアだから、学生じゃない人をタダで置くってことはできないんだ。養育費から家賃もらうよ」
久美子「養育費なんて会社役員の家にだまし取られちゃったわよ」
あすか「はあ?」
久美子「安心して。浅草の、前あんたとショーやったところで働くから、そこから払うから」
あすか「あれは冗談でやるバイトだから務まったの。久美子ちゃん向きじゃないよ」
久美子「そりゃ、真っ当に稼ぎたいわよ。でもあたし働くの向いてないし」
あすか「……じゃあ、ファンタジーキャッスルの音楽学校紹介するよ」
久美子「え?いきなりそっち?」
あすか「レッスンは厳しいけど国の学校だから学費タダだし、どんな劣等生でも卒業すれば声でモンスター気絶させるだけの力をつけられるから」
久美子「……でも入試……」
あすか「入試はないの。その代わりみっちりしごかれるよ。久美子ちゃん基礎は出来てるから今すぐでも入学できると思う」
あすか「久美子ちゃんの分のファンタジーキャッスルに行く鍵はねぎっちょからもらってきてあげる。で、その条件なんだけど……」
了「やたらと仲間を増やすのは危険すぎやしない?」
あすか「卒業したらあの声、モンスター退治に役立ててもらうから」
了「……あすかっちは大学卒業したらノンコ先生やツヨシくんは置いていくの?」
あすか「淋しいけどそれぞれ進むべき道は違うからね。お母さんに異世界やモンスターの概念なんて分かんないし、知ろうともしないでしょ。ツヨシくんだって目に見えないものは理解できないし。でも、向こうに永住するのはずっと先の話だよ」
あすか「やあ久美子ちゃん、おかえり。アインシュタイン先生納得してくれた?」
久美子「青木ヶ原樹海取材旅行に行くって言ったら、悪い男の人にあとつけられたときのためにって変な注射された。死ねない身体になった実感もないし怪力にもなってないんだけど」
あすか「それでいいんだよ。今の久美子ちゃんは、歌声だけで窓ガラス割れるよ」
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結局久美子ちゃんまであすかっち達のお仲間になってしまいました。
みんな確かに孤独からは免れますが、これでよかったのでしょうか。
久美子ちゃんは音楽学校に入れましたが、異世界の学校の学生証で映画観るのは安くなるんですかね?
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