祥雲「仏教では、この世は苦しみに満ちており、そこから解放される、命の終わりまでいかに生きるかという教えが基本ですが、これだけ頑張ったのだから何かいいことがあるだろうと期待するものではありません。期待は打ち砕かれ絶望に変わります。希望など持たず、終わりの日までただ精進してください」
(全員凍る)
道徳の時間、終わる。
ヒロム(右)「あれが説法?冥福をお祈りしますって言葉は使っちゃいけなくて、謹んで哀悼の意を表しますって言うの?何も残らないのになんで拝むの?ぼく、なんだか絶望的になっちゃった」
校長先生「前の神父さんのほうがよかった?」
えれぽん「私は信じません。キリスト教が支配する国に生まれたために、母は何も悪いことをしていないのに懲役30年になるところだったのですから」
花織「花織、なんにも信じない」
校長先生「じゃあ、道徳の時間にお坊さんや神父さんを招くのは反対?」
花織「反対です。その間ゲームしたいです」
校長先生「あすかちゃんはクリスチャンの家に生まれたんだよね?そのへんどうなの?」
あすか(中央)「洗礼もらってないから、クリスチャンじゃないです。両親とも今は無宗教です。私は母も友達も誰も知ってる人に出会えない天国なんて願い下げです。私はみんなと一緒に滅びることを希望します」
ツヨシ(左)「そんなのあすかっちらしくないよ」
あすか「そりゃ永遠に生きていたいけど、無理だから。信じていようといまいと、ここにいる全員、いつかは消えてなくなるんだから。それを怖がっている人につけ込んで大金をだまし取って多かれ少なかれネズミ講みたいなことをさせるのが宗教ってものでしょ」
ツヨシ「それはあすかっちの意見じゃないだろ。なんで嘘つくんだよ」
あすか「もう嫌われたくないから。生きとし生けるものいつかみんな滅びるって言った方がなぜか信用されるから。いかによい滅びを迎えるかを教えた方がいいと思う。ちょうど終活ブームだし」
校長先生「あすかちゃん、それは哲学の分野だよ」
あすか「そうでしたか」
タケル「そこまできっぱり言われちゃうと、俺は逆になにか信心あったほうがいい気がするなあ。なんかあすかっち、ふてくされてるみたいだ」
花織「花織は難しいこと分かんないから、とりあえずだまされたくない、それだけ」
ツヨシ「みんなが信じないから自分も信じないって言ってる気がする。あれほど詳しいのに、どうしてあすかっちは否定派になっちゃうの?」
あすか「いろんな本を読んだ結果、因果はあっても、創造主に人格があったかどうかまでは分からないって結論に達した。これはアルバート・アインシュタインと同意見だよ」
ツヨシ「……変な本読んだの?」
あすか「変じゃないけど」
ツヨシ「なんてタイトル?」
あすか「あとで教えてあげるけど、他人に漏らしちゃダメだよ」
ツヨシ「前にカトリックとエ●バをごっちゃにして侮辱したことは謝るよ。だからいつものあすかっちに戻ってよ、前あすかっちが言ってくれたことはすごくすとーんときたんだから」
あすか「こういうことはナイショにしておくのが一番いいんだよ。必ず否定してくる人が出てくるから。今、日本にはキリスト教徒は1%しかいない。そんなもの信じてたら信用をなくしてしまう。私はありもしない天国のために野良犬のようにくたばるのはいやだ。もう『マリア様のこころ』や『あめのきさき』は歌わない。でも、教養として勉強するのは続ける」
ツヨシ「ローマ教皇が来た時は喜んでたのに」
あすか「だって総本山の人間が来たんだから喜ぶさ。だけど今は仏教の話をしてたんだろ?」
校長先生「誰も喜んでいないみたいだから、道徳の時間に聖職者を招くのはよそう。次からは道徳の教科書を持ってきて」
花織「えー、花織、道徳もっとキライ!」
タケル「おれも道徳押しつけられるの嫌だ」
校長先生「文科省の方針だから、道徳の単位取ってないと卒業出来ないよ」
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あすかっちの言ってることは、本心ではありません。
長らく世界を支配してきたローマ・カトリック教会は、海外では信用があっても、この日本で信じているなどとどうどうとは言えないものです。
多神教のこの国で、信教の自由は建前では認められていますが、元気なのはカルトだけです。まともなものはあまり勢いがありません。
まともなところにお金が集まらないからです。
これでは信徒が減って当然です。
日本には仏教の宗派がたくさんあります。でも、結婚やお葬式の関係でどこへでも替えられます。
結局、栄えているところでは神社と仏閣しかまともでないことになります。
神社は民族宗教ですから、日本人は生まれながらに全て神道の信者です。
そう思っているほうが生きづらくないでしょう。
どのみち、いつか消えてなくなるならば、生前、周囲と仲良くして楽しく生きたほうがよいでしょう。わざわざ茨の道を歩む必要はないのです。私は独学で学びましたが、どうしても「人格を持った神」の存在を信じられません。そして、星がいつか爆発して終わりを迎えるというのに、人が復活して永遠に生きるとはやはり思えません。
飛行機嫌いという私が、生き意地汚いなと自分で思いますので、早く、消えてなくなることを恐れない人間になりたいものです。








