大鐘さん「それでね、綺麗な人だったんで大金持ちと結婚して子供も生まれて、幸せだったのに、毎日のように熱烈なラブレターを送ってくる色男がいてね。とうとうその男と駆け落ちしてしまったの。もちろんその男は働かないで、一日中どこかへ遊びに行ったり、下宿に帰ってきても飲んで寝てるだけ。ロマンスは最初だけ、あとは夫の元へはいまさらもどれず不幸の中で自殺。バカな女、自己責任よね。だから女に恋なんて無用なのよ。女は18になったらお見合いさせて早く結婚させて、男の子を産むことが義務よ、ノンコさん。あなたの旦那さんが不倫したのは、男の子がいないからよ。だから女に学問は要らないの、経済的に自立なんてとんでもない」
ノンコ「…はあ」
大鐘さん「あなたが別居しているのはいつまでも教師をやっていたからよ」
ノンコ「夫がそれを望みまして」
大鐘さん「変わった方ね。だから娘さんが小説家なんて破廉恥なものになるのよ。今は物珍しくてちやほやされても、将来どんなあばずれになるやら。高校卒業したらさっさと結婚させることよ」
大鐘さん「いいこと、今女性の自立なんてこと言われているけど、家庭が壊れるだけよ。女は老後ひとりぼっちだと詐欺師に騙されてお金奪われてみじめだわ。最低でも男の子を二人産んで、自分の介護用に女の子をひとり産んでおくの。いまからでも遅くないから旦那さんと暮らしなさい。私は9人産んでみな社会に貢献したわ」
久美子「あすかっち、あのババアむかつく!あんなこと言って。どこまで上から目線なのよ。ノンコ叔母さんなんで黙ってるわけ?」
あすか「あのおばさん、この界隈で一番のお喋り奥さんだから、ヘタに逆らえないんだ。おもしろおかしく喋って歩くんだって」
ノンコ「あら、あすかちゃん」
あすか「お飲み物をどうぞ」
大鐘さん「気が利くわね。いいお嫁さんになれるわ」
あすか「ごゆっくり」
大鐘さん「じゃ、あたしはこれで」
久美子「叔母さん、あのババア何?旧態依然とした価値観、いまあんなのおかしいわよ!なんで家に入れたの!」
ノンコ「あの人、今、長男が家に戻ってきてゴロゴロしていてウザいんですって。旦那さんも先立って暇だからあちこちお喋りばっかりなのよ。へんな対応するとこの町にいられなくなっちゃうの。でも、あそこもきっとお嫁さん来ないわね」
アルフレッド「あのご婦人は男に迎合することで世間的に成功したため、その価値観を捨てられないのでしょう。私はその考えを他人に押しつけても無意味だと思いますがね。ま、奥様は自分に矛先が向いた時どうすればよいか分かっておられますから、お嬢様や久美子様は心配なさらなくてもよろしいでしょうな」
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男の敵は男と女、女の敵は女。
男は妾を何人作っても、よそで子供を作っても、奥さんはなんにも言えません。女はただ一度の過ちでも「裸で出ていけ!」と言われます。
この価値観を日本で変えることは許されません。
また、男性が女性を襲っても有罪になることはあまりありません。
女性が抵抗すれば過剰防衛として女性が逮捕されてしまいます。
私は、ヒトがサルからではなく、イルカやペンギンや狼から進化したものだったらよかったのにと思います。
私はフェミニストではありませんが、今の日本で男に生まれても女に生まれても、幸せだとはあんまり思えません。日本人って、一人一人はともかく、集団になると不幸が好きなんじゃないでしょうか。










